個人的にはK-3 Mark IIIは、K-1/Mark IIの大きなファインダー、K-3 IIの動体性能、KPの高感度性能を全て詰め込み、それぞれをブラッシュアップしたKマウントデジタル一眼レフカメラの集大成となっていると思っています。上記のいずれの性能も、動物園における撮影では必要不可欠であり、このカメラは動物園撮影において、最高のKマウントデジタル一眼レフカメラだと結論付けられます。購入してからまだ日が浅いので、これからどんどん使っていき、このカメラの真価を深化させていきたいと思います。

PENTAX STATEMENT宣言後のファーストKマウントカメラとして、その宣言をよく体現していると思います。明るく広い光学ファインダーを通して被写体と対面しながら撮影を行えるカメラだと思います。今までのKマウントデジタル一眼レフカメラの機能がコンパクトなボディに惜しみなく詰め込まれたことで、どこにでも持っていきたくなるカメラになっているように思います。

私は645ZやK-1 Mark IIなどAPS-Cフォーマットよりも大きいフォーマットのカメラを使っていますが、これらのカメラと併用してもK-3 Mark IIIの光学ファインダーは違和感なく使えます。また、今までのKマウントAPS-Cカメラの光学ファインダーよりも倍率が大きくなったことで、望遠レンズを使用した時のピントの見え味が格段に良くなっています。特に私は動物園で撮影をすることが多いのですが、K-3 Mark IIIの光学ファインダーを通して、動物たちの活き活きとした表情を切り撮ることが出来て撮影がより一層楽しくなりました。

新型の裏面照射CMOSセンサーとアクセラレータユニット IIとの組み合わせで高感度における画質がK-1 Mark IIやKPに比べてさらに良くなったと実感しています。個人的な使用感ですと、動物園の室内展示におけるレッサーパンダの毛並みなどを表現出来る感度として、K-1 Mark IIやKPでは最高使用感度がISO3200であったのに対して、K-3 Mark IIIではより一段高いISO6400を使用できるようになったと思います。動物園においては室内展示のように暗い場面での撮影もありますから、高感度耐性の向上は無条件に喜ばしいです。

測距点の数が101点と、従来機種に比べて大幅に増えたことで、ファインダー内で選べる構図の自由度が大きく改善されています。また、約30.7万画素のRGBIr測光センサーを搭載し、動体予測アルゴリズムが改善されたおかげで、特にカメラに対する前後方向の動きにも追従性が向上していると思います。加えて、秒間連写コマ数が向上したことでカメラに対して向かってくるような被写体への合焦率も向上していると思います。実際に使用してみて、従来機種に比べて選んだ測距点に迷いなくピントが合うようになったと思います。連写バッファについては現時点では必要十分です。動物園においては予期しないドラマが起こることがしばしばありますが、そういった場面に即応できるカメラに仕上がっていると思います。

カメラ本体の多くのボタンが、ユーザーが任意の機能を割りあてられるFxボタンとなったことで、撮影者ごとに使いやすい操作性を追求できるようになっていると思います。ユーザーごとに慣れ親しんだ操作体系があると思うので、今回の操作性の柔軟性の高さは素晴らしいと思います。 特に、K-3 Mark IIIではスマートファンクションダイヤルに動体撮影に特化した設定を割り当てられるようになっています。動物園での動体撮影が主な私の場合は、ユーザーAFでAFモードとAFエリアを柔軟に組み合わせつつ、状況に応じて即座に切り替えられるようにしています。 また、シャッターフィールについても今までのKマウントにはない上質なものに仕上がっていると思います。リーフスイッチシャッターは滑らかなシャッターシークエンスの導入となり、キレの良いキビキビとしたミラーの駆動音はついつい余計にシャッターを切ってしまいます。 シャッター音は高速連写機だからといって大きすぎず上品であり、周囲への配慮も十分なされていると思います。

K-1/Mark IIやKPで採用されていたペンタプリズム部のデザインはK-3 Mark IIIにも受け継がれており、一眼レフカメラを主張した力強いものになっていると思います。個人的に、カメラは見た目も大事なのでこのペンタプリズム部のデザインが採用されたことは喜ばしいです。また、グリップの造形はさすがPENTAXといったところで、バッテリーグリップを含め、握りやすさへのこだわりが感じられます。望遠レンズを使用する時でも安心できる握り心地です。