製品:PENTAX K-3 Mark III ボディキット シルバー、レンズ:smc PENTAX-D FA マクロ 100mm F2.8 WR

総合評価 星5つ

とにかく、K-3IIの後継機を出していただきありがとうございます。全ての面で進歩していて素晴らしいカメラに仕上がっており、長く使って行きたいです。今まで以上に、マクロ撮影が楽しくなりそうで満足しています。

製品コンセプト 星5つ

K-3 Mark IIIで大きく見えやすくなったファインダーとさらに改善された手ブレ補正機能、軽快なシャッター、そしてしっかりとしたグリップ性能は、小さな昆虫達の世界を覗き込み、写真として残す楽しさをさらに高めてくれていると感じました。最初に選んだ被写体は、ゾンビアリとも呼ばれる小さなキノコ。1cm程度のアリに感染し木の枝先にしがみつかせて斃す菌類です。昨夏の終わりに感染死したアリの頭部の付け根からニョキニョキとキノコが成長する様を、芽吹いたばかりの新緑とその隙間から覗く青空をバックに手持ち等倍で思い通りのイメージで記録することができました。

光学ファインダー 星4つ

光学ファインダー目当てでこのカメラを手にしたと言っても過言ではないくらい、マクロ撮影での見えやすさは、このカメラに期待していた部分です。マクロ撮影でのピント合わせは、とてもシビアです。私は基本的にいつもマニュアルでピント合わせ。今回はマクロレンズのピントを最大倍率の等倍にしておき、身体を前後左右させて、アリの目を中心に身体全体と、キノコの子実体の一部にもピントが合うように良い位置を探っています。それで、マクロ撮影での光学ファインダーの使用感は、確かに見やすくなった気がするけど、まあこんなもんかと言う感じでした。期待が大きすぎたかも知れません(笑)今までK-3IIのファインダーに慣れて使用してきており、確かに見えやすくはあるけど撮影の難易度はそこまで変わらないかなというのが正直な感想です。多分、元々K-3IIのファインダーでも十分ピントの山が掴みやすかったのだと思います。ただ、視野が大きくなった分、これまでよりも被写体だけでなく周囲まで気にして撮影に集中できるようになったと思います。今後、しばらくこのカメラを使い続けた時に、今までのカメラのファインダーが逆に見え辛くなるのではないかと、ちょっと恐れています。ぜひ今後も、光学ファインダー性能の追求を続けて行っていただきたく思います。

画質 星4つ

これまで使用していたK-3IIでは基本的にマクロ撮影ではストロボを併用してISO100〜200を中心にたまに400で撮影しており、低感度中心で画質にも満足して使用していました。今回はISO400で撮影しましたが画質そのものについては特に大きな進化は感じられませんでしたが、まあ満足という感じです。一方、画質をサポートする手ブレ補正については、K-3IIから良くなっているのを実感できました。今回の被写体のような植物体上の昆虫等を撮影する場合、ISO100で絞り込んで、ストロボを使ってフラッシュ同調速度でシャッターを切るような場合、手ブレはほとんど気にならず、被写体自体は綺麗に写し止めることが可能です。但し、背景にある新緑や青空の色は出ず黒バック写真のようになってしまいます。今回は、新緑の色を背景に残したかったので、ISOは400まで上げてシャッタースピードも同調速度である1/200ではなく、1/80まで下げています。今までK-3IIで同様の撮影をすると、わずかな手ブレで、被写体と背景の境目に色被りや黒い線ができてしまうことが多く、何度何度も撮り直してその中から、良いものを選んでいましたが、途中で集中力が続かなくなることも多々ありました。今回、K-3 Mark IIIでは、手ブレせずに撮影できる確率がぐんと高まっており、シビアな条件でも集中力を切らさずに撮影できました。高感度の画質の評価はまだできていませんが、高感度が使えることで表現の可能性が広がりそうです。今回も、もう少し感度を上げてフラッシュ同調速度での撮影もしてみれば良かったと後になって気づきました。今回、絞りをf16まで絞り込んでいますが、回析の影響が出ており、像全体がやや甘くなっています。PENTAXの100mmマクロの私の許容範囲は、実際はf11かf13くらいまでで、そのほうがピント面はシャープです。できるかはわかりませんが、今後、フォーカスブラケットや深度合成等の機能追加がされれば嬉しく思います。期待しています。

動体性能 星4つ

今回のマクロ撮影はじっとしている被写体だったため、動体性能は評価できませんでした。代わりに、もうすぐ2歳になる息子と散歩して、被写体になってもらいました。これまでは、走り回る子供にピントを合わせるのは諦めて、置きピンで撮影していましたが、このカメラは77mmのレンズでAF-Sでもしっかりピントのあった写真が撮れ驚いています。AF-Cについては、これまで使いこなせた試しがないため、まだ使っておらず、これから評価していきたいと思います。

操作性 星5つ

このカメラを使って、最も感動したのはグリップです。私は普段、撮影に邪魔になるストラップはつけておらず、基本的に右手一本で持ち歩いています。グリップがしっかりしていないと疲れてしまいます。KPは軽くて良いのですが、レンズによっては手に持った時のバランスに馴染めず、持ってはいるものの出番は少ない状態でした。今回のK-3 Mark IIIは、従来使用していたK-3IIよりも重量アップしている点が気になっていましたが、グリップ性が私の手にすごく合っていてバランス良く持つことができ、重さの負担を気にせずに撮影できており、嬉しい誤算でした。また、シャッターがすごく軽快になっており、心地よくなって、撮っていて楽しいです。K-3IIでは、マクロ撮影時にシャッター半押しの状態で昆虫にピント合わせ後、シャッターを押しときには、虫が動いたりしてピントが外れたりしていましたが、レスポンスが良くなって、シャッターチャンスにも強くなったと感じます。ボタンの配置やメニュー、タッチパネルには、まだまだ慣れが必要な状態ですが、そのうち、慣れるだろうと思っています。恐らく、これまでのカメラでも機能を使いこなせていなかったのに、機能がさらに増えていて、せっかくなので頑張って使いこなしていきたいと思います。Web上でも、機能の発信はしていっていただいているようですが、可能であれば有償でも良いので紙媒体の虎の巻もあると嬉しいです。

デザイン 星5つ

軍艦部の出っ張りが無くなったのでスッキリしてカッコいいです。小型のレンズがよく似合うようになったと思います。

その他ご意見や、ご購入を検討されている方へのアドバイス

このカメラを手にして、小型軽量なPENTAXのマクロレンズとの組み合わせで、今まで以上に小さな生き物の世界が楽しめそうです。ただ、初めての人が、PENTAXを選んで手軽にマクロ撮影を楽しめるかというと、まだまだ改善して欲しいところはたくさん有ります。例えば、このカメラにはフラッシュがなく、外付けでもマクロ用のストロボはラインナップから無くなって久しいです。カメラやレンズが良くても、ストロボが無いと表現の幅は狭まります。私も純正のストロボは壊れてしまい修理もできないので、社外品をマニュアルで使用しています。私はそれでも良いですが、これからマクロ撮影をする人には、システムとして選ばれづらい状況ではと思ってしまいます。もう少しシステム全体で初心者でも本格的なマクロ撮影が手軽にできるものになるよう、工夫や提案もしていっていただきたいです。ずっとこれからもPENTAXのカメラでマクロ撮影したいので是非よろしくお願いいたします。