こんにちは

写真好きのカメラオタクな商品企画の大久保(以下O)です。最近は仕事ばかりしています(当たり前ですね、、)。
リコーイメージングスクエア東京では、アート系の作品を取り扱うギャラリーAと、その隣に主に公募展の展示を行うギャラリーRが用意されています。
新型コロナ禍で公開が遅れましたが、緊急事態宣言が解除されたことを受け、ギャラリーRで6/4から藤林敏啓さんの「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」を開催しています。
今回は藤林さんに、「空港散歩2020〜鳥取空港魅力の情景〜」についてお話を伺ってきました。

T.Fujiba(藤林 敏啓)

 

 

 

 

 

 

 

1970年生まれ、兵庫県出身。
鳥取市在住の会社員。出張で飛行機の利用を繰り返すうち、飛行機に興味を持つ。ふとしたきっかけから、ヒコーキ写真の聖地下地島空港に行きたいと思い立ち、ヒコーキ写真をはじめる。ある日、羽田空港で航空写真家 ルーク・オザワ氏と出会ってから、氏の手がける「情景的ヒコーキ写真(飛行機と風景をシンクロさせた作品)」の魅力に取り憑かれる。
鳥取空港/羽田空港をメインに他各地の空港へも足を向ける。訪れた空港は北は北海道から南は沖縄まで20空港を超える。

写真展
2016年 「IMPRESSIVE SKIES」成田空港 NAAギャラリー (グループ展)
2017年〜2018年 「空港散歩 〜鳥取空港魅力の情景〜」 フレームマン ギンザ サロン、鳥取空港 (個展)
2019年 「空港散歩 〜大田区羽田 ヒコーキとニャン〜」 鳥取空港(個展)
2020年 「鴨鍋始めました 4/5」「Hello, Goodbye.」フレームマン エキシビジョンサロン銀座(グループ展)

>>FUJIBA WORKS/ふじば製作所
HPでは過去の写真展の作品を見ることができます

<空港散歩>

まず今回の展示の主役でもある飛行機について藤林さん(以下)に伺いました。

O:飛行機を題材にしていますが、飛行機を撮るきっかけを教えてください。
F:出張で東京に出る機会が多く、飛行機に乗っているうちに、だんだん興味が出てライトな航空ファンになりました。一方で野球観戦もしていてそこで望遠撮影をしていました。飛行機写真は沖縄の下地島空港が民間の航空会社の訓練をしていてとてもきれいと聞き、実際に行って撮りたいと思ったのが始まりです。
その時の写真が個人的にとても良かったのです。また羽田空港で偶然にも情景的飛行機写真ではカリスマ的存在でもあるルーク・オザワさんとお会いして、ルーク・オザワさんの情景的ヒコーキ作品に触れて行く中で、こんな写真を撮っていきたいという思いが強くなっていきました。

〔沖縄下地島空港で撮った写真。これが藤林さんの飛行機写真の始まり〕

O:もともと子供のころから飛行機が好きだったんでしょうか?
F:生まれたのは豊中ですが、物心がついたころには兵庫県北部に移り住んだので子供のころは飛行機を見たことがないのです。
O:飛行機の大ファンというわけではないのに、飛行機がいる情景を撮るのが不思議です。飛行機がなんらかのカギになっているのでしょうか?
F:飛行機を入れることという制約のもとで、この情景を表現するとどうなるかを考えています。
これはよくあるのですが、良い情景に出会った時になぜここに飛行機がいないのかと考えてしまうのです。飛行機が好きだからというのもあります。
ただ情景を撮りたいのではなく、飛行機がいることが大事だなと思ってます。
鳥取空港だと1日に10回しかチャンスがなく、そこにいくつの事象を重ねられるかを意識してます。

F:例えば、この写真は汽車と飛行機ですが、汽車は数本/時間しかない。そこを重ねています。
走っている汽車と飛行機を絡めたかったのです。汽車のダイヤと飛行機の時間が大体合う時間にいって、あとは偶然を待ちます。
またこの時は汽車の塗装もいい感じの車両が来てくれたのが良かったです。

O:街のパーツとして汽車と飛行機が入っていて上下を水で挟まれていて不思議な写真ですね。
今回の展示のテーマ。鳥取と飛行機を組み合わせた動機を教えてもらってよいでしょうか?

F:まず、鳥取が自分の地元であるということ。今回のテーマは2017年の「空港散歩 〜鳥取空港魅力の情景〜」の発展形です。
鳥取空港だけでやると面白い。シャッターチャンスが限りなく少ないのです。
いろいろな制約条件のなかでどれだけのものが造り出せるか。1日5便しかない。普通にやっていたのでは似たような写真になる可能性があります。
その中で造り上げていく面白さがあるのではないかと思っています。
私の本業はソフトウエア開発なのですが、ソフトウエア開発もいろんな制約の中から答えを出して行きます。その経験ともつながっていると思います。
プログラムの世界でも制約がないと意外と作りにくいのです。

確かに写真も制約を設けると、むしろ写真に個性が出ることがあると思います。
例えば、今回は飛行機はせいぜい3機種で航空会社はANAのみ。
同じ機種を様々な情景で撮り複数枚で見ると、それぞれの写真の中では飛行機の存在感は相対的に薄くなり、写真全体つまりは飛行機のある街を感じさせてくれます。
また、夕日の情景では画面に大きく飛行機を配し、まるで飛行場をスタジオとした飛行機のポートレートの様です。
ここでも飛行機の種類が少ないため、飛行機の個性である形状や塗装が目立たず、飛行機がアイコン化しているので、印象的な情景になっていると思います。

〔クリックすると大きくなります〕

〔クリックすると大きくなります〕

O:夕日の情景が多いですね。こちらの壁一面ほとんどの写真が夕日の情景です。
F:今回の展示のメインテーマです。夕方は一番フォトジェニックで一度として同じ表情は撮れないので何度でも通ってしまいます。
飛行機を撮り始める前は鳥取砂丘の夕日を撮っていました。仕事帰りに焼けていると思ったら撮りに行く習慣があり、30分ほどでフイルム1本撮っていました。
その時の習慣が飛行機を撮る今でも続いていますね。
O:なるほど習慣なので「散歩」なわけですね。あと写真の下にキャプションがあるのですが、そこに便名が記されています。なぜ便名を入れているのでしょうか?
F:この飛行機を運航している人が展示を見たときに気が付いてくれる事を期待して記しています。

東京での展示は11日間です。その間に運航に携わる人がギャラリーに足を運ぶのはそれなりの偶然が必要な気がします。
藤林さんは写真展に何を求めているのか気になります。

<写真展について>

O:今回で何回目の写真展になるのでしょうか?
F個展ですと、4回目です。
きっかけとしては飛行機写真仲間との間で「何かやりたいね」という話があり、2016年に成田空港のギャラリーへグループ展として応募しました。
ここでは写真展の作法を学びました。次に2017年にフレームマン銀座のミニギャラリーで展示した時に、写真家の小城崇史さんから、
「これだけのクオリティでできるならフルの展示ができますよ」とアドバイスをもらいました。
そのアドバイスをもらって、リコーイメージングスクエアで写真展を行うのを目標と置きました。

藤林さんにとって写真展が作品を創っていく中でマイルストーンになっているんだなと思いました。
つまり写真展を行い、そこで得られたフィードバックを次の写真展に盛り込んでいるように思います。

O:藤林さんは写真展を繰り返しているのですが、1回写真展を終えたあと、次の写真展に向けてどのように準備を進めているのでしょうか?
F:まず、次のネタ(表現)として何かあるかなと考えます。
そして、鳥取空港で写真展をやったときは、鳥取空港という場所があり、鳥取空港ビルや
「鳥取空港の利用を促進する懇話会」との繋がりもできて
鳥取空港の賑わいを作るなかでイベントをしようとなりました。そこで私ができるのは写真展であり、それを進めていこう。
写真展をどういうテーマでやっていくかを関係者に提案してやっていました。

O:藤林さんにとって、写真展を行う意味や楽しさがあれば教えてもらえますか?
F:見てくれる人がいてその人からのフィードバックもありますし、やはり自分の作品と向き合うことができます。
カメラのシャッターを切って始まり、写真をセレクトする過程で自分の作品と向き合っていく。
その結果を写真展として出していったときに新たな人とのつながりも出てきます。
大変だけど達成感、やり切ったなという達成感を味わえますね。

藤林さんは人とのつながりを大事にしているので、便名を入れているのですね。今回はNH298便が17枚、NH297便が16枚展示されてます。
もしこの記事を読んでくださる方で、運航に携わっている方をご存知でしたらその方に声をかけていただければと思います。
そこから新たな関係が生まれ、それが藤林さんの写真展のフィードバックになり次の写真展につながるからです。

展示の写真は紙のプリントで構成されています。写真をプリントする事についても聞いてみました。

O写真をプリントにすることの意味について教えてください。
F:私はプリントが最終のデバイスだと思っています。実際にこの場所に来て見ていただくという事は見る人の環境を固定することができるという事です。
PCやスマホだとディスプレイの色が違うことが多いので、違う写真になってしまいます。そこでは、その違う写真を見て判断していることもあるだろうなと思います。
また、SNSだと写真が流れて行ってしまいます。SNSは0.5秒で消費されるコンテンツになっていると思います。
紙にプリントした写真を見ると0.5秒では見れない。また、プリントは何度も見返すことができるのが大事だと思っています。

鳥取の街をベースに飛行機を入れた情景写真。
飛行機は都市のパーツでもあるので、飛行機を写真に入れることで鳥取を地方都市として俯瞰して見る感覚が得られます。
飛行機のディティールだけでなく、その場所をいろいろ考えるきっかけを与えてくれる写真。
その写真を作者の意図とおりの環境で整えられているのが「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」です。
今回は3年撮りためた3万枚からセレクトされた44枚が展示されています。
もし、少しでも興味を持たれるようでしたら、是非リコーイメージングスクエア東京に足を運び写真を堪能されてはいかがでしょうか。展示は6/15までです。
また「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」はリコーイメージングスウエア大阪でも7/16から開催される予定です。
東京は遠いけど大阪なら、、という方はそちらで見ていただければと思います。
藤林さんの飛行機情景写真は40才台になってから始められています。また写真をメインの職業にされているわけでもありません。
まさに「人間、志を立てるのに遅すぎるということはない」ということだと思います。
また、写真展を具体的にどう準備して進めていけばよいかという課題は別の機会で触れられればと思います。

ただ、今は緊急事態宣言は解除されたとはいえ、新型コロナ禍の最中です。
ご来館いただく際以下のご協力をお願い致します。
・入口にて検温させていただきます。(非接触型の体温計を使用いたします)
※37.5℃以上の方のご入場はお断りをさせていただきます。予めご了承ください。
・手の消毒を行ってからの入場にご協力をお願い致します。
・来館時には必ずマスクの着用をお願い致します。
・過度に込み合わないよう、状況により入場制限をさせていただく場合がございますのでご了承ください。
・場内では、お客様同士のソーシャルディスタンス(約2m)の確保にご協力ください。
以下に該当する方々の来館をご遠慮いただきますようお願いいたします。
・咳の出る方
・37.5℃以上の発熱の有る方
・その他体調不良の方

今回の展示において、藤林さんは本業であるソフトウエア開発の能力を活かし、オンライン芳名帳を用意されています。


雑談の中ででた藤林さんの言葉を最後に紹介したいと思います。
「(コロナ禍があり)写真展は今までのお作法通りにできなくなると思います。芳名帳一つとっても接触しないようにしないといけない。新しいことを考えないといけない。写真展のあり様は時代とともに変わっていくと思います。
大きな視点では最終デバイスのプリントを見るという行為をどうしていくのだろうと思うし、それはすごく大きな課題だと思っています。
今ちょうど変換点に立ち会っていると思っています。変わっていく時代のスタート地点に立ったのではないかなと。今後はその時代の変化にマッチできる何かができたらいいなとは思います。」

 

写真展「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」T.Fujiba(藤林敏啓)の会期は6月15日(月)までです。

開催概要は>>こちら