こんにちは、ジョニーです。

「みなさんには明日からクロスプロセスだけを使って写真を撮影してもらいます!」
そう言われたら困りますよね。私は困ります(笑)。

クロスプロセスを使用している方のツイートやブログなどを拝見していますが、他のカスタムイメージと比べると使用頻度がとても少ないのが現状です。

PENTAXのクロスプロセスは使いこなしがとても重要で、しかもコツがいるのですが、メーカーとして訴求活動を積極的に行ってきたとは言い難く、ユーザーのみなさんに伝わっていないのではないかと反省しています。

今回、一人でも多くのユーザーさんにクロスプロセスを使って頂けるよう、誠心誠意、詳しくお伝えしようと思いますので、ぜひご覧になって下さい。

クロスプロセスとは

クロスプロセスとはフィルムの撮影・現像の技法で、クロス現像とも呼ばれます。

フィルムカメラは撮影時に使用するフィルムと、フィルムに合わせた現像処理で画作りを行います。カラーリバーサルフィルムにはカラーリバーサルフィルム用の現像処理をし、ネガフィルムにはネガフィルム用の現像処理を行うのですが、クロスプロセスはカラーリバーサルフィルムにネガフィルム用の現像処理、またはその逆の処理を行うことで、色味やコントラストを意図的に崩して現像する手法です。意図的に崩すので出てくる結果はコントロールできず、想定外に良いものになったり、全くダメなものになったりします。

詳しい説明はインターネットにたくさんあるので検索してみてください。

PENTAXのクロスプロセスの歴史

PENTAXのレンズ交換式カメラとしてクロスプロセスがはじめて搭載されたのは、2009年に発売したPENTAX K-xです。実に12年も前になります。
K-xではカスタムイメージの一部ではなく、現在の撮影時のデジタルフィルターのように独立した機能でした。

参考画面:K-5II(s)のクロスプロセス

K-xの検討時、パラメータを自由に調整できる形にするとあまりに複雑になってしまうため、多くのユーザーさんに使ってもらえないだろうと考え、撮影毎にパラメータをランダムに変更させることで、フィルムのクロスプロセス処理と同じように偶発性を出し、写真が出来上がるまでのワクワク感までも楽しめる機能にしました。

後から加工ができるRAWでの撮影も禁止し、JPEG撮影専用の機能になっています。

写真が好きな方ほど、自分自身でパラメータを調整して自分好みの写真を作りこんでいく。それこそがカスタムイメージの醍醐味であり、それと同時にPENTAXの良さだと考えているのではないでしょうか。それに対してこの偶発性に任せる尖りすぎた仕様は波紋を呼ぶことになり、後にメーカーおすすめのプリセットの追加や、シャッフルで撮影された結果を「お気に入り」として登録するための機能などが追加されることになります。

数年後、クロスプロセスとカスタムイメージは同時に設定できない機能で、共に画作りに関する設定だったこともあり、カスタムイメージの一部に統合され、現在の仕様に至ります。

 

クロスプロセス「シャッフル」の中身

前述した経緯のとおり偶発性を前面に押し出しているため、現在でも初期設定値はシャッフルになっています。この初期設定値によって多くのユーザーさんがクロスプロセスを使わなくなる(なった)のではないかと想像します。

ここではシャッフルがどのようなことをしているのかお伝えしましょう。

・カスタムイメージ(鮮やかやナチュラルなど数種類)
・彩度/色相/キー/コントラスト/シャープネスといった5種類の詳細設定パラメータ
・通常のカスタムイメージでは変更ができないトーンカーブ
この7つの設定値を、撮影する度に完全にランダムに組み合わせて処理を行います。カスタムイメージを使いこなしているユーザーさんなら、このメーカーは何てことをしているんだ!とすぐに理解されるでしょう。パラメータの組み合わせとしては、画作りには大きな影響を与えないシャープネスを除いても、約10万通りもある組み合わせの結果が最終的な写真となって表れます。

クロスプロセスのシャッフルを1回使ってみようかと思ってたとき、おそらく数枚は撮影すると思います。その数枚の間に約10万通りもある中から良い感じの写真を引き当てることは困難です。宝くじも種類がありますが、確率で言うと1等が3千万円程度の宝くじで2等に当選するくらいの確率です。せっかく使っていただいたのにこの機能の楽しさを体験することができず、撮るたびに仕上げがころころ変わってしまう写真だけが結果として残された場合、よくわからない機能と思ってしまい、二度と使わなくなるのではないでしょうか。
逆に言うと、数枚撮影する間に良い感じの写真を引き当てられたとてもラッキーな人は、クロスプロセスの虜になっているのだと思います。

同じような機能としてドラゴンクエストの「じゅもん」の1つである「パルプンテ」が当てはまるのではないでしょうか。
※ゲームをやらない人のために補足すると、何が起こるか使ってみるまでわからないじゅもんです。敵だけに悪い効果、味方だけに良い効果だけならいいのですが、敵味方が全回復するとか、何も起こらない、といったギャンブル性の高いじゅもんです。

現時点ではクロスプロセスのシャッフルは、何が起こるかわからない、当たれば最高の写真になる可能性を持ちつつ、思った写真にならないことの方が多くて使い辛い、そんな機能だと思われるでしょう。でも、使いこなすことで「パルプンテ」のメリットの部分だけを毎回使うことができるとしたら、それは是非とも体験したいと思うのではないでしょうか。

実は知られていないだけでそれができるんです!

ここからは使いこなしについて深堀していきましょう。

クロスプロセスを使いこなす:シャッフル写真を大量に取得する

はじめにクロスプロセスのシャッフルを使用して、大量の写真を取得します。
多ければ多い方がより好みの写真が見つかる可能性は広がりますが、厳選するのも大変になりますので、まずは適度に集めてみましょう。

ここではできるだけカメラにやさしい方法を機種ごとにご案内します。

◆PENTAX K-3 Mark III、PENTAX KPの場合

ライブビュー撮影+電子シャッターを使用して連続撮影を行います。

撮影モード ライブビュー
シャッターモード 電子シャッター ※K-3 Mark IIIではFWアップデートの機能です。バージョン1.10以降にバージョンアップしてご利用ください
カスタムイメージ クロスプロセス(シャッフル)
ドライブモード(K-3 Mark III) 連続撮影(H)
ドライブモード(KP) 連続撮影(M) ※Image Syncを利用するため連続撮影(M)に設定します
タイマー/リモコン(K-3 Mark III) リモコン
記録形式 JPEG
JPEG記録サイズ XSサイズ
JPEG画質 ☆(エコノミー)

 

上記の設定にし、K-3 Mark IIIは赤外リモコンを利用して連続撮影を開始します。1回目のレリーズボタン操作で連続撮影を開始して、2回目のレリーズボタン操作で撮影を終了します。
KPは赤外リモコンが非対応のため、Image Syncのリモート撮影を使用して連続撮影を開始します。K-3 Mark IIIの赤外リモコン同様、リモート撮影の1回目のレリーズ操作で連続撮影を開始して、2回目のレリーズ操作で撮影を終了します。

明るい環境で6分間撮影を行ったところ、K-3 Mark IIIは約900枚、KPは約600枚の写真が撮影できました。

K-3 Mark IIIの場合は連続撮影をインターバル撮影に変更するのも有効です。その際はレンズの絞りは開放に設定しましょう。インターバル撮影は撮影毎の間隔が開くため、撮影枚数は連続撮影よりも少なくなります。

◆PENTAX K-1 Mark II/PENTAX K-1/PENTAX K-70の場合

ここではRAW現像を使用することで撮影回数を減らします。お気に入りのRAW画像を一枚、SDカードに保存してください。被写体によってシャッフルのイメージが変わってくるので、できればクロスプロセスで撮影したい被写体が写っている写真が良いです。

以下の設定を変更してから、RAW展開をひたすらに行います。

カスタムイメージ クロスプロセス(シャッフル)
JPEG記録サイズ XSサイズ
JPEG画質 ☆(エコノミー)
ホワイトバランス ※任意 選択したいホワイトバランス ※同じシャッフル結果でも大きく違う仕上げになります

 

K-1 Mark IIを例にあげると以下の流れになります。

【手順1】RAW画像を用意する(クロスプロセスで使用したい被写体だとなお良い)
【手順2】再生ボタンを押してから下ボタンを押し、RAW展開→1画像選択を選択する
【手順3】カスタムイメージ、JPEG記録サイズ、JPEG画質の設定を変更して、右下の保存を選択する
【手順4】OKボタンを押して保存を選択する
【手順5】SD1に保存を選択する
【手順6】継続を選択する
ここで手順4に戻るので、手順4~6を繰り返すことでSDカードにクロスプロセスのシャッフルが適用された写真が保存されます。テレビやYoutubeなどを見ながら数分から数十分繰り返してください。

5分間OKボタンを押し続けてみたところ、約170枚の写真が保存できました。

◆PENTAX K-3II/PENTAX K-3/PENTAX K-50/PENTAX K-30/PENTAX K-01/PENTAX Qシリーズ(Q-S1/Q-7/Q-10/Q)

K-1のグループと基本的に同じ手順なのですが、継続を選択した後にカスタムイメージを一度変更して、再度クロスプロセス:シャッフルを選択する必要があります。
手順1~3までは同等手順4.OKボタンを押して保存を選択する
【手順5】SD1に保存を選択する
【手順6】継続を選択する
【手順7】カスタムイメージをクロスプロセス:シャッフルから鮮やかに変更して、クロスプロセス:シャッフルに戻して、右下の保存を選択する
手順4~7を繰り返すことになります。ながら操作は難しくなりますがコツコツ行ってください。

同じRAW画像が複数枚ある場合はフォルダー現像も有効です。ただし、保存したファイル名が同一になってしまうため、後述するパソコンでの厳選にはファイル名を変更するなど、多少テクニックが必要になります。

◆PENTAX K-5II(s)/PENTAX K-5/PENTAX K-r
クロスプロセスがRAWで撮影できない機種のため、撮影するしかありません。
しかし、シャッフルの当たりが出るまで撮影したことによる故障については責任を負いかねます。せっかく長年大事に使っていただいているカメラなので、クロスプロセスの厳選はあきらめて、大事にされることをおすすめしたいです。
もしどうしても試したい方は、自己責任になりますが以下の設定で撮影を行ってください。

クロスプロセス シャッフル
ドライブモード 連続撮影(H)
記録形式 JPEG
JPEG記録サイズ XSサイズ
JPEG画質 ☆(エコノミー)
ホワイトバランス ※任意 選択したいホワイトバランス ※同じシャッフルでも大きく違う仕上げになります

 

◆PENTAX K-x
シャッフルの登録はできません。PENTAXのクロスプロセスの思想の根底にある撮影現場でのシャッフルをお楽しみください。
偶発性にはどうしても頼れない場合、3種類のプリセットもご利用できます。

クロスプロセスを使いこなす:厳選編

K-3Mark IIIで撮影したシャッフルの写真、壮観ですね

たくさんの写真を用意して複数画像表示にするとこのような画面になります。ここまで来たら次は厳選です。

今、カメラ内に保存されている写真は約10万通りの一部です。
自分のイメージする仕上がりになっている写真を厳選しましょう。

厳選にはカメラ内の再生機能のプロテクトやコピーなどが有効です。

◆プロテクトの場合

プロテクトの場合は気に入った写真をプロテクトして、その後に全画像消去を行い不要な写真を消去します。
せっかく時間をかけて取得した写真ですので多めに残したり、パソコンに保存しておくのもいいと思います。XSサイズ、☆1つで用意したので容量も小さく済みます。注意点として、カードのフォーマットではプロテクトした写真も消去されてしまうので、全画像消去を使用しましょう。

K-3 Mark IIIを例に手順を説明します。
複数画像表示からAEロックボタンを押してプロテクトを選択します。一度後電子ダイヤルを操作すると1画像表示で写真を確認ができます。OKボタンを押すとプロテクト/解除がトグルで切替わります。右上が鍵のアイコンならプロテクト、四角の枠だけの場合は解除です。写真を選択したらINFOボタンでプロテクト/解除を実行しましょう。

全画像消去は1画像再生中に消去ボタンを押して、一番下に表示されます。
現在再生中のSDスロットが対象となりますので気を付けてください。

◆コピーの場合

Wスロット機種の場合はコピーが有効です。気に入った写真だけをもう一方のスロットにコピーして保存しましょう。

こちらもK-3 Mark IIIを例に手順を説明しますが、プロテクトとほぼ同じで、複数画像表示からAEロックボタンを押してコピーを選択し、一度後電子ダイヤルを操作して1画像表示にしたらOKボタンで残したい写真をチェックしていきます。チェックが終わったらINFOボタンでコピーを実行しましょう。

 

1回の厳選作業で数十枚~数百枚の写真から最終的に「お気に入り」として登録する数枚を選びきるのは難しいと思います。大雑把に好みの写真を残していくと似たような雰囲気の仕上げが残りますので、類似する仕上がりの写真を減らしながら徐々に枚数を減らしていき、最終的に残しておく数枚を厳選しましょう。

今回、記事のためにコピーでの厳選を行ってみました。
951枚の写真を1画像表示サイズで見ながら大雑把に選ぶのに約30分の時間がかかり、107枚まで減らしました。
被写体が悪かったせいか、左下のゲートブリッジの後ろに富士山が見える場合と見えない場合があり、前半はどうしても富士山が見えるコントラストとシャープネスの強い写真ばかりを選んでいました。

途中からは今まで選んでいないようなやわらかい仕上げも選ぶように気を付けて選ぶようにしました。
私のように普段は似た方向性の写真ばかりになってしまう人も、いろいろな選択肢が見えるのはメリットかなと思います。

次はより細かく厳選していきます。今回は私自身がパソコンを使って厳選した方法をご紹介しますが、カメラ内で特定の写真だけをコピーして似た雰囲気の仕上げだけを集める方法なども考えられます。ご自身にあったやり方を模索してみてください。

以下は今回、私がパソコンで行った手順です。

【手順1】新規フォルダーを作り似た雰囲気の仕上げをまとめる。
フォルダーの名称は自分が分かればOKですが、仕上げの雰囲気が分かるように”Blue”、”Purple”といった名前にしてみました。
そのフォルダーの中に仕上げの近い写真を移動していきましょう。

【手順2】より近い仕上がりの写真を集める。
全体でみると同じ青系の写真としてまとめたはずが、青系だけまとまったフォルダーを見てみるといろいろな仕上げが混ざっていることが分かります。映画で有名な青系の仕上げに似た写真もありますね。

これを隣り合わせで比較できるように青系の中でもさらに近い仕上げをまとめていきましょう。フォルダー内が以下のような見た目になります。

ここまでくれば、好きな仕上げを厳選できるでしょう。

私が繰り返した結果ですが、以下のようなフォルダーが出来上がりました。
青系:3フォルダー
緑系:2フォルダー
紫系:4フォルダー
黄色系:4フォルダー
被写体の色味が残っているナチュラル系:4フォルダー

 

【手順3】カメラが認識できるフォルダー名称に変更する。

そのままパソコン上で最適な1枚を選び出してもいいのですが、せっかくなのでカメラに戻して表示したいと思います。
前3桁の数字が100~999のユニークな番号となっていること、フォルダー名称が半角の英数字で8文字であること、この2点が出来ていればカメラ内でフォルダーが表示できます。
数字以外の部分でフォルダー名から仕上げの雰囲気が分かるように”Blue”は”B”といった名称を付けてみました。

【手順4】カメラ内で最終的に使いたい仕上げを厳選する。

SDカードをカメラ内に戻したら、再生して確認しましょう。後電子ダイヤルを左側に2回操作するとフォルダー表示になります。
右上のフォルダー名に先ほど設定した名称が表示されていることが分かります。


K-3 Mark IIIの場合、再生メニューの「再生順序設定」が「撮影日時」になっているとフォルダーの順番と関係なく撮影タイミングでソートされてしまいます。「再生順序設定」は「ファイル番号」を選択しましょう。そうすると複数画像表示がこのように近い仕上げでまとめたフォルダー毎に表示されます。

フォルダーを選んでOKボタンを押すと、複数画像表示の画面になります。

近い仕上がりの写真が近くに並びました。これでも比較するには荒かったようで、画像送り時に隣の写真との比較が難しかったですが、勢いも大切です(笑) 好きな写真を選びきりましょう。

最終的に下のような5枚を選びました。上の段の中央がカスタムイメージ:鮮やかで現像した写真です。


クロスプロセスを使いこなす:登録編

厳選が終わったら登録します。

クロスプロセスへの登録は再生モード、メニューのいずれかから実行できます。

K-3 Mark IIIを例に手順を説明します。K-3 Mark IIIばかりですみません。現行機種の最新モデルなので…、他の機種についても補足を入れます。

【手順1】クロスプロセスの写真を表示します。

【手順2】「AEロックボタン」→「クロスプロセス登録」を選択します。クロスプロセスの写真が選択されていない場合はクロスプロセス画像のサーチが始まります。

【手順3】登録する番号 1~3を選択します。

これで登録は完了です。

登録時にもし違うクロスプロセスの写真が見たくなった場合、手順3の状態で前電子ダイヤルによる写真の切替も可能です。

機種ごとに手順2の操作が違うので以下の表にまとめます。ほとんどの機種は再生画面からの機能選択画面でクロスプロセスの登録が可能です。

機種名 クロスプロセスの登録方法
K-3 Mark III 1画像再生中にAEロックボタン→「クロスプロセス登録」 ※再生メニューからも可能
K-1 Mark II/PENTAX K-1
K-3II/PENTAX K-3
KP
K-70
K-50
K-30
K-01
Qシリーズ(Q-S1/Q-7/Q-10/Q)
1画像再生中に下ボタン→「クロスプロセス登録
K-5II(s)
K-5
K-r
撮影メニュー2「クロスプロセス」→「設定登録」

 

ここまで完了すると、「カスタムイメージ」→「クロスプロセス」→「お気に入り」に厳選した仕上がりが登録されます。あとは撮影シーンに合わせて「クロスプロセス」の詳細設定から「お気に入り」を選択するだけで使えるようになります。被写体に合わせて「お気に入り」を使っていきましょう。

さらに、RAW現像からも「お気に入り」が選択出来るようになります。先ほど厳選した「クロスプロセス」の仕上げが適用できることが確認できると思います。


クロスプロセスを使いこなす:交換編

クロスプロセスの面白いところは1つのカメラ内だけで閉ざされた機能ではなく、他の人と交換して共有することができることにあります。

登録は同一機種間でのみ可能になっていますが、インターネット上で公開している人の作例をダウンロードしてSDカードに保存して登録したり、直接会う機会があればSDカードを借りて登録したりすることができます。直接SDカードを借りた場合、撮影する前に誤って上書きしてしまうと再度登録ができなくなってしまうため、すぐに「お気に入り」を使用して1枚写真を撮るか、Wスロット機種をお使いであれば元の写真をコピーさせてもらうと安心です。

交換することで世界が広がるのはポケットモンスター(以下、ポケモン)が良い例ではないかと思います。
従来のロールプレイングゲームは一人で楽しむのが主流でしたが、ゲームボーイ同士をケーブルで接続することで友達とポケモンの交換や対戦が可能になりました。当時中学生だった私もハマった記憶があります。今はケーブルでの接続せずに無線通信で交換を行い、Nintendo Switchでも最新のポケモンが発売されていたり、ロールプレイングゲームだけにとどまらずスマホのアプリになったりと、今もなおポケモンは人気のコンテンツとして継続しています。

クロスプロセスもコツコツと最高の仕上げを見つけ出し、ユーザーさんとユーザーさんがつながり、交換することで完結する機能です。
みんなで盛り上げていきましょう。

 

クロスプロセスを使いこなす:応用編

カスタムイメージとしてのクロスプロセスは完成しましたが、実は組み合わせる機能によって、より凝った写真にすることができます。

◆ホワイトバランスを併用する

通常、ホワイトバランスは光源に合わせて被写体の色味をニュートラルにする機能ですが、クロスプロセスではニュートラルとは無縁の写真を撮影します。
ここでは味付けとして設定を変更してみましょう。
全く違った仕上げになり、より深みにはまります。

AWB

太陽光


日陰

曇天

電球

CTE

 

◆デジタルフィルターを利用する

PENTAXのカメラにはデジタルフィルターが搭載されています。撮影時に適用できるデジタルフィルターと再生時にしか適用できないデジタルフィルターがありますが、写真に効果を追加することができます。

個人的におすすめしたいのが「シェーディング」と「ソフト」です。

「シェーディング」は撮影/再生どちらでも適用が可能なデジタルフィルターで、周辺を暗く、もしくは明るくすることができる機能です。
オールドレンズを使用した際の周辺が落ちている雰囲気に仕上げたい場合は暗く、全体的にやわらかいほんわかした雰囲気に仕上げたい場合は明るくする、といったことが可能です。

日の出前の逆光で撮るドッグランにある人工物(金属)の写真です。
左がデジタルフィルター無し、右がシェーディングです。

 

「ソフト」は再生時のみ適用が可能なデジタルフィルターで、ソフトフィルターを使用したような仕上げになります。クロスプロセスの仕上げがくっきりはっきりではなく、コントラストが低く色合いが落ち着いているような場合にさらにマイルドになるような効果が得られると思います。

野良猫にお礼はできませんが、被写体として撮らせてもらっています。感謝です。
左がデジタルフィルター無し、右がソフトです。

 

シャッフルの秘密

今回、UI設計担当の私がクロスプロセスをもっと使ってもらおうと考え、画質設計担当者と話をしながら情報を引き出していたところ、「実は…」とこれまで明かされることがなかった話を聞くことができました。
むしろそういうことをやっておいてユーザーさんに何も伝えないあたり、PENTAXらしいというか、訴求がうまくないなと思いつつ、ユーザーさんにぜひお伝えしなければ、と思いました。

クロスプロセス「シャッフル」の中身の部分では約100万通りに近い組み合わせからランダムに選択されている、とお伝えしました。

しかし、ごくまれに画質設計者が入れたレアクロスプロセスが出てくるそうです。しかも、撮影した写真からはどれがレアクロスプロセスかわからない。まさにシャッフル(笑)

レアクロスプロセスはカスタムイメージをベースとして数種類あるようです。ユーザーさん同士で交換しながら、これがレアクロスプロセスではないか、と推測してみてください。

 

作例

花壇の花。ちょっとした道沿いでも花が咲いていると気持ちが和みますよね。色味がある写真としての作例です。
左が鮮やか、右がクロスプロセスです。

 

その他のシャッフルの例。


 

夜明け直後の電線。新納翔師範の道場を見てから、ふと見上げた際に目に入る電線が気になっています。
これは電柱も入っていますが、電柱がない電線だけの空も同じ風景にならないので違った楽しみがあります。
左が鮮やか、右がクロスプロセスです。

『6月のお題 添削発表(前半)』<前半へのリンク> <後半へのリンク>

 

その他のシャッフルの例。


建物と夜明けの空。雲のない空とはまた違った可能性を写し出してくれます。日の出前のためISO感度がオートの最大値で撮ってしまったようでノイジーですいません。
左が鮮やか、右がクロスプロセスです。

 

その他のシャッフルの例。


 

雷の写真。先日、関東で昼間は晴れていたはずが夜になって急な雷雨になった日がありました。インターバル撮影で撮れた写真です。
窓越しのため、雨粒も映り込んでいますが、雷の近くにある雲がタツノオトシゴのような、何か生き物に感じる面白い雰囲気になっています。シャッフルの結果、暗部が締まることで、より雷が強調された一枚です。
左が鮮やか、右がクロスプロセスです。

その他のシャッフルの例。


 

スクエアにトリミングしたバージョン、両方ともクロスプロセスですが印象が全く違う例です。

 

 

以上となります。長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。

これでPENTAXのクロスプロセスについて、私からユーザーのみなさんに伝えられることはなくなりました。
PENTAXのクロスプロセス『免許皆伝』です。

明日から、いや、今日のこれからクロスプロセスだけでも生きて行けるでしょう。ユーザーのみなさんの写真生活に少しでも実りが出ることを願っております。