こんにちは、ジョニーです。

インターバル撮影、ご利用いただいていますか?
設定が複雑であきらめていませんか?(そのようなユーザーの方がいたら本当にすいません><)
今回は使いこなすことでいろいろなことが可能なPENTAXの「インターバル撮影」について、お伝えしていきたいと思います。

インターバル撮影とは?

「インターバル撮影」とは、撮影の間隔(インターバル)と撮影回数を事前に指定することで、「自動的」「決まった間隔」「決まった回数」の撮影を繰り返すことができる機能です。

インターバル撮影で何ができる?

まず始めに作例を見ていただくのがわかりやすいと思います。

なんかこういう写真、見たことがあるぞ、と思ってもらえれば大丈夫です。ここから少しずつ、インターバル撮影の機能について説明していきましょう。

まず、インターバル撮影として、大きく4種類の機能を搭載しています。

 

インターバル撮影:定期的に1枚の写真を撮影する機能

インターバル撮影は1枚1枚で完結した写真を撮影します。同じ場所で定期的に写真を撮影する定点撮影、写真をつなぎ合わせて1つの動画にするタイムラプス動画の素材の撮影などで利用されます。

上の写真はそれぞれがインターバル撮影1回の撮影結果です。

 

インターバル合成:定期的に1枚の写真を撮影し、合成する機能

上のインターバル撮影の写真は、それぞれ雷が1本ずつ写っていますが、インターバル合成は撮影ごとに写真を合成します。

インターバル撮影の写真が撮影ごとに合成され、その結果、左側の雷が三又になりました。この写真は「合成方法」を「比較明」にしています。

※比較明=2枚の写真を比較して、明るい部分を合成する機能

 

インターバル動画:定期的に1枚の写真を撮影し、つなぎ合わせて1つの動画にする機能

インターバル動画は静止画を複数回撮影して、カメラ内でタイムラプス動画を作成する機能です。保存形式はJPEGやRAWではなく、動画ファイルで保存されます。インターバル撮影の画像を動画ファイルにできる、と覚えていただければ大丈夫です。

〔インターバル動画作例〕

 

スターストリーム:定期的に1枚の写真を撮影して合成し、つなぎ合わせて1つの動画にする機能

スターストリームは、インターバル動画同様に、静止画を複数回撮影して、撮影した画像を合成し、1つの動画にする機能です。インターバル合成の写真を動画にする、と覚えていただければ大丈夫です。

〔スターストリーム作例〕

4種類のインターバル撮影について、イメージできましたか?次に、インターバル撮影の設定について詳しく見ていきましょう。

インターバル撮影の設定

ドライブモードの詳細設定画面とカスタムファンクションの2か所にインターバル撮影の設定項目があります。
各機種で対応している項目については、以下の表を参考にしてください。

〔ドライブモードの詳細設定画面〕
※第1群のカメラはメニュー画面のインターバル撮影から設定できます

・撮影間隔

撮影の間隔を設定することになりますが、これが一番の難所です。
カスタムファンクションも関係してくるので、後でまとめて詳しく説明しましょう。

 

・撮影回数

撮影する回数を設定します。

2000回設定でシャッター速度が4秒の場合、8000秒=約2時間10分の撮影が可能になります。(実際はカメラの撮影処理時間等が含まれるので、撮影にかかる時間はもう少し長くなります)

 

・開始トリガー

1回目の撮影を開始するタイミングを設定します。

「即時」は、シャッターボタンで撮影を開始します。
「セルフタイマー(12秒)」、「セルフタイマー(2秒)」、「リモコン」、「リモコン(3秒)」は、通常のドライブモードと同じ動きで撮影を開始します。
シャッターボタンを押した際の操作ブレが1回目に影響しないように、レリーズケーブルがない場合はセルフタイマーやリモコンの併用がおすすめです。
「時刻指定」は、撮影を開始する時刻を指定して、撮影を開始する機能です。
「開始トリガー」を「時刻指定」に設定して、「撮影開始時刻」で開始したい時刻を設定した後、シャッターボタンを押してください。(シャッターボタンを押さずに待っていても撮影は始まりません)

 

・撮影開始時刻

「開始トリガー」が「時刻指定」の場合の、撮影を開始する時刻を設定します。

0時から23時59分まで、1分単位で設定が可能です。
夜眠い時でも時刻指定に設定しておけば、勝手に撮影を開始してくれるので、早寝早起きの私には強い味方です。

 

◆カスタムファンクション

・インターバル撮影の動作

インターバル撮影の間隔が、何を起点とするか、を設定します。

「撮影間隔」、「撮影待機時間」から選択が可能です。
ドライブモード詳細設定で書いた「撮影間隔」を含めて一番の難所ですので、こちらも後でまとめて詳しく説明します。

 

・インターバル撮影中のAF

各撮影のタイミングでオートフォーカスするか、オートフォーカスしないか、を設定します。

選択肢は「フォーカスロックする」、「フォーカスロックしない」から選択が可能です。
撮影する被写体によって選択していただくのが良いと思います。

例えば、月食や雷を撮影する場合は、各撮影タイミングでのオートフォーカスは不要なので、「フォーカスロックする」に設定します。
「フォーカスロックする」に設定した場合でも、1回目だけはオートフォーカスが行われます。

カタツムリが動く様子など、動く被写体を撮影する場合は、各撮影タイミングでオートフォーカスしてピントを合わせたいので、「フォーカスロックしない」に設定を変更して使用してください。
ただし、「フォーカスロックしない」に設定した場合は、オートフォーカスを行う設定の場合はピントが合わない場合など、撮影間隔がずれ込む可能性があります。

インターバル撮影で撮影するようなシーンにおいては、オートフォーカスが不要なシーンが多い、ということで初期設定は「フォーカスロックする」になっています。
1回目からオートフォーカスが不要の場合は、カメラのフォーカスモード切替レバーをMFにして使用してください。

インターバル撮影、一番の難所を理解する

いよいよ、ここからが本番です。
おそらくインターバル撮影が思った通りにできなかった経験のあるほとんどの方が、これを読むことで解決していただけると思います。

 

◆「撮影間隔」の動作

「撮影間隔」は、定点撮影などを目的とした動作で、撮影を開始するタイミングを重視しています。

第1群、第2群のカメラはこちらの動作しか搭載されていません。


上の図で示しているのは「撮影間隔」と「撮影回数」の2項目ですが、実際の撮影では、ここに「シャッター速度」も関わってきます。

「撮影間隔」と「シャッター速度」の設定が正しいと、設定した撮影回数が正しく撮影されますが、この設定を間違えると、設定した撮影回数が撮影されずに終了してしまうことになります。

シャッター速度も含めて動作を見て行きましょう。

 

「撮影間隔」より「シャッター速度」が短い場合の動き

「撮影間隔」より「シャッター速度」が短い場合、次の撮影タイミングが来る前に、前の撮影が完了しています。

図のケースでは、2回目の撮影タイミングが来ているときに、1回目の撮影は既に完了しているので、2回目の撮影は正常に行われます。

 

 

「撮影間隔」より「シャッター速度」が長い場合の動き

「撮影間隔」より「シャッター速度」が長い場合、次の撮影タイミングが来ているのに、前の撮影が完了していません。

図のケースでは、2回目の撮影タイミングが来ているときに、まだ1回目の撮影が完了しておらず、撮影が開始できなかった2回目はパスされてしまいます。
そして、4回目、6回目、8回目、10回目も同様にパスされてしまいます。

ここが最初のつまづきポイントです。

撮影者が等間隔でシャッターボタンを押す動作、と考えてもらえれば良いと思いますが、カメラがすでに撮影中だった場合、次にシャッターボタンを押しても無反応になります。

 

 

では、「撮影間隔」と「シャッター速度」が同じ場合はどうなるのか?といいますと、ほとんどの場合、撮影はパスされてしまいます。
ここが次のつまづきポイントとなります。

カメラの制御の話になってしまうのですが、フィルム時代からの慣習で、設定時に表示しているシャッター速度と、実際のシャッター速度の制御値にちょっとした誤差を持っています。
例えば、シャッター速度を1/30秒に設定した場合は実際は1/32秒で制御しており、シャッター速度を30秒に設定した場合は実際は32秒で制御しています。(この話は別の機会でお話します。)
「撮影間隔」を設定してインターバル撮影する場合は、「撮影間隔」より若干短く、余裕を持たせた「シャッター速度」を設定してから撮影しましょう。(若干ってどれくらいだ、というのがまた難しいところですが…)

 

◆「撮影待機時間」の動作

「撮影待機時間」は、設定した撮影回数分の撮影を漏れなく行うことを重視しています。
そのうえで、撮影と撮影の間を極力詰めることで、星の光跡がつながるようにすることを目的としています。

「撮影間隔」と同様に、図を見ながら理解して行きましょう。

「撮影待機時間」より「シャッター速度」が短い場合の動き

まずは、「撮影待機時間」より「シャッター速度」が短い場合の動きです。

「撮影待機時間」は、撮影が終了してから、次の撮影を開始するまでの待機時間を示します。

図のケースでは、1回目の撮影が終了した時点から「撮影待機時間」で設定した4秒の間、カメラは何もせず次の撮影まで待機します。
4秒経過後に2回目の撮影が行われます。
これを撮影回数分繰り返すのが「撮影待機時間」の動作です。

 

 

「撮影待機時間」より「シャッター速度」が長い場合の動き

つぎに、「撮影待機時間」より「シャッター速度」が長い場合の動きです。

変わっているのは、撮影1回目の開始から終了までの長さだけということが分かると思います。
どんなに長いシャッター速度を設定した場合でも、撮影回数を減らすことなく、撮影を行うことができます。

ただし、40秒の間に10回の撮影開始を行っていた「撮影間隔」の動作と違い、「撮影待機時間」の動作では、4回目終了の時点で36秒に到達しています。
おなじ4秒の設定でも、「撮影間隔」と「撮影待機時間」ではこれだけ撮影時間に違いが出てきます。

 

 

「撮影待機時間」が「最短」の場合の動き

「撮影待機時間」の設定には、待機時間を数値で設定する以外に、「最短」も選択できるようになっています。
インターバル撮影の撮影時に限られた時間内でできるだけ撮影回数を増やしたい場合や、インターバル合成で星の軌跡が途切れることなくつなげたい場合は、撮影と撮影の間は短ければ短いほど嬉しいので、「撮影待機時間」は「最短」に設定するようにしましょう。

画像処理が必要な場合は、処理が完了して、カメラが自由に動けるようになってから次の撮影を開始するので、バッファが詰まることなく、電池残量がなくなるか、設定した撮影回数の撮影が完了するか、カードの空き容量がなくなるまで、撮影を続けることが可能です。

作例と設定の例

2018年の皆既月食、月食開始

シャッター速度 1/60秒
インターバル撮影の動作 撮影待機時間
撮影待機時間 2分30秒
合成方法 比較明

 

2018年の皆既月食、月食中

シャッター速度 1/5秒
インターバル撮影の動作 撮影待機時間
撮影待機時間 3分
合成方法 比較明

 

東京都内の星景写真

シャッター速度 30秒
インターバル撮影の動作 撮影間隔
撮影間隔 33秒
合成方法 比較明

 

2019年の部分日食

シャッター速度 1/1000秒
インターバル撮影の動作 撮影待機時間
撮影待機時間 2分30秒
合成方法 比較明

 

雷のインターバル合成

シャッター速度 0.5秒
インターバル撮影の動作 撮影待機時間 ※GRIIIのため、厳密には設定なし
撮影待機時間 最短
合成方法 比較明

露出モードやホワイトバランスの設定

◆露出モード

インターバル撮影中も、露出モードを自動露出(AE)に設定している場合には、撮影毎に露出制御が行われます。例えば日の出のように徐々に明るくなる景色をインターバル撮影する場合には、マニュアル露出ではそのうち露出オーバーとなってしまいます。被写体の明るさが変わる場合には自動露出(AE)の露出モードを選択しましょう。

◆ホワイトバランス

インターバル撮影を行った画像を合成、タイムラプス素材として利用される場合には、ホワイトバランスを「AWB」「CTE」等の自動設定ではなく固定値のものに設定していただくと、撮影ごとの色味のばらつきが防げます。そのうえで、カスタムファンクションの「WBの光源調整範囲」を「固定」にすることをお勧めします。

番外編(もっと撮影の間隔を詰めるには)

「撮影待機時間」の説明で「最短」が設定できることについて触れましたが、撮影と撮影の間をもっと短くできる社内PENTAXIANの使いこなし方法を最後にご紹介します。
星の軌跡の撮影を例にしましょう。

※注)本使用方法により、カメラが故障することはありませんが、「インターバル合成」の「途中経過保存」はご利用いただけません。意図しない急な露出の変化により撮影が失敗する可能性があります。撮影に失敗しても一切の責任を負いかねますので、試される場合はご自身の責任においてご利用お願いします。

まず、ケーブルスイッチ(CS-205/CS-310)をご用意ください。
ケーブルスイッチには、カメラのシャッターボタンを押し続けいる状態を再現できるロック機能が搭載されています。

次にカメラのドライブモードを「多重露出連続撮影」に設定し、詳細設定画面で合成方法を「比較明」に設定します。
シャッター速度は1秒~4秒程度に設定すれば良いでしょう。もっと長くても大丈夫です。あとは、ケーブルスイッチのロック機構を使用して、連続撮影を行うだけです。

〔実際の作例がこちら〕

拡大して比較しなければ、差がわかりにくいかもしれませんが、PENTAX KPにHD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AWを装着し、焦点距離11mm(35ミリ判換算:17mm相当)で撮影した場合に光跡がこれくらいつながります。

 

以上、PENTAXのインターバル撮影について説明してきました。

分かりにくい部分もあったと思いますが、ここまで読んでいただいた方には是非インターバル撮影を使いこなせるようになって、撮影を楽しんでいただければと思います。