4月のお題は…『足もとの春』

小林義明 師範

暖かくなって植物が活動を始めると、足元から春は始まる。桜が咲くと視点は上に向いてしまうことが多くなるが、ちょっと意識を変えあらためて足元を見てみると、たくさんの春が身近なところに広がっていることに気づくだろう。
立派な桜を撮影したらそれで終わりにせず、視点を変えてもうひとつの春を探してみると面白い。作品をまとめる時にアクセントとなるワンカットとなるはずだ。
季節感を盛り込むことを忘れずに画面構成してみよう。

小林義明 師範からの4月のお題は足もとの春でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

4月の挑戦者その1:capriさん

桜を撮影していると足下から何かの気配を感じました。
ふと見てみると亀がグイッと首を伸ばし、まるで花見を楽しんでいるかのようでした。

capri
埼玉県在住、男性。風景やスナップを中心に写真を撮っています。 週末はカメラ片手に歩きまわっています。PENTAX K-3 Mark IIIとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

お見事!

小林義明 師範からの添削コメント

 

桜の花びらが散り始めている池でみつけたアカミミガメ。上を見上げているようだけれど、桜が散る様子が気になっているのだろうか。カメの気持ちになって一緒に景色を眺めてみたくなる写真だ。

まだ桜の花びらはそれほど多くないので、上の方ではまだたくさんの桜が咲いていると想像できるし、水面に映り込んだ景色からは空は霞んでいて春らしい感じなのだろうなと思う。

この一枚から、どんどんイメージを広げて見ていくことができる楽しい写真になっている。私のテーマでもあるいのちの景色にも繋がる内容を持っているね。

とてもいい写真なので、免許皆伝だ。

この写真を見て
「カメが写ってるだけじゃん」
って思った人は、写真を読む力が足りないと思うよ。もっとたくさん写真を読み込んで、世界を広げられるようにしていこう。

4月の挑戦者その2:tokutoku1002さん

咲き始めたクロッカスを望遠レンズでボケを使って強調した写真に仕上げてみました。

tokutoku1002
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップを楽しんでいます。コロナの影響で近場で撮影技術の勉強中です。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

公園の花壇のようなところだろうか。クロッカスの花が咲きはじめていて、地面すれすれの超ローアングルから撮影しているね。よく見るとクロッカスのつぼみもあり、そのまわりにはタネツケバナやホトケノザの姿も見える。

この画面のなかから季節の移り変わりを感じられて、春が始まる感じが伝わってくるね。

いろいろな要素を画面に入れるとゴチャゴチャしてしまい、なんだか分からなくなってしまうことが多いのだけれど、この写真はうまくまとめていると思う。

ただ、後ろでぼかしているもう一輪のクロッカスは、花が開き始めているところだと思うけれど、あまりきれいな形ではないので入れない方がよかったように思う。明るいところにあるので、けっこう目立つんだよね。

後ろに他の花があると入れたくなる気持ちは分かるけれど、主役以上に目立ってしまうのなら入れない方がいい。ここはガマンのしどころだったね。

ぼけていても形は画面の上で見えてくるので、そのあたりも考えてみよう。

4月の挑戦者その3:あきやんさん

河川敷で見つけた土筆です。手持ちレンズがDA300のみだったのですが、丸ぼけを生かして春のキラキラした雰囲気が作れたかなと思っています。

あきやん
長崎県在住、男性。写真を趣味にしてもう9年ほどになります。 風景に限らず、一期一会、一瞬を大切にしながらシャッターを切っています。なかなか上手くいかないことも多いですが、そこも楽しめたらと思っています。PENTAX K-1 Mark IIとsmc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF] SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

春になるとニョキニョキ伸びてくるツクシ、これも足下の春だよね。まわりをきれいにぼかしながら2本のツクシをいい光で捉えているね。まわりの雰囲気も適度に自然な感じがしていいと思う。

ただ、気になる点が2つある。

ひとつはピントがしっかり合っていないこと。
ちょっと前ピン気味な感じがするね。300mmでほぼ最短撮影距離、しかも開放絞りでの撮影となれば、被写界深度は極端に浅くなる。
ちょっとしたことでピントがずれてしまうことは十分理解できていると思うので、ここは撮影後に画像をチェックして、確実にピントが合っていることを確認して欲しかった。

もうひとつはピントを合わせたツクシの位置。
逆光気味の光線なので、ツクシのラインライトが出ることを期待してやや暗めの茶色い背景と重なるようにしているのかと思うのだけれど、その右側の明るい玉ボケと重なっているツクシの方が目立つ感じがするよね。またツクシと背景が似ていることもあるので、ここではピントの合っているツクシを明るい玉ボケのなかに入れるようにした方が、分かりやすい写真になったと思う。

いいセンスで撮影できているので、基本をしっかり固めてまた挑戦して欲しい。

師範より4月前半の総評

今回はできれば桜以外の被写体を撮って欲しいと思ってこのテーマにしたのだけれど、ちょうど応募期間が桜の満開の時期に当たってしまったところも多くて、被写体を探すのに苦労してしまっただろうか。

また、桜以外の被写体をみつけてくれたとしても、そのもの(被写体)だけ、という感じの写真もあったので、そこに春らしい雰囲気も加えて見せて欲しかった。
みつけたよ、って記録するだけじゃなくて、ちゃんと写真を見る人にいろいろなメッセージも込めて撮影できるように考えてみよう。

記念品のお届けについて

capriさん、免許皆伝おめでとうございます!「免許皆伝看板」「免許皆伝ミニ木札」をお贈りします!
tokutoku1002さんには「免許中伝ミニ木札」、あきやんさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は5月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、4月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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