5月のお題は…『新緑の色』

小林義明 師範

芽吹きが始まり新緑が森を彩る頃には、毎日の変化が激しく目を離せない。淡い緑から日毎に色を濃く替えていく様子、木々の種類ごとに違う微妙な緑の色合いは豊かな森に囲まれた日本ならではの楽しみだ。このような新緑の色を美しく捉えてみよう。
色をうまく再現するには光の当たり方に気をつけることが大切だ。基本は光が当たっているところを狙うようにしよう。反射を抑えるC-PLフィルターも有効だね。

 

小林義明 師範からの5月のお題は新緑の色でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

5月の挑戦者その1:KAZALさん

こういう時のK-1の緑の表現は本当に美しいと思います。

KAZAL
神奈川県在住、男性。写真を撮って飾っている近境写真家です。WebでギャラリーKAZALを主催。PENTAX K-1とsmc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

新緑の淡い緑をうまく見せることができているね。ゆるい谷の傾斜から奥行きも感じられる。葉の柔らかさを表現するために、曇天の影が出ない光を選んでいるところも正解だ。

さて、この写真は主役が曖昧になってしまった感じがする。

新緑の緑はきれいに再現できているので、新緑を主役とするのであれば、やや地面の部分の面積が多いように感じる。新緑自体はそれぞれの葉が小さく写っているために面として見えてしまい、形のはっきりしている一番手前の苔むした倒木が視点を集めてしまうので、このあたりをカットするくらいの感じに地面の面積を減らすといいと思う。

この倒木も奥行きという部分では必要かもしれないが、脇役や状況説明のために何かを画面に入れる場合、主役以上に目立たないようにすることが大切なんだ。

とくに写真では形がはっきり見えるかどうかで第一印象が変わってくるので、そのあたりに注意して画面構成を考えてみよう。

5月の挑戦者その2:tokutoku1002さん

芽吹いた若葉が殻を付けた若葉が可愛かったので、それを中心に
マクロレンズのボケを生かして作品にしてみました。

tokutoku1002
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップを楽しんでいます。コロナの影響で近場で撮影練習に励んでいます。PENTAX KPとsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

新緑のやさしい色を透過光でうまく再現しているね。葉の柔らかい質感が伝わってくる写真だ。葉の重なり方を利用したパターンと玉ボケのパターンの組み合わせもいいと思う。

奥の葉にピントを合わせているところも工夫していて、いい狙いだと思う。ただ、この構図では画面全体が明るい色で構成されているために、視点が集まる場所が違ってしまった。ピントを合わせた葉よりもやや暗く見える手前の葉がけっこう目立ってしまうんだ。

対策としては背景を暗めの色にすれば明るい葉の方に視点が向くようになるので、このピント位置でも良かったはずだ。

もう一点惜しいのは、ちょっとぶれてしまっているね。
風があってぶれてしまった可能性もあるけれど、ISO感度が100となっているので、ISO400くらいにしておけばシャープに撮れたはず。

感度を上げずに撮るのであれば、シャープに撮れるまで何枚か撮影し、確実に作品を残すようにしよう。

5月の挑戦者その3:Masamuraさん

新緑の重なる木々。緑濃くなる中で赤紅葉の赤はまだ初々しさを残していました。

Masamura
広島県在住、男性。地元尾道で写真活動をしています。PENTAX K-3IIとsmc PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED AL[IF] SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

芽吹き始めたばかりに見られる春紅葉。独特な赤が魅力の被写体だ。春に赤い色の葉が見られるというのは意外だけれど、これも新緑のひとつの色といえるよね。

緑に囲まれた春紅葉となっていて、色のコントラストを利用してうまく赤を引き立てている。中央に向かって伸びていくような幹の入れ方もいいと思う。

さて、構図はこれでいいと思うのだが、光の選び方が適切ではなかったと思うので、今回は免許中伝だ。

写真を見ると分かると思うけれど、葉が重なって影になっているところが多いため、色をきれいに再現しきれていない。時間を変えてもほとんどの葉に光が当たるような状態にはならないだろう。影になっている葉の周りに明るい空があるので、色も濁って見えてしまうね。

このような葉が重なる部分が多いときには、曇天のような影が出にくい光線を選ぶのが正解だと思う。

思い切ってプラス補正をして影の部分に露出を合わせる方法もあると思うが、ハイライト部が明るくなりすぎる感じもするので、やはり光を選ぶことが必要だ。

 

師範より5月前半の総評

今回のテーマは色をきれいに再現するということがテーマの根本。

色をうまく再現するためには、光の選び方や露出がポイントになってくる。見せたいところの色を強調できる構図も重要だね。

みんなそれぞれに新緑の色を見つけることもできているのだけれど、背景選びや露出などが色をきれいに見せられていないものが目立った感じだ。

スマホに慣れてしまうと露出は後処理で・・・なんて人も多くなっているのかもしれないけれど、撮影時にしっかり露出を合わせることは基礎中の基礎。撮影シーンに合わせて適切な露出で撮影できるように練習しておこう。

記念品のお届けについて

Masamuraさんには「免許中伝ミニ木札」、KAZALさん、tokutoku1002さんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は6月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、5月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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