6月のお題は…『いのちの表情』
定番となった「いのち」シリーズのお題だ。身の回りで見られるいきものや植物など、よく見てみるといろいろな表情を見せてくれる。動物や鳥などは表情も分かりやすいけれど、虫だってよく見ていると表情があるよ。かわいいな、きれいだなと感じることがあったら、もう少しじっくりと観察して、そのいのちがどんな気持ちでいるのかとか、どんなことをしようとしているのかなどを考えて、それを表現するといい。私たちに何か伝えようとしているかのような見せ方になるよう、工夫してみよう。
小林義明 師範からの6月のお題は『いのちの表情』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
6月の挑戦者その1:Masamuraさん
夕暮れ時の尾道海岸通りを写活中に出会した捕食シーン。大物のチヌを咥えドヤ顔を見せていたアオサギ。
口にするにはあまりの大きさのチヌのアタマの向きを整えるのに暫く悪戦苦闘。
ようやく向きを整えるとゴクリゴクリと絵に描いたような丸飲み。
ノドに詰まらせないか心配になるほどでしたが、そんな心配はもちろん無用でした。
広島県在住、男性。地元尾道で写真活動中 撮影はK-3II、K-70。PENTAX K-70とHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。
師範の判定結果は・・・
●
●
●
もう一歩!
アオサギが魚を呑み込んでいるシーン、いい瞬間に出会うことができたね。コメントによるとチヌ(黒鯛)を呑み込んでいるということだから、ずいぶんと贅沢なアオサギだ。
ただ、黒鯛はトゲが多いから、苦労したみたいだね(笑)。
シャッターチャンスはとても良くて、いい瞬間を撮れているのだけれど、表情を捉えるという部分では運がなかったかな。
アオサギがもう少し横顔を見せてくれると、どんな仕草をしているかとか、目の表情が分かりやすくなったはず。
トゲが多くて困っているような表情が伝わってきたら、最高だったね。
私はいきものを撮っているとき、モデルに指示を出すように、顔の向きを変えて!とか、もう少し前に出て!って指示を出すことがあるんだけど、意外と思い通りに動いてくれるものもいるんだよ。
そんな声(心の声)を出していたら、思い通りに動いてくれたかもしれないね。
また、撮影データからはもう少しアップでも撮影できたようなので、可能であれば全身を見せるよりも表情を見せるように撮れたら良かったと思う。
なかなか次はない貴重な写真だけれど、より高みをめざして頑張ろう。
6月の挑戦者その2:つばさ製作所さん
時々訪れる公園でハトに出会いました。 仲むつまじい姿は、見ている方が少し恥ずかしいと思うほどでした。
世界では戦争が起こっていますが、平和の象徴となっているハトの姿を見て争いを終えてほしいと思いました。
ハトも目を見れば、どんなことを思っているか、感じているかを察することができるのだなあと思いました。
兵庫県在住、男性。毎朝、出勤前に街の風景や野鳥などを撮影しています。PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。
師範の判定結果は・・・
●
●
●
もう一歩!
二羽のハトが仲睦まじく羽繕いをしているところ。ハトの目はあまり表情がないのだけれど、ちょっとした視線が表情を生み出していて、いい瞬間を捉えているね。シャッターチャンスとしては100点満点だ。
今回惜しいなと思ったのは、フレーミングの甘さ。
咄嗟のことで対応できなかったのだと思うけれど、左側の空間がちょっと多い感じがするし、もっとアップでもいいと思う。
いきものを撮影した写真を見ると、全身を入れたフレーミングが多く見られるのだけれど、今回のテーマは表情なので、もう一歩踏み込めたら免許皆伝だったね。
身近な被写体を見つめること、シャッターチャンスを捉えることはできているので、より完成度を高めることを意識していこう。
6月の挑戦者その3:田舎の蛙さん
庭の野草に飛んできたハナアブです。何度も繰り返し身だしなみ?をしている姿が何とも可笑しく、
一瞬先もわからない自然界の中で、小さい虫にもこんなひと時があるのだな、と感動すら覚えました。
長野県在住、男性。PENTAXはフィルムカメラの頃からお世話になってます。独りでマイペースで撮っています。PENTAX K-3 Mark IIIとsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WRで撮影。
師範の判定結果は・・・
●
●
●
もう一歩!
小さなアブの表情がかわいい写真だね。顔を掃除しているシーンなんだけど、写真を撮られるのが恥ずかしくて、顔を隠しているようにも見えるよね。いいシャッターチャンスを捉えている。
惜しいと思ったのは、もう一歩アップで撮れなかったかなということ。
アブは小さいので、画面の中で他にピントが合ってしまった花びらの部分などがけっこう目立つんだ。
この写真では左下のあたりの花びらがけっこう強く見えて視点を引き寄せてしまう。ここが入らないようにあと一歩寄れたら、免許皆伝だった。
昆虫の場合は距離感が難しくて、このあと近寄って逃げられてしまった可能性もあるんだけど、被写体以外に目立ってしまう部分がないか確認して最後のシャッターを押せるように練習していこう。
師範より6月前半の総評
何度も続けてきた「いのちの〜」シリーズとなるテーマだけれど、さすがにピントなどはしっかりチェックできるようになってきたね。
シャープに撮れている写真が多くなっているよ。
続いて考えて欲しいのは、テーマである表情を表現する方法について。
昆虫のように顔に表情が表れなくても、動作から気持ちを想像させることはできるので、しっかり動きを観察して写真を見る人にイメージさせるようにすること。
工夫すれば、顔が見えていなくてもその表情はイメージさせられるんじゃないかな。被写体となるものを人間だったらと置き換えて考えてみよう。
記念品のお届けについて
Masamuraさん、つばさ製作所さん、田舎の蛙さんには「免許中伝ミニ木札」をお贈りします!
記念品は7月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、6月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
〔クリックで写真が大きくなります〕
以降のお題へのご投稿もお待ちしています!