初めまして。YOHです。普段はレンズ設計の仕事をしています。
今回は私がカスタムイメージ「夏天(KATEN)」を試したお話をパートナーに選ばれた2本のレンズの個性を交えながら、ご紹介したいと思います。
今回の作例は初夏(5~6月)に撮影しました。入道雲のような高さのある雲には出会えませんでしたが、それでも「夏天(KATEN)」を十分に楽しむことができました。今年の夏は「夏天(KATEN)」を通じて“超広角レンズを愉しむ”キッカケにして頂けると嬉しいです。
かくいう私も「夏天(KATEN)」をキッカケに、苦手だった超広角レンズの愉しさに目覚めた一人になりました。
それでは本題にいきましょう。
HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited
DA Limitedシリーズの中で最も広角なレンズ(35ミリ判換算で23mm相当)です。
ディストーションが小さく、建築物などの撮影にも向いていて、1、2段絞ることで画面全体の解像のバランスが良くなるレンズです。ピント面はシャープに写り、アウトフォーカス部は不自然なボケにならないように配慮された設計になっています。
空を積極的に入れようとした結果、自然と縦構図が増えました(というか、全て縦構図)。前ボケがきれいなレンズであるため、その特長を是非とも活したいと思い試行錯誤して撮ってみましたが、被写体に寄りすぎると自分の影がかかってしまい大苦戦。前ボケの活かし方は自分の中で宿題になりました。
夏天(KATEN) / 鮮やか
「夏天(KATEN)」は青空がクッキリ。
PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited 絞り:F4 シャッタースピード:1/3200感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
夏天(KATEN) / 鮮やか
「夏天(KATEN)」は青と黄のメリハリがついて、菜の花が輝いてみえる。
PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited 絞り:F4 シャッタースピード:1/3200感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
夏天(KATEN) / 鮮やか
「夏天(KATEN)」は雲が透き通るような白さに表現されます。
PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited 絞り:F4 シャッタースピード:1/3200 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
夏天(KATEN) / 鮮やか
虫のお食事を寄って見守る。「夏天(KATEN)」は花びらの黄色がまぶしい印象になりました。
PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited 絞り:F4 シャッタースピード:1/800 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
夏を代表する花と言えば向日葵。私が撮影した時期には向日葵に出会えませんでしたが、菜の花などの黄色系の花に出会えました。「夏天(KATEN)」は青の色合いが印象的ですが黄色もまぶしく映えて良い感じになります。本命の向日葵との出会いが今から待ち遠しいですね。
HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
最新のLimitedレンズであり初めてのD FA Limitedレンズです。
遠景は開放からシャープに解像する優等生でありながら、近接撮影時の開放絞りでは、球面収差・コマ収差を意図的に残存させているためソフトな描写を愉しめます。
その収差の残存量は実写を何度も繰り返して官能評価で最適になるように決めるなど、写りにはこだわり尽くしています。
夏天(KATEN) / 鮮やか
※スライダーの操作で表示範囲の切替が可能です
蛇口をローアングルから撮影。「夏天(KATEN)」は目の覚めるような青い空になります。
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR 絞り:F2.4 シャッタースピード:1/8000 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
夏天(KATEN) / 鮮やか
地面に寝転んで撮った作例。撮影に夢中になってしまいました。
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR 絞り:F2.4 シャッタースピード:1/5000 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
私はこのレンズを初めて使ったとき、超広角レンズの難しさを改めて認識させられました。HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limitedよりもさらに広範囲の景色が写り、画面内の情報が増えることで構図の整理が難しく、パースペクティブも加わってどうしても持て余しがちに陥ってしまう。単に私の技量の問題なのですが・・・。
しかし、このレンズの個性が詰まっている近距離側へと意識を置いて撮影してみると、不思議とその悩みは消えていきました。
さらに、「夏天(KATEN)」を活用しよう(空を撮ろう)という気持ちも重なって、空を見上げながら、被写体に寄って、寄って、寄りまくり、気が付けば地面に寝そべって撮影していました。
夏天(KATEN) / 鮮やか
※スライダーの操作で表示範囲の切替が可能です
「夏天(KATEN)」は、コントラストのメリハリが効いて狛犬が凛々しく写りました。
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR 絞り:F2.4 シャッタースピード:1/2000 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
夏天(KATEN) / 鮮やか
※スライダーの操作で表示範囲の切替が可能です
青い紫陽花。花と葉の色が印象的な仕上がりに。玉ボケの対称性は良好で、撮った瞬間、あーっ、このレンズはイイっ!!って興奮しました。
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR 絞り:F2.4 シャッタースピード:1/60 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB レンズ補正:OFF(ディストーション、周辺光量、倍率色収差)
個人的な「推し」は周辺光量低下の活用
今回ご紹介した作例は、私の仕事上のクセで全て収差補正機能OFFで撮影しました。(掲載している写真は全て、ディストーション補正、周辺光量補正、倍率色収差補正をOFFです。)
そのおかげで、周辺光量低下がある方が青空にグラデーションが残っていて「夏天(KATEN)」の特長がより効果的なのだと気づきました。
下の2枚は、空のグラデーションがきれいに出ている作例(各々別の日に撮影)です。
HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WRは開放時、周辺光量低下がHD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limitedよりも大きいので、その影響の大きさが分かりやすいです。
周辺光量補正 OFF / ON
※スライダーの操作で表示範囲の切替が可能です
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
絞り:F2.4 シャッタースピード:1/4000 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB ディストーション補正:OFF 周辺光量補正:OFF/ON 倍率色収差:OFF カスタムイメージ:夏天(KATEN)
周辺光量補正 OFF / ON
※スライダーの操作で表示範囲の切替が可能です
PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited 絞り:F4 シャッタースピード:1/3200 感度:ISO200 ホワイトバランス:AWB ディストーション補正:OFF 周辺光量補正:OFF/ON 倍率色収差:OFF カスタムイメージ:夏天(KATEN)
とうことで、私は「夏天(KATEN)」と周辺光量低下は相性が良い。そんな結論にたどり着きました。個人的に苦手意識の強かった超広角レンズですが「夏天(KATEN)」をキッカケに好きになれたと思います。
ありがとう「夏天(KATEN)」!
〔参考情報はこちら〕
>>PENTAX K-1 Mark II製品ページ | 機能拡張FW |