>>前回に引き続き、今回はノーマルにカスタムイメージ Special Edition「夏天(KATEN)」を使います。設定もデフォルトのままで、WBだけ太陽光にしました。これは影の部分のブルーを意識したからです。

カメラとレンズと撮影モード

カメラは PENTAX K-3 Mark III レンズは HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited(以下 DA15Ltd)です。

撮影モード 絞り優先 F5.6 これはシャープな印象を強めるためです。

夏天(KATEN)のポイントは天気と露出

これを書いてしまうと元も子もない感じがしますが、夏天を感じるためには天気も重要な要素です。そして、この日もそんな夏天で撮りたい気分が盛り上がりました。そのポイントは雲、快晴より少し雲が浮かんでいるぐらいの方が夏天向きだと思います。そして、露出を少しアンダー気味にするとその色みの濃さを楽しみやすくなります。

露出補正 -0.3EV この日はとても暑く自宅近くに程よい雲が浮かんでいた。それを見ていると夏天(KATEN)で撮りたくなった

露出補正 左 -0.3EV / 右 -1.0EV 左と右で構図は若干変わっているが右のさらにアンダーにした方が空の青がはっきりしている

あくまでも空の青の濃さを活かすための露出ですが、雲のディテールもしっかりでるので立体感を感じやすくなります。夏天はシャドーの粘りがあって手前の風景が真っ黒に潰れることが少ないのでアンダー露出で撮影しやすいはずです。

まさかの晴天

自宅付近の空でテンションが上がったので、せっかくならば超広角向きの開けた風景を撮りやすい湾岸方面まで足を伸ばしました。目的地に着くと雲はほとんどなく快晴の空が広がっていました。こんな天気の変動は良くあることなので気持ちの切り替えが大切です。ちなみに晴れた日は帽子をかぶるようにしています。ハットタイプでツバが柔らかいとカメラを構えたときに邪魔ないならないので便利です。確かに街中でそんな格好をしているとかなり怪しいですが、もともと撮影している人の動きは少し怪しいのでそれほど気にしなくて大丈夫です。

露出補正 -1.0EV あまりにも快晴だったので仕切り直しのために順光のカーブミラーから撮影をスタートした。自分の後ろから太陽の光が差している順光の方が空の色は綺麗にでる

 

露出補正 – 0.7EV 湾岸から内陸に向かいながら形を撮って撮影のテンションを上げようと試みた

 

露出補正 -1.3EV テンションが上がってくると撮りたいと感じる風景も増える。逆光でアンダー露出にすると光の印象が強くなる

現場に着いたら天気がイメージ通りでないのはよくあることです。仕事の撮影でなければ、それはそれで軽く流すというのもありだと思います。私はせっかくなのでテンションを少しづつあげていきます。私の場合は逆光+アンダー露出で光の印象を強くするとテンションが上がります。そんな自分のテンションのあげ方を2つか3つ持っているといろいろ天気に対応できます。例えば今回の方法は曇天では使えません(笑)

はじめは部分を探す

撮影のはじめはテンションに関係なく。風景の中から部分的なところを狙うことが多いです。特に今回のように超広角レンズを使っているときはその画角に慣れるためにもはじめから広い風景を狙わず気になる部分を探します。

露出補正 -1.3EV この日の青空ではなく、影で日差しの強さを伝えるイメージを狙った

 

露出補正 -1.3EV 超広角レンズで良くやる金網越し。このときにフードをしまうと手前の金網のボケが大きくなりやすい。絞りを変えるよりまずは金網に前玉を近づける方が集中力を保ちやすい。このときに前玉を金網にぶつけないように注意する

 

露出補正 -1.0EV 少し開けたところまで来たので、この日の光の強さを捉えるために水面の輝きを狙った。こんな条件でもあえて強めのアンダー気味の露出にすると輝きがわかりやすくなる

部分から始めると撮影の集中力も上がりやすく、撮影しているときはその集中力を一番大事にしています。せっかくあげた集中力が削がれるので、撮影中にスマホを見たりするのはご法度にしています。もちろん地図を見ることもなく気が向いたほうに歩いていきます。集中力が上がっているとタイミングを逃しづらくなります。

画角に慣れて来たら広がりを意識する

レンズの画角に慣れて来たら少し引き気味の広がりを意識します。これはどんな画角のレンズを使っていてもだいたい同じパターンです。単焦点レンズが良いのはこの画角に慣れるという感覚を掴みやすいことです。

露出補正 -0.7EV 広がりを加えても散漫にならないようなバランスにする。そのバランスは撮影条件によって変わる。明るすぎるところをできるだけ画面周辺におかないのがポイント。ここでは画面右上のビルで明るくなるところを隠している

露出補正 左右 -1.3EV 広がりの意識を加えたのが左の写真。左右どちらが良いというわけでもなく、左のような広がりを意識して狙えるようになると単焦点レンズでも変化の幅が増える

 

露出補正 -1.7EV 広がりの意識を加えるときはアイキャッチになるポイントの存在が重要になる。このときは光の中にタクシーが出てくるタイミングを狙ってアイキャッチにした

 

露出補正 -1.7EV ここでポイントになるのは歩いている人の位置と形。体をひねっているとシルエットが綺麗に見える

まとめ

最後は「夏天(KATEN)」とは全く関係のない超広角レンズの使いこなしの話になっていましたが、実はこれも夏天を使うとやりやすいはずです。それは夏天のトーンがシャドーとハイライトを最後までしっかり粘らせてくれているからで、今回のように強いアンダー露出で深みを作りやすい利点があります。夏の青空や雲だけでなく秋の街でも大活躍してくれそうな予感がしました。

 

次回は、SHCという発想 です。