9月のお題は…『雲のある景色』

小林義明 師範

どんなところにいても、空を見上げるといろいろな表情が広がっている。とくに空を流れる雲はさまざまな形や色合いを見せてくれて、二度と同じ姿はないと言っていいだろう。ぼーっと眺めているだけでも楽しい雲の姿だけれど、この雲を主役に景色を撮影してみよう。朝焼け、夕焼けはきれいだけれど、色の迫力だけになってしまうことも多いので、今回のテーマからは省かせて欲しい。あなたが見つけた何気ない雲の表情を捉えてみよう。

小林義明 師範からの9月のお題は雲のある景色でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

9月の挑戦者その1:木瓜さん

12月に関宿城博物館と富士山を撮りに行きましたところ、巨大なプテラノドンが現れました。太陽が博物館の裏になるように、かなり移動しました。

木瓜
埼玉県在住、男性。2018年1月に写真クラブに入り、そろそろ「写真をやっています。」と言えるようになって来ました。しかし、なんとなく構図が分かってきたと思っても、まだ、ノートリミングとはいきません。そのため若干トリミングすることが多いです。できれはノートリミングで撮りたい。これからは露出・ピント位置に気をつけて撮っていきたいと思います。とりあえずは、露出を絞り込んだらどうなるかを経験します。PENTAX K-5IIsとsmc PENTAX-DA 18-55mmF3.5-5.6ALで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

夕暮れの空に浮かぶ面白い形の雲だ。コメントを見ると巨大なプテラノドンみたいということで、言われてみるとまさにそのように見えてくる。けっこう移動してから撮影したとあるが、この雲を見つけてすぐに撮影していたら、もっとプテラノドンらしかったのかな。うまいタイトルをつけてそのように見せると、みんなのイメージを誘導できるね。そのものズバリはカッコ悪いので、すこし遠回りなくらいが良いね。

構図や露出など狙い方は良いと思う。
プテラノドンのくちばしの先にはお城のシルエットがあって、印象的だ。

ただ、撮影データを見ると絞り込みすぎだね。F29というのは実用的ではない。そのため画質が低下したのと同時にちょっとブレてしまったのが残念だ。

このような遠景だけの画面ならF8まで絞れば十分だよ。
F8ならきっとシャープに撮れていたはず。
初歩的なミスなので、今回は門前払いだ。

慌てていたかもしれないけれど、シャッターを押す前後の確認を怠らないようにしよう。

9月の挑戦者その2:YamamotoFHironagaさん

今年の夏は、非常に雲が多く、結果として、星空と雲の景色を多く撮ることになりました。白い雲に向かって伸びるような橋が印象に残った一枚。刻一刻と表情を変える雲と、大きく輝く木星のコラボレーションです。

YamamotoFHironaga
高知県在住、男性。四国の南で「暮らしの中の星空」をテーマに、星の写真を撮っています。PENTAX K-3 Mark IIIとHD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

星空に浮かぶ白い雲は立体感があって、とても印象的だ。雲の中から照らされているようで街明かりで浮き上がっているだけではなく、雷も鳴っているのだろうか。海を渡る橋の先に点されているオレンジの灯りに向かって視点が集まっていく画面構成も良いと思う。

惜しいのは、画面の下側の空間がちょっと多い感じがするところ。

水面がスローシャッターでブレて写り込みの形がなくなって明るいので、この空間が目立ってしまう。
水面を減らして星空を多く画面に入れるようにするとより広がりが出てインパクトも強くなったはずだ。
カメラアングルを下げて水面を減らすと同時に岸辺をもっと入れると岸辺の水がぶれて見えることで動きも出てきた。

星景の撮影で雲は邪魔者にされやすいけど、こんなふうに上手く活かしていくと新しい表現もできるよね。
より高い完成度を目指して、頑張って欲しい。

9月の挑戦者その3:ミムチさん

風の強い冬の日、暗い雲が次から次へと流れるなか、時折光が射す瞬間を狙って撮影しました。

ミムチ
茨城県在住、男性。風景、スナップを中心に撮影しています。予感はしていましたがPENTAX道場終了とのこと残念です。その代わりと言っては何ですがK-1 Mark III早めにお願いします!PENTAX K-1とHD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

荒々しい雲が近づいてきているように見えて、とてもスリリングだ。嵐がやってくるのか、ちょっとした雲の切間なのか、雲の表情ときれいな雪面のギャップがドラマを生んでいていいと思う。

このシーンで惜しいのは、画面下のグレーの空間。
雲の影のように見えるけれど、木が並んでいるあたりと同じくらいの面積を持っているので、ちょっと目立ってしまう。
これ以上アップというのは画角的に無理なようなので、カメラを少し上に振って影の部分を減らし雲の上の方を見せてもいいと思う。雲が流れているようなので、このままのフレーミングで影の面積が減るのを待ってもよかったかもしれない。

雲が流れに従ってその形も刻々と変わっていくため、雲の形ばかりに注目していると画面全体のバランスに気が向かなくなってしまう。そのあたりは冷静にしっかりファインダーを覗きながら臨機応変に対応できるようにしていこう。

風景撮影では安定した構図で撮るために三脚を使うことも多いけれど、私はこんなシーンでは状況に合わせてフレーミングを頻繁に変えるので、手持ちで撮ることが多いよ。

師範より9月前半の総評

いよいよ今月で最後の道場となるけれど、たくさんの挑戦ありがとう!

今回は雲というどこでも見られる被写体をテーマにしてみたけれど、どうだっただろうか。
いい写真にならなかったとしても、いつも空を見上げて雲を気にしていたら、いろいろな雲の表情があることを再発見できたのではないかと思う。

自然やネイチャーと呼べる被写体はどんどん減ってしまっていて撮りにくくなっているけれど、同じところをじっくり見つめることで見えてくるものはたくさんある。
定番の景色をいい条件で撮るのもいいけれど、景色を見つめて自分の視点で発見したことや気持ちを伝えることが個性ある写真につながっていくので、自分が撮りたいとかいいなと思った気持ちには素直に反応してシャッターを押して欲しい。

でも、独りよがりにならず、どうしたら自分の意図が伝わるかを意識・工夫して撮影することが大切だよ。

次回の最終回も、楽しい写真が集まることを楽しみにしているよ!

記念品のお届けについて

YamamotoFHironagaさん、ミムチさんには「免許中伝ミニ木札」、木瓜さんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は10月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、9月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

いよいよ最終回です!たくさんのご投稿お待ちしています!

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