今回はモノクロ専用機であるPENTAX K-3 Mark III Monochromeのお話です。

まずはじめに、K-3 Mark III Monochrome はイメージセンサー前にあるカラーフィルターがなくイメージセンサーで輝度情報だけを扱うカメラになります。通常のデジタルカメラではカラーフィルターを使って色情報を扱っているので補間が行われています。その補間がなくひとつひとつのセンサーが受けた情報をフルで使えるのが利点です。

カスタムイメージは「スタンダード」「ハード」「ソフト」の3つです。

カメラとレンズ

カメラ:K-3 Mark III Monochrome
レンズ:HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW/smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited/HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited/HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR/HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR

レンズはちょっと欲張りました(笑)

それって必要?

素朴な疑問としてここまで進化しているイメージセンサーや画像処理技術がある中で モノクロ専用機 が必要なのかというのがあります。それはこれだけモノクロ好きな私自身も感じたことです。この疑問は使っていただければ解決します。その違いはちょっと繊細かもしれないですが、それを楽しむのがモノクロ写真を楽しむことだと思います。

違いはトーンにあり

私自身も感じた最初の「これって必要?」そんな疑問に答えるために選んだのはレンズでした。手持ちレンズの中では最高の描写力を持っていると思われる HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW を使ってその力を検証しました。その結果感じたのがトーンの違いでした。

露出補正 -1.7EV 木漏れ日の輝きと影の締りの強さがより際立っている

露出補正 +2.0EV 曇天の雲を背景に細かいところを狙った。かなりオーバー露出にしても曇天のトーンが美しく残っている

この検証は絞りを開放にして行いました。少し絞ったほうがより優しい条件になるのですが、せっかくなのでシビアでと考えました。

結果は光の強い条件でも弱い条件でもそれに合わせた緻密なトーンが再現されることがわかりました。ちなみにこのトーンをよりよく扱うためには光の見極めと露出コントロールは必須条件です。このふたつの条件は一眼レフカメラをより楽しく使うための条件でもあります。そして、その感覚を鍛えてくれるのが一眼レフというシステムです。

今回はちょっと話が長くなりそうですが、もう少しトーンの違いを検証していきましょう。

露出補正 -2.0EV 弱い光の中でも木立に光が当たっている面と影の面の違いが繊細に再現されている

露出補正 +2.0EV 弱い逆光の桜。細かい部分まではっきり分離されているのはレンズの力もあるが、ハイライトのトーンの再現力の高さも貢献している

露出補正 0EV 柔らかな光を受けた湖面が優しい風に揺れて静かなリズムを刻んでいるように見える。これも繊細なトーンのつながりがあるおかげ

ここまでは全て HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW です。このレンズを使えば当然の結果だよ。と思われそうですが、このK-3 Mark III Monochromeはこの新世代スターレンズと組み合わせてほしいと感じる繊細なトーンの再現力を持っています。

やっぱりパーフェクトレンズ

ここからは smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited を使いました。これは私自身がパーフェクトレンズと呼んでいるレンズとの組み合わせでその実力を見たいからでした。

露出補正 -2.3EV シャドーの再現力はかなり高く、立体感を感じやすい。見た目以上に光の輝きも増しているように思えた

露出補正 -1.0EV 中古屋さんの店頭に並ぶちょっと古い軽自動車が弱い光を受けて輝いている姿をかなり美しく再現してくれた

露出補正 -0.7EV 窓越しの曇天の夕暮れ。この日の空は焼けなかったが、絞り解放でも雲の細かいグラデーションは再現された

ここまでのカスタムイメージは「スタンダード」です。まずは「スタンダード」で自分の光を感じる力を試していただくのも良いと思います。

「ハード」+「アドバンストHDR」

ペンタックスのデジタルカメラの良さはカメラ内処理で思い切った変化を加えやすいことでもあります。その利点はこの K-3 Mark III Monochromeにもあります。

デジタルらしいかなり強い変化を試すために「アドバンストHDR」を使いました。HDRの機能を使うときは1枚の写真を撮影するのに3回シャッターが切れます。その間は動かないように注意しましょう。3回のシャッターは早いタイミングで切れるので、少し落ち着いてシャッターを切れば手持ち撮影でも問題なく使えます。

露出補正 -0.3EV 強い処理の効果もあって日陰の桜が浮き上がって見える

露出補正 -0.3EV 古い建物とそれに絡まる植物の質感がかなり上がっている

露出補正 -0.3EV このぐらいのタイミングであれば、動きのズレはそれほど気にならない。シャドーの深みがこの街の怪しさを引き出してくれた

「アドバンストHDR」を使うときは「ハード」の方があっていました。初めは「スタンダード」にしていたのですが、「アドバンストHDR」の強い処理との違和感を感じて、暗部に深みが増す「ハード」に変えました。レンズは HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited です。ちょっと不思議な印象の処理には思い切り広いレンズがあっています。

「ソフト」がいい感じ

この K-3 Mark III Monochromeのカスタムイメージで一番象徴的だと感じたのが「ソフト」でした。「ソフト」を使うときは少しオーバー気味の露出にするのがオススメで、そうするとハイライトの美しいトーンが再現されます。この美しさも滑らかなトーンの再現力があってだと感じました。レンズは HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR です。

20mm 露出補正 +0.7EV 港めぐりの舟の出港を待つ風景。優しさを感じるトーンで休日ののんびりした雰囲気を狙った

26mm 露出補正 +0.7EV 街角ピアノを弾く小さな男の子とその仲間たち。柔らかなトーンでその優しい音色を再現したいと考えた

26mm 露出補正 +0.7EV トーンに柔らかさがあっても細い枝や芽吹いたばかりの葉っぱの繊細さは表現されている

「ソフト」を使い始めたきっかけはせっかくあるからという感じでしたが、使い始めるとその魅力がこのK-3 Mark III Monochromeの繊細なトーンにあっていると感じるようになりました。

「ソフト」+「粒状感モノクローム」

デジタルフィルター「粒状感モノクローム」を加えのは、質感や立体感を高めるためです。「粒状感モノクローム」は、デフォルトの2のまま使っています。レンズは HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR です。

露出補正 +0.7EV この組み合わせにすると優しいトーンと繊細な描写の中に質感と立体感が加わる

露出補正 +0.7EV 春霞の雰囲気も優しく再現してくれた

露出補正 +0.7EV 弱い光の中でも桜が浮き上がる

露出補正 +0.7EV 散ってもなお美しい桜に出会った

まとめ

デジタルでは強い仕上げが好まれることがあります。確かにわかりやすくて良いのですが、このカメラが導きだしてくれる繊細なトーンは出来るだけ強くしすぎない。そんな仕上げがあっています。今回は明るさとコントラストを微調整していますが、そんな微調整を心がけるのが良いと思います。とはいえ、たまにはアドバンストHDRのような遊び心も必要です(笑)。

微調整で仕上げのために大切なのは光の見極めとそれに合わせた露出補正です。後からなんとかするのではなく撮影時にしっかりと決める。そんな基本に立ち返らせてくれるのが K-3 Mark III Monochromeというのが一番印象に残りました。