こんにちは、Yuzuと申します。2年前にカメラ専門店から転職してきた新参者で、日頃は製品プロモーションのためのWEBコンテンツ制作を行っています。PENTAX officialでは、主に全体の運営や写真家さんとのやりとりをさせていただいてます。イベントレポート以外にこちらで記事を書くのは初めてですが、今後ともよろしくお願いします。

機材は多くのことを解決してくれたけど…

カメラ屋でひと月に数千万~億円単位の機材の仕入れを担い、自分でも機材収集を趣味としていた私。「ある程度の問題は機材が解決してくれる」「機材があれば幸せ」そんな価値観に染まっていました。機材やその性能でカバーできるなら、そのほうが撮りたい写真への近道なのかなと。

〔例〕

・ぼかしたい・・・明るいレンズを買う
・レンズ交換してるヒマがない・・・同じカメラ2台持つ

わかりやすいのはこういうことでしょうか。たしかに、撮影中に感じた「あれがやりたい」「これが困った」は多くの場合機材が解決してくれていました。

 

転職して以降、ありがたいことに色々な写真家さんや、多くの写真愛好家の方々の写真に触れたりお話しをうかがう機会に恵まれています。写真に対する深い情熱、被写体との向き合い方、写真という表現を用いてより大事な何かを伝えようとしている人など、本当にいろんな“写真の在り方”を感じました。

話の流れで『どんな写真を撮るんですか?』と聞かれると「どんな?うーん…まぁ色々ですかね…」と困ることがしばしば。

写真を始めて10数年、自分にとっての“写真”ってなんだろう?と振り返ってみると中々答えが見つかりません。

色んな製品を使ってきたので、取り扱いで困ることはありません。でも何か足りない、なんでしょう。初対面の方にご挨拶するときにも「機材オタクですが、写真はそこそこです…」なんて変なへりくだり方をした自己紹介をしてしまう始末。

機材に傾倒した頭を一旦リフレッシュしてみる

PENTAX officialの立ち上げの準備を進める中、とある社員のアイディアで以下の記事のような撮影に臨みました。

>>カメラの機能を限定して思考を活性化しよう(ジョニー)

「便利な機能を使わない撮影」を体験し、なんとなくスッキリした気がしています。

これまでは機材に振り回されることが多く「こういうときは“あの機能”を使ったほうが良い」「こういうとき“あのレンズ”があれば…」とか、極端な話「後ボケが綺麗なレンズだから背景を…」とか、「逆光に強いレンズだからあえて意地悪なシチュエーションで…」みたいな機材レビューのような撮影ばかりをしていました。

はずかしながら今さらあらためて思い知ったのは、自分が「いいな」と思ったときにシャッターを切るところが、まず写真の入り口だということ。

もう一つはレンズを通した光景、そこから跳ね返ってくる光を写しとめてくれることが、究極にシンプルなカメラの役割だということ。

自戒の念も込めて、それからは日頃の撮影でも機材ばかりをあてにしすぎないシンプルなセッティングでの撮影にはまっています。
必要なときはもちろん便利な機能も活用しますが、機能ありき、機材ありきになりすぎないように気を付けています。(買いすぎてもう支払いきれないという自制のためでもあります)

もちろん、カメラやレンズを買って売ってを繰り返してきたので、機材の使い方や評価の仕方は充分に学べました。
しかし、残念ながら私の場合はそれらの経験だけでは“感性”や“考える力”は育たなかったようです。

それならフィルムで撮ったらいいじゃない

そんな話を社内でしていると、「じゃあもう次は機械式のフィルムカメラですね」と言われてしまいます。なるほど。前回の撮影記事のように撮影画像の再生まで封じてしまうことはありませんが、たしかに最近はフィルムカメラでの撮影をオマージュしたような撮影をしています。

ただ、デジタルカメラ普及後に写真を始めた私、はずかしながらフィルムで撮ったことがありません…。これも良い機会だと思い、フィルム写真デビューを考えました。

 

フィルムカメラをこれから探すとしたら、皆さんはどんな探し方をするでしょう?

  • 馴染みのカメラ屋さんで詳しいスタッフに相談をする
  • ネットショップの中古品を探す
  • オークションで中古品を探す

 

いずれも、結構大変ですよね…。憧れの流れとして「父親から受け継いだ」みたいなエピソードもありますが、私の家族や親戚に写真好きは皆無。一人くらいいても良いのに…。

そんなことを頭の中で妄想しながら日々仕事をこなしていると、会社のお昼の休憩時間にこんな話声を拾います。

ある日のお昼休み

某 営業部長:「…MXはファインダー腐食してるの多いから、オークションで安く買って修理に出してるよ。結構同じカメラをそうやって集めて、少しずつ綺麗にして…」

私はしたたかに世間話をしながらその会話に混ざります。そして頃合いをみて、大胆にもこう切り出すのです。

Yuzu:「その綺麗になったMXを売ってください」

某 営業部長:「え、お金かけて露出計もちゃんと精度でるようにしてあるからさー」

Yuzu:「良いですね、最高です。思い入れ込みの値段で買います、コレクションよりも使ってもらえたほうがカメラも喜びますよ!(乱暴)」

某 営業部長:「ほ…本気で言ってる?とりあえず2番目に気に入ってるやつなら今度持ってくるから見てみてよ」

 

– 続く –

>>次の話:今さら飛び込むフィルム写真 第2回