こんにちは、はじめまして、ジョニーです。
PENTAX officialサイトの立ち上げに際し、ユーザーインターフェース(UI)設計の立場から情報を発信するよう、PENTAX official 編集部員に抜擢されました。
至らない点もあるかもしれませんが、これからよろしくお願いします。

考えて撮る楽しさを忘れていませんか?

デジタルカメラ、薄型テレビ、スマートフォン、カーナビゲーションなど、技術の発展に伴って多機能化され、思い立ったら難なくこなせる時代になってきました。
写真を撮りたいと思えば、カメラを片手に家を出る気力さえあれば撮影を楽しめる。
旅行に行きたいと思えば、車に乗り込み行き先を入力するだけでどこにでも行ける。
出かけた先でおいしいものを食べたいと思えば、インターネット上の口コミを見ておいしいお店にたどり着ける。

とても便利で効率的です。
反面、計画的に何かをする機会が減り、元々あった楽しさを忘れてしまってはいないでしょうか。

旅行に行く前、ガイドブックと地図を持って友人とレストランに集まり、スケジュールを立てる。
綿密なスケジュールを作り、コピーしてみんなに配布しますが、実際に旅行に行くとハプニングの連続で計画的に進みません。
どうやって今日の宿までたどり着こうか、計画していた観光地を削ろうか、とコンビニで休憩をしながら作戦会議をします。
そういった経験をしなくなって久しく感じます。

では、カメラではどうでしょうか。
便利な機能がいろいろと搭載され、撮影したいシーンが撮りやすくなっています。
失敗しないことはとても良いことですが、カメラ任せになって、考えて撮る楽しさを忘れていませんか?

機能を限定することにより、普段使わない感性を刺激する

ネットサーフィン中毒の同僚、社員E氏からデジタルデトックスを教えられました。
デジタルデトックスとは、デジタル製品から離れることで、ストレスを軽減し、実際のつながりを大切にして、自然に向き合おう、というものです。

デジタルカメラ自体がデジタル製品なのでデジタルデトックスには相反しますが、今回は便利な機能に頼らず、撮影時に脳をフル回転させ、普段使わない感性を刺激し、撮影する行為自体を楽しんでみないか、ということで仲のいい社内のPENTAXIANに声をかけ、撮影会を行うことにしました。

撮影ルールとカメラの設定、そして撮影場所の相談

Yuzu氏、社員E氏、私(ジョニー)の3名で会議室に集まり、撮影場所とどんな撮影会にするか、の相談から開始します。
会議室内ではMFを使用して撮影しながら、撮影場所の話をします。次第に設定もまとまってきます。

ルール①:フィルムを使っている気持ちで撮影する
・24枚 or 36枚のフィルムを撮りきるまではISO感度、カスタムイメージ、デジタルフィルター、ホワイトバランスの設定を変更しない
・撮影画像は撮影日の3日後まで確認不可!クイックビュー、デジタルプレビューは当然禁止、ライブビューはもってのほか!
・フィルム時代は1枚1枚じっくり撮影していたはずなので無駄うちをしない!

ルール②:出来るだけマニュアルで撮影する
・露出モードはマニュアル露出(M)
・MF固定(オールドレンズ(smc PENTAX-M 1:1.4 50mm )を使用、社員E氏はsmc PENTAX-M 1:2 35mm、Yuzu氏はHD PENTAX-FA35mmF2をMFで使用)

ルール③:便利な機能はオフ
・撮影待機画面:画面オフ(ステータススクリーンも使用しません。PENTAX KPの場合は「モードメモリ」の「撮影情報表示」も有効にすることで、電源オン時にステータススクリーンが表示されません。)
・電子水準器:オフ
・自動水平補正:オフ
・電子音(合焦音):オフ
・スーパーインポーズ:オフ
・HDR撮影、リアル・レゾリューション・システム等の機能は禁止
・ドライブモードも1コマ撮影
・グリーンボタンの絞り込み測光を禁止(マニュアル露出の場合にワンボタンで適正露出にシフトする機能)

電子ダイヤルのカスタマイズ画面、今回はグリーンボタンの機能をなしに設定しました

ルール④:③では格好いいことを言ったけど、失敗画像ばかりにならないように便利な機能も一部だけ利用する
・Shake Reductionはオン
・マニュアル露出だけど、適正露出との差分表示は活用する

その他
・普段のカスタマイズからFx1だけ光学プレビューに変更しました

Fx1:Wi-Fi、Fx2:光学プレビュー、Fx3:測距点移動 普段のカスタマイズ

Fx1:光学プレビュー、Fx2:光学プレビュー、Fx3:測距点移動、今回の撮影会向けのカスタマイズ ではWi-Fiを使わないため、ファインダーを覗いたまま、光学プレビュー実施中に電子ダイヤルを操作するため、Fx1のみ変更

打合せの最後に撮影場所を決定、暑さもあるし半日程度で行ける近場、ということで…、銀座、戸越銀座、谷中銀座と、意図せず銀座が並んだ中で、谷中銀座に決定しました。

いざ撮影へ

撮影会当日。昼すぎに会社を出発して、谷中銀座へ向かいます。今年の夏はとても暑く、この日もとても暑い日でした。
日暮里駅の北改札口を抜けて撮影会のスタートです。
明確にルールとして決めたわけではないですが、この後はスマートフォンは触らず、撮影モードに突入です。地図も見ないため行き当たりばったりです。

日暮里駅の道路から電車の線路が見えます。
ピント位置、露出を調整し、あとは電車が来るのを待つだけの状態にして待つこと数分、北陸新幹線のかがやきが現れました。
タイミングだけを合わせて撮影、少し露出がオーバー気味ですが電柱と鉄塔の間に収めることができました。
当然撮影している際にはこの画像が確認できていません。どんな画像に仕上がっているか、わくわくどきどきです。

ピントを合わせる、露出を決める、構図を決める。
この3つだけを行ってからシャッターボタンで撮影することになるのですが、AF、AEの癖が抜けず、ピント、露出のどちらかを忘れてしまうことも…。そして気を抜くと常に失敗画像が待っています。

失敗画像の例、露出オーバーです(笑)

そんなこんなで谷中銀座に到着。ここからは画像が中心になります。基本的には撮って出しのJPEG画像です。

谷中銀座の有名なスポット、自動水平補正がオフなのでちょっと左下がりになってしまっています…

階段の下から撮影、露出オーバーですね…

ピント調整……、露出を決めて………、構図を決めて…………、ようやく撮影。
じっくり撮影しているので1枚に30秒くらいかかります。その間に同僚はどんどん進んで行きます。

撮影風景はRICOH GR IIIで撮影

一番体感したのは、撮影後に背面液晶を見る、という動作が体に染みついているということ。ステータススクリーンもオフ、クイックビューもオフのため、画像モニターには何も表示されないのですが、シャッターボタンを押す度に、何度も真っ黒な画面を見てしまいます。気を抜くと再生ボタンを押しそうになっている自分に気が付きます。

谷中銀座は海外のお客さんが多く、お洒落なカフェが多いです。

やはり左が下がる傾向が…、普段は自動水平補正に頼りきりなことが判明しました

富士見坂、昔はここから富士山が見えたとのこと、奥行き感を演出したかったのですが、ピントがどこにも来ていません…

街灯に富士山がデザインされていてお洒落です。2つの街灯を画角に収めるために、坂道を行ったり来たりしました

バーをスライドして画像比較が行えます
左:撮影時 / 右:RAW現像後

この路地はすこし暗めの雰囲気で撮影したかったのですが、思いのほか明るい画像に仕上がっていました。(RAWで撮影していたので、カメラ内RAW現像で求めていた雰囲気を再現しました)

同じ場所では1枚だけのつもりで撮影してきましたが、猫は3枚も撮影してしまいました。そのうちの2枚。猫は良いですね。癒されます。

お腹にピントが来ていて顔がボケてる

猫を撮影するYuzu氏、撮影風景はGR IIIで撮影

谷中銀座を離れ、駅に向かう道中。画像を見るだけで当日の暑さを思い出します

撮影会後

撮影枚数の結果発表

Yuzu氏:81枚

社員E氏:43枚

ジョニー:42枚

じっくり撮影することで、撮影枚数は比較的少なめになりました。

自分が撮影した画像がどんな風に仕上がっているのか、早く確認したくなります。普段なら電車に乗って帰る間に撮影画像の確認をして、スマートフォンに画像転送をしていましたが、今回は3日後まで確認禁止です。フィルムで撮影していたころ、現像に出した写真を受け取り、確認するまでの待ち時間のわくわく感を思い出しました。

後日、再度会議室に集まり、撮影した画像の確認会を行いました。
思ったように撮れている画像、露出やピントで失敗している画像、狙った感じではないのにいい感じに撮れた画像、それぞれの撮影時の思い出話も盛り上がります。今回はジョニーの画像のみご紹介してきましたが、次回はYuzu氏と社員E氏の画像をご紹介したいと思います。

最近はSDカードの容量も増えたこともあり、気兼ねなく数百枚単位で撮影する場合が多くなりました。撮影した画像の中からSNSにアップする画像を選び、Image Syncでスマートフォンに転送する。その後はというと、PCに画像を保存するだけで、次の日以降に撮影した画像と向き合うことがほとんどありませんでした。

今回、じっくりと撮影することで1枚1枚が記憶に残る写真になったと感じています。

 

もし、最近カメラに撮らされているな、と感じているような方がいましたら、今お持ちのカメラ、レンズで構わないので、便利な機能を封印して、限定した機能のみで撮影自体を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

最後に…、撮影開始時にはFx1ボタンとFx2ボタンが光学プレビューになっていましたが、最終的にはFx3ボタンも光学プレビューになっていました(笑)

Fx1:光学プレビュー、Fx2:光学プレビュー、Fx3:光学プレビュー

ファインダーを覗いたまま、レンズの絞りリングを操作する場合、左手側はレンズの絞りリングを操作します。そうなると、右手側で光学プレビューを実施した方が、絞りリングの操作がしやすいことが判明。それぞれのFxボタンに同じ機能が登録できて、非常に助かりました。

次回は、同行した社員の撮影画像をそれぞれご紹介します。

>>カメラの機能を限定して思考を活性化しよう ~画像紹介編~(ジョニー)