2月のお題は…『冬景色』

小林義明 師範

冬だからこそ見られる景色というのがあります。私の住む北海道では雪があるのが当たり前ですし、霧氷なども比較的よく見られます。しかし東京では冬に雪が降るのは年に数回でしょうし、逆に良く晴れた晴天が続きます。このように地域ごとに冬の景色は違ってくるので、雪景色に限らず地元の冬を感じられる景色を募集したいと思います。冬らしい寒さや冷たさ、乾いた空気感などの伝わってくる作品をお待ちしています。

 

 

小林義明 師範からの2月のお題は『冬景色』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

2月の挑戦者その1:水野源さん

冬の星座の代名詞でもあるオリオン座と、
やはり冬の風物詩でもあるふたご座流星群を、雪原と防風林とともに写しました。
意図的にWBの色温度を下げることで、冬の寒空を強調してみました。

水野源
北海道在住、男性。2014年に北海道に移住してから、本格的に写真を学びはじめました。北海道の風景や動物が好きで、撮影を続けています。PENTAX K-1とHD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

オリオン座の脇を流れる大きな流れ星は冬を代表する双子座流星群ということで、絶妙な場所に流れた瞬間を見事に捉えている! 流星群を撮影したことががある人は分かると思うが、イメージした場所に流れ星が写るというだけでも実は相当難しいことで、きちんと星を写せるという基本技術だけではどうにもならず、強運に恵まれないと撮れない写真だ。この部分に関しては免許皆伝をあげたい気分なんだけど・・・。

構図全体で考えるとちょっとまとまりがなくなってしまった感じがしている。なぜかというと、防風林の後ろに見えている街明かりがかなり強くて、視点がまずこの街明かりや防風林に引き寄せられてしまうんだ。
いちばん主役であるオリオン座と、流星の部分と、この明るい部分が離れていて視点行き来してしまうので、どうしてもイメージが散漫になってしまう。この写真をトリミングするとしたら、画面右1/3をカットして街明かりを減らして見てもらうと、撮りたかったイメージがよりはっきりするのではないだろうか。
この街明かりが避けられないときは、視点を寄せるために街明かりのある防風林とオリオン座を近づけるようにフレーミングするというのもひとつの方法だ。

空がきれいな北海道でも街明かりは意外と多く、撮影場所も難しいのだけれど、星を主役にするためにどんな前景を選ぶといいのか考えてみよう。街明かりが強い部分は後処理で焼き込むようなことも必要だろう。

2月の挑戦者その2:保育士Gachaさん

北八ヶ岳、高見石小屋にスノーハイクにでかけました。
前日から降り続いた雪が樹皮に張り付き、曇天模様の中空を見上げたら、モノクロの世界が広がっていました。

保育士Gacha
埼玉県在住、男性。こんにちは、早朝や夜の撮影が多く、風景写真を主に撮っています。PENTAX歴20年目となりました。保育士カメラマンとして活動しています。PENTAX MX-1で撮影。Instagram

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

木にビッシリとついた雪が実に冬らしい感じを表現していて、いい写真だ。こんな景色のなかでの山歩き、とても楽しそうだ。しっかり自分の足で歩いて登った山がいい景色を見せてくれたね。構図としても木の高さや広がりも感じられて、狙いは的確だと思う。

このカットで惜しいと思ったのは、画面右上のあたりに雪がついていないために黒く写っている枝があることだ。画面全体をほぼ白のトーンでまとめたことで、雪の清楚さや透明感も感じられている。しかし、この黒い部分があることでせっかくの白を基調とした雰囲気を壊してしまったのだ。また、画面全体が白っぽく明るい中に黒い部分があるので、視点も集めてしまう。本来なら雪がビッシリとついた幹がいちばん目立つ部分なはずなのだが、この黒いところに視点が寄せられてしまうんだ。撮影時に気づいていたら画面に入れないように縦位置のフレーミングも可能だったと思うので、ファインダーだけで被写体を見るのではなく、肉眼でもよく見てこのような部分がないか確認してからシャッターを押すようにしよう。

登山中の撮影は先を急ぐと構図が甘くなることも多いので、ここぞというシーンは余裕を持って撮影するように心がけて欲しい。このシーンだって、最近のような天候が続いたら、次に出会えるのはいつになるのか分からない。貴重なシーンを撮り逃さないよう、丁寧に景色と対峙しよう。

2月の挑戦者その3:kじぃ~さん

初雪の浅い雪が、川べりの木々に積もり、温泉水の流れ込む水とのコントラストが印象的でした。

kじぃ~
秋田県在住、男性。古希も過ぎて、撮影する時間も先が見えたようにも、感じる昨今ですが体の自由が利く限り、撮影を楽しみたいと思っています。PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

初雪のときの景色ということで、降ったばかりの雪がきれいに木の上に乗っていて、すばらしいタイミングを捉えているね。温泉の成分が流れ込んでいる川は、独特のブルーの色がきれいで雪の白さを引き立てている。リアル・レゾリューション・システムを活用して、画面全体に高い解像感を与えているのもいいと思う。

基本的な撮り方は問題ないのだけれど、このカットで唯一惜しいと思ったのは、画面下の黒っぽく見える川の流れなんだ。せっかく青と白のコントラストで景色をきれいに見せているのに、黒っぽく見える淵の面積が多く目立つため川の流れがもつ色の印象を弱くしてしまっていると思う。撮影データを見ると、レンズの望遠側いっぱいなのだけれど、ここは面倒でもレンズ交換をしてもう少し画面下の黒っぽく見える部分を減らしたかったところだ。そうすることで写真の印象は大きく変わってくる。参考にトリミングした画像をつけておくので、見てみて欲しい。

この黒っぽく見える部分は肉眼で見ているともっと明るく見えていたに違いない。しかし、C-PLフィルターで反射を抑えて撮影するとこのようなところは見た目より暗く写りやすい。さらにカスタムイメージをリバーサルフィルムにしているため、コントラストが高くなり、暗く見えるところはさらに暗く写る。小雪が舞うような天候では光がフラットでメリハリがなくなってしまうので、リバーサルフィルムの選択は間違っていないと思うが、肉眼のイメージとは違った写りをする。それを計算した上でフレーミングを考えるようにしよう。

今回の採用者の3名も『門前払い』となってしまいましたが、師範のコメントをご参考にしていただき今後も撮影を楽しんでいただければと思います。

また、「門前払い ミニ木札」をお贈りします!



 

ぜひ以降のお題にもチャレンジしてみてください!

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