English Page:Product Stories of New APS-C “K-3 Mark III” Vol.4 (Wakashiro)
PENTAX一眼レフカメラの商品企画を担当しております若代です。
開発中のAPS-Cフラッグシップ一眼レフカメラについて発信していきます。
撮影プロセスを愉しむ上では、ユーザーインターフェイスが分かりやすく撮影意図を伝えやすいことも重要ですが、使っていて違和感がないということも重要であると考えています。
グリップの形状は握り易ければ良いという訳ではありません。しっかりと握り込めることによって、かえって指が固定されて操作し難くなることがあります。グリップ形状の検討段階では、ダイヤルやボタンの操作がスムーズに行えるかどうかも同時に確認し、操作部材の位置・形状の検討も並行して進め、握り心地と操作感を最適化していきます。
重要なのは中指の部分で、この位置を固めた上で各操作部材を自然に操作できるか、トライ&エラーで検証します。人差し指でボタンを押す上で中指に対して人差し指の開き方が自然であるか、人差し指で電子ダイヤルを操作する上で中指と人差し指が擦れることによる違和感がないか、といった事などを確認します。中指はカメラを支える上で重要な役割を担っており、中指によるホールド感や当たり方に違和感がないように形状を微修正する作業が最後の最後まで続きます。
1/100mm単位で肉付けしたり削ったりして評価を行い、3D形状のデータに落とし込む、こうしたプロセスを何度も繰り返してグリップ性と操作性の良さを兼ね備えたデザインにしています。
グリップの後方は親指の付け根で支えることになりますが、ここが角張っていると痛みを感じることになりますので面で支えるようにデザインを工夫しています。一方で、この角の部分を丸めすぎると、親指の付け根でしっかり支えられず握り込む必要が生じてしまいますので、それを避けるように形状を最適化しています。また、親指の付け根に触れる面からカメラを握る上では触れない上部まで面で繋がっていますが、親指で上面のダイヤルなどを操作する上で尖った面に触れることがないように配慮されています。
背面に設けられたジョイスティックは測距点レバーですが、親指が触れる表面の形状を工夫しています。
親指で操作する際に滑ることがないように、しっかりと引っ掛かるようにする必要がありますが、指がかりの良さだけを考慮すると、突起が指にめり込んで痛みを感じるという問題が生じます。
そのため、中央の突起と周辺の突起で形状を変えて、指がかりの良さと痛みを感じず違和感なく使えることを両立しています。
グリップの形状、操作部材の形状や位置は、試作を繰り返しながら、様々な手の大きさ、指の長さ・太さの人に確認を行った上で最適化しています。握っている手や操作する指に痛みを感じない、操作する上で違和感がない、といった基準でも評価を行っております。違和感なく操作できるカメラで、撮影に集中して被写体と対話するように撮影を愉しんで頂きたいと思います。
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