3月のお題は…『ほのか』

瀬尾拓慶 師範

カスタムイメージのパラメーターとほのか特有の色味を駆使し、美しい光による空間を切り取ってください。「ほのか」という名前ですが、パラメーターをしっかりと調整することによってどのような表現も可能となります。しっかりとした色再現をしつつも、自分の色味を作り込むことも出来ます。前回の銀残しと同じく調色を入れることが可能ですが、銀残しとの色の出方の違いを把握しほのかの特徴を引き出してください。







瀬尾拓慶 師範からの3月のお題は『ほのかでした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

3月の挑戦者その4:ekarumawasさん

光芒を強調するためにキーとコントラストを調整し、調色にレッドを入れ秋っぽい雰囲気にした後、
ホワイトバランスで全体を微調整しました。

ekarumawas
長野県在住、男性。長野県で主に風景を撮ってます。PENTAX K-1とHD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

瀬尾拓慶 師範からの添削コメント

 

とても美しい光と色が切りとれていると思います。調色にレッドを入れたという点も大きいですね、印象的な雰囲気が出ています。パラメーターを調整されているという点も大きな評価ポイントですね。ですが、実はこの光芒というのはありふれている分とても扱いが難しい被写体なのです。普通に露出を落として撮るだけでも意外とかっこよく撮れてしまう、少しややこしい相手です。

ekarumawasさんの作品は確かに色味や光の具合がとても美しく、良い味を出していると思います。ですが、光芒の使い方という点であと一歩改善できる点があります。
この作品は中心に持ってきている枝と葉が重要なポイントを担っていますが、いまいちこのポイントを活かしきれていません。光芒を撮ることに意識がいきすぎてしまっているように思われます。というのは、どうしても作品の主力である光芒を構図の中に収めようとするあまり、左の空間と葉っぱの位置、光芒の範囲がいびつになってしまっているからです。あとほんの少し露出を下げ、縦でこのように切り取るだけでも印象がだいぶ変わってきます。

この構図は背景のドラマチックな光を、手前の印象を引き立たせるために脇役として使用しています。これであれば、元の横構図ですと画面全体に分散してしまっていた光が、より明確に美しく見えると思います。
カスタムイメージの使いこなしは、とても素晴らしいと思いますので、被写体のイメージに囚われず余裕を持って撮影をしてみてください。
ekarumawasさんの他の作品も拝見させていただきましたが、ちょっとした構図の取り方でさらに美しい作品を撮ることができると思います。

3月の挑戦者その5:kazeさん

池を泳ぐ鯉と楓の新芽を、ほのかを使って柔らかな雰囲気で撮ってみました。

Kaze
香川県在住、男性。光学ファインダーに魅せられてPENTAX一眼レフの虜になりました。祖父に貰ったSP FからLX~K-1 Mark IIまでずっとPENTAXのカメラを使っています。PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA70-210mmF4ED SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

瀬尾拓慶 師範からの添削コメント

 

とても素敵なシチュエーションですね。春の暖かさと、柔らかな雰囲気がとても美しいです。
さて、ではなぜ門前払いとなってしまったのでしょうか。

それは、この作品の見せたい部分が曖昧になってしまっているからです。前述のように作品の雰囲気は優しげな印象で、私は好きです。ですが、その優しい雰囲気を出そうとするあまり、作品の構成自体もふんわりとしてしまっています。こういった作品はボケも重要ですが、その分ピントもはっきりとさせると良いでしょう。繊細な楓の新芽はファインシャープネスで細い線を強調しつつ、もっとしっかりピントを合わせましょう。

構図的にも、可能であればもう少し右の方まで枝が被るように切り取っても良いかもしれません。優しい雰囲気の作品だからこそ、押さえるべきところは押さえる必要があります。このピントがもっとはっきりしていることにより、背景の鯉や、ボケつつも奥行きのある背景が活きてくると思います。

この構図の中で一番目立ってしまっているのが右下の松の葉です。入れるならもっとしっかりと構成し、仕方なく入ってしまうのであれば立ち位置などもう少し工夫が必要かもしれません。シャッターチャンスの見つけ方や雰囲気の作り方はとても素敵だと思います。ですので、より繊細な部分へと意識を注いでみてください。

3月の挑戦者その6:クウさん

地面に落ちたことで、もの悲しくもあり、より目を引くようになった赤い花の魅力を捉えたいと
シャッターを切りました。

クウ
東京都在住、男性。K-50からKPへ。写真を趣味にしていると言えるくらいには使い込んでいきたい。PENTAX KPとsmc PENTAX-DA★50-135mmF2.8ED[IF] SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

瀬尾拓慶 師範からの添削コメント

 

地面に落ちた花びら。とても悲しげで美しいですね。
私もこういった情景が好きで、見つけては撮ってしまいます。この作品は、カスタムイメージで調色を入れていますでしょうか。この系統の写真はとても撮るのが難しいため、もし色を際立たせたいのであればしっかりと工夫をしなければいけません。この場合はこのマゼンタに近い赤を際立たせたいのですが、背景の土の色との明度差があまりなく、沈んでしまっています。

そういった場合に力を貸してくれるのが調色です。この場合はブルーを入れてみてください。名前の通り全体に青のフィルターをかけるイメージですが、実はブルーはマゼンタを強調してくれます。ですので、この花を際立たせることができるのです。ただブルーを入れるだけですと全体的に色味がきつくなってしまうので、ホワイトバランスを「色温度指定」で設定し(4000前後あたりですかね)、さらにAMBGの補正で少しだけGとAを入れてみてください。そうすることにより、全体にさらに雰囲気が加わり、花びらが印象的になるはずです。

これからもカスタムイメージでの作品作り、頑張ってください。

記念品のお届けについて

ekarumawasさんには「免許中伝ミニ木札」、kazuさん、クウさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は4月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

師範より2~3月の総評

ふた月を通し、「銀残し」と「ほのか」というカスタムイメージを題材に皆様の力作を沢山見せていただきました。どれも甲乙つけ難く、全てにコメントをしたい程でした。

カスタムイメージは使い方によって自由自在に、自分の心の中、頭の中にあるイメージを具現化させる事が出来ます。初めの内はどうしても難しく、諦めかけてしまうかもしれません。ですが、練習を重ねる事によりカメラは応えてくれるようになります。

例え自信が無いと思ってしまった作品も、ほんの少し意識を変えて撮るだけで更に素晴らしいものへと変貌します。ですからどんな時も想像力を止めず、常に目に映る光を意識して、その一片からでも作品になるという可能性を模索し続けて下さい。

多くの作品を見せていただけた事、感謝いたします。

次の機会があれば、皆様のパワーアップした作品をまた楽しみにしております。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、3月後半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

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