3月のお題は…『ほのか』

瀬尾拓慶 師範

カスタムイメージのパラメーターとほのか特有の色味を駆使し、美しい光による空間を切り取ってください。「ほのか」という名前ですが、パラメーターをしっかりと調整することによってどのような表現も可能となります。しっかりとした色再現をしつつも、自分の色味を作り込むことも出来ます。前回の銀残しと同じく調色を入れることが可能ですが、銀残しとの色の出方の違いを把握しほのかの特徴を引き出してください。







瀬尾拓慶 師範からの3月のお題は『ほのかでした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

3月の挑戦者その1:krhさん

冬の終わりから春の始まり。少し寒さの残る空気に、柔らかく差す光。

その微妙な感じが出したくて、「ほのか」にブルーの調色を加え、少し強めにシャドー補正をかけました。

また明瞭度を下げつつも彩度を上げることで、冬のような青空の下で開きかけた蕾を際立たせるようにしました。

krh
広島県在住、男性。主に旅行(バイク・鉄道)で撮ってます。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 16-85mmF3.5-5.6ED DC WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

瀬尾拓慶 師範からの添削コメント

 

パッと見たときに、春に向けて暖かくなっていく陽気を感じることができる、季節感を感じる良い作品だと思います。色味もこだわっていることが見て取れるため、素晴らしいと思います。
それではなぜ門前払いとなってしまったのかを説明いたします。

一番大きなポイントは、構図のバランスです。

作品の中で、下の船等のストラクチャー、真ん中の抜けている空、そしてメインとなる上の花がそれぞれ独立してしまっており、一つの作品として全体のまとまりが弱くなってしまっています。あと少しカメラを持ち上げてアングルを少し下に向け、花をもっと構図の真ん中まで落としてあげると安定します。花のピンクと空の青のコントラストをもっと作品の中で意識する事により、krhさんがこだわっている色作りがさらに活きてきます。花の切れ方も中途半端になってしまっている点が残念です。右上と、真ん中左上の花が切れずに収まっているだけでも印象がだいぶ変わります。

どうしても色作りにこだわり始めてしまうと構図への意識が薄れてしまうので、色作りを行ったあとは一呼吸置いて被写体とその環境を一度頭の中で整理してみてください。色作りはとても爽やかで美しい色を出せています。ブルーを入れる事により、花の色がしまっているため、より美しく見えますね。構図を意識するだけで、さらに先の作品を撮ることができるはずです。

これからの作品を楽しみにお待ちいたしております。

3月の挑戦者その2:さとまささん

明暗の中にサギの白さが美しく感じ、写真に収めました。

さとまさ
東京都在住、男性。自然や星を撮るのをメインに、勉強しています。ペンタックスのカスタムイメージ「銀残し」が好きなので、銀残し風の素敵な写真が撮れることを最近は勉強しています。PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

瀬尾拓慶 師範からの添削コメント

 

全体の雰囲気が良く、シラサギの存在感が際立っている点が素晴らしいです。
ではなぜ門前払いとなってしまったのか。

まず重要なポイントはピントです。
こういったピンポイントの被写体を中心に撮影する場合は、このピントが最も重要です。ピントが合っていないだけでどれだけ美しい雰囲気を作り込んでもダメになってしまいます。きっと何回かフォーカスを取り直したのだとは思いますが、望遠レンズはこういったシチュエーションだと何度やっても合いにくい場合があります。その場合は是非 MFに挑戦してください。シラサギはその場に佇んでいることが多いので、少し余裕をもって合わせてみると良いでしょう。

ほのかを使っての暗いトーンが個人的には好きなので、とてもこの作品が勿体無く思ってしまいます。構図はシラサギの位置が中途半端なため、作品としての完成度が曖昧になっています。右端の白い写り込みや手前の枝と奥の枝の入れ方を意識してください。手前の枝が切れていることにより、空間を圧迫しています。焦らず周りの環境とのバランスを見て空間構成をしてみてください。
この場合は縦構図も良いと思います。

手前の枝から奥の緑までをこのように切り取るだけでも雰囲気がまとまります。その際シラサギは中心より左に持ってくると良いでしょう。それとカスタムイメージのパラメーターで、キーをマイナスに振ることにより、更にシラサギが際立ってきます。もしシラサギと全体の光量が暗くなりすぎてしまうようなら、露出を上げてからキーを下げて、さらにコントラストを調整してください。さとまささんは、他の作品も注意点はほとんど同じ内容です。そして他の作品も一貫して撮りたいイメージがしっかりとしているので、構図を意識するだけで作品が変わります。撮影の際に一拍おいて、ゆとりを持って撮影してください。そしてこのダークトーンを極めてください。

また作品を楽しみにしています。

3月の挑戦者その3:すみさん

滋賀県の第一なぎさ公園の菜の花。
日の出前から狙っていた同志を入れてみました(お話済みです)。

朝日に照らされた一面の菜の花が素晴らしく幻想的でした。

すみ
京都府在住、男性。週末のお写ん歩を楽しみにサラリーマンしています。ペンタと出会って5年目。初めは単焦点のボケ描写にハマって、最近はズームで写真バリエーションを増やし中です。気に入った画角のFA Limitedを購入できる日を楽しみに貯金中。PENTAX K-70とsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WRで撮影。

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

瀬尾拓慶 師範からの添削コメント

 

色、光、雰囲気共にどれを取ってもクオリティーの高い一枚です。カスタムイメージ「ほのか」を使用した作品として美しい一枚だと思います。
ではなぜ免許中伝なのかを説明いたします。

それはやはり構図です。
縦構図に挑戦されている点も高評価に値します。100マクロとほのかの相性もとても良いですね。ですが、作品全体を見たときに全体の光が少し平坦になっている印象を受けます。それは手前から奥にかけてのメリハリが無い点が大きいですね。構図奥の人物がいるあたりは意識が通っていて良いのですが、そこへ注力しすぎて手前に対する意識が薄くなってしまっています。一番手前の横一列になっている花のかたまりと、そのすぐ上の茎が目立つ部分の面積のバランスが悪いです。膝が辛いかもしれませんが、あとほんの少ししゃがみ、手前の花をもう少し上に(茎の部分の面積を詰める)持ってくると良いでしょう。そうすると手前の花たちの茎の部分も入り、構図が安定して人物の上のスペースも空くので、構図上部の詰まってしまっている感も解消されます。しゃがみすぎると人物の顔に花がかかってくるので、その際は左にずれる等してください。今の状態ですと、せっかく奥が綺麗なのにすごく勿体無いです。
それと左下角の花の入り方が気になります。こういったシンプルさを極める作品は、見せたい箇所以外の意図しない要素、不要な要素を排除しなければいけないため、小さな箇所が判定の大きな要となってきます。ファインダーをのぞいた際に、四隅を確認してください。一瞬で終わることですが、これがいざとなるとなかなか難しいのです。

ほのかの設定としては、光も色もとても美しいです。
文句のつけようが無いように思いますが、調色のブルーを入れて、WBの方で GとAを入れたりして調整しても良いと思います。もちろん他の色でも構いません。ほのかは調色を使うことができるカスタムイメージです。銀残しと違い、クセが少ないため強く色が乗ってくるということもありませんので恐れずに使って、もっと色作りを楽しんでみてください。それとカスタムイメージの詳細設定でシャドーを少しだけ強めて引き締めても良いと思います。コントラスト自体を上げてしまわないように気をつけてください。
撮影時に多くの事に意識を割くのは大変だと思いますが、更なる美しい作品をお待ちいたしております。

記念品のお届けについて

すみさんには「免許中伝ミニ木札」、krhさん、さとまささんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は4月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

 

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