~広い広い世界を、自分の思い通りに切り取れるなんて最高じゃないか。

第6回「コンパクトカメラで切り取る」

今日の相棒は、Optio I-10。もう10年くらい前に発売されたコンパクトデジタルカメラである。その存在は知っていたが、最近、散歩の相棒として、オークションで購入したものだ。

1番の決め手は、デザインだった。フィルム世代なら、そのデザインが1979年に発売されたauto110のオマージュだとすぐに理解するだろう。ボディ上部中央の膨らみは、ペンタプリズムがあるかのようなデザインで一眼レフ好きにはたまらない。シャッターボタンも中央が窪んでいて、まさにフィルムカメラのそれのようである。

実際に手にするまでは、大した期待はしていなかったが、ボディに施されたシボ加工を手で確かめた時、愛着へと変わった。

 

 

 

 

「カメラを変えると気持ちが変わる。」

私は一眼レフのファインダーを通して世界を切り取ることに快感を感じる。それは狩りをするように研ぎ澄まされた感覚を必要とする。獲物はひとつひとつ丁寧に、ファインダーの四隅四辺を確認して仕留める。

では、ファインダーを持たないコンパクトカメラで撮る時はどうか?

それは実った果実を収穫するような穏やかな気持ちである。いいなと感じた風景や光や色を、カメラという籠の中に集めていくといった感じだ。

これは私の場合だが、あなたはどうだろう?

 

 

 

 

「散歩で確認すること」

午後、自宅から住宅街を抜けて息子が通う小学校まで歩いてみる。時間にして約20分。古くからある連なった一戸建て、真新しいマンション、その間にある鉄棒とベンチしかない小さな公園。宅急便と郵便局の配達員が、蜜を求め花から花へと飛び回る蜂のように、家々を渡りゆく。スーパーマーケットでは、パートを終えたお母さんが、後ろに大きなチャイルドシートをつけた自転車で乗り付け、食材を選んでいる。太陽は全てのものを平等に照らし、その色を見せ、影を作っている。

忘れてはいけない。日々の暮らしが、こうして出来ていることを。

自分が撮る写真は、その一部だということを。

 

 

 

 

「おまけ」

コンパクトデジタルカメラ/Optio I-10製品情報

レンズ:PENTAXズームレンズ 6群7枚(非球面レンズ3枚使用)【焦点距離】5.1~ 25.5mm(35ミリ判換算 約28~140mm)【F値】F3.5(W)~F5.9(T)
有効画素数:約1210万画素(総画素数 約1239万画素)
撮像素子:1/2.3型 CCD
感度 (標準出力感度):オート、マニュアル(ISO 80~6400)
ホワイトバランス:オート、太陽光、日陰、白熱灯、蛍光灯、マニュアル
画像モニター:2.7型ワイド 約23万ドットLCD、ARコート
露出制御 :【方式測光】分割、中央部重点、スポット【露出補正】±2EV(1/3EVステップ)
外形・寸法:約100.5(幅)×65(高)× 28(厚)mm(操作部材、突起部を除く)
質量(重さ):【撮影時】約153g(電池、SDメモリーカード含む) 【本体】約132g(電池、SDメモリーカード含まず)

 

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