総合評価
全体的によくできていて、使っていて楽しいカメラです。K-3/3IIの後継機種を長く待った甲斐がありました。
製品コンセプト
K-3からの買い換えです。APS-Cのフラッグシップ機がうまく体現されていると思います。動作もキビキビしているし、しっかり造り込まれている感じが伝わってきます。
光学ファインダー
ファインダーの像はよく見えます。眼鏡をかけて鼻が背面モニターに付かないように少し離しても、視野全体を確認できます。ただ、K-3では合焦した測距点が赤く光ったのが、K-3 Mark IIIでは黒い四角になり、測距点が少し見にくくなりました。ファインダー照明がONだと赤く照らされますが、合焦時に一瞬で、AFエリアの線やグリッド線も一緒に照らされるので、合焦点はあまり見やすくなりません。でも少しずつ慣れてきたので、このままでもいいような気もします。あとはファインダーの三分割グリッドの斜線をカスタマイズで消せればいいのですが。
画質
K-3ではよくISO12800まで上げていましたが、K-3 Mark IIIのISO51200の画質の方がいいと思います。低感度でも、色がK-3より派手目に出るような気もしますが、真面目に比較していないので気のせいかもしれません。レンズ補正に対応しているFAレンズがK-3より増えているので(他機種は既に対応していましたが)、絞りを開けたときに気になっていた色収差が補正されて、FAレンズの使用頻度がかなり上がりました。
動体性能
動く自転車を中速連写でしか試していませんが、ピントはしっかり追従して歩留まりが大幅に上がりました。フォーカス優先でも一定間隔で連写します。K-3ではピントが少し外れていたり、連写間隔が長くなったり、一定間隔でなかったりだったので、大きな進歩だと思います。ただAF-Cで止まっているものに合焦させると、合焦後も常にピントが動いているので、タイミングによっては被写体の動きが止まったときにピントが外れ易いかもしれません。ズームリングを速く回しながらのAFは、さすがのDA55-300mm PLMでも追ってくれませんでした。これはしょうがないですかね。
操作性
プログラムモードでハイパー操作をよく使うので、スマートファンクションダイヤルで露出補正ができて便利になりました。でもまだ慣れないので、後ダイヤルと間違えることもあります。アドバンストモードでTAvにできるのも便利です。モードダイヤルでPとTAvが離れているので、切り替えが簡単になりました。その他、多少ボタン配置が変わっていますが、基本は慣れ親しんだ配置なので違和感ありません。再生ボタンが少し押しにくい場所にあり、カスタマイズしようかと思ったのですが、少しずつ慣れてきたので、このまま使うと思います。 ユーザーインターフェイスが変わってカメラ内RAW現像がやりやすくなったと思います。拡大してプレビューもできるようになりました。ただ増減感は下方向がプラス、上がマイナスになっています。普通は逆だと思います。スマートファンクションの露出補正の表示も下がプラスです。設定メニューが上から下方向に進むから? 設定メニューはタイトルと区切り線が表示されるので見やすくなりました。後ダイヤルを動かすとページ移動ではなく次の区切り線への移動なので、メニューが探しやすくなりました。 測距点レバーは便利です。ただレバーを端まで動かさないと反応しません。某社キーボード中央にある赤いレバーのイメージで、レバーを少し動かしてゆっくり移動、大きく動かして速く移動だったら便利だと思います。チューニングが大変かもしれませんが。
デザイン
初めて手に持ったときK-3より少し重くて、ペンタプリズム部を除く本体の背が少し高いと思いましたが、すぐ慣れました。デサインはあまり気にしていませんが、ホールド感を含めて違和感を感じるところはなく自然なので、良くできていると思います。背面モニターに鼻は付きにくいですが、付かないわけではありません。鼻が付かなくてもタッチ液晶なので、指で触るとモニターに汚れが付きます。
その他ご意見や、ご購入を検討されている方へのアドバイス
初めてシャッターを切ったとき、シャッターショックの小ささと、レリーズ動作開始から終了までの時間の短さに造りの良さを感じました。ボディー内モーターでのAFもかなり高速化されています。シャッター音はK-3より大きくなりましたが、音質はいいと思います。5ヶ月の子供を撮っているとき、シャッター音に興味を示して自然とカメラ目線になりました。ただ静かな室内で音をあまりたてたくないときもあるので、ファームウエアアップデートで電子シャッターに対応してもらえることを期待します。バッテリーのもちはK-3より少し短くなった気がします。また連続して使うと発熱が大きいと感じます。キビキビ動く分の代償かもしれません。充電はバッテリーを外さずにACアダプターをカメラに繋げばいいので、簡単になりました。持っているUSB PD対応のACアダプターを使って急速充電もできました。動画をDA55-300mm PLMで撮ってみました。ボディー内手振れ補正が効くようになったからなのか、K-3よりきれいに撮れます。このレンズだとAF-Cで撮れますが、AF速度はあまり速くありません。ピントを見失ってピンボケが続くこともあります。真面目にテストしていませんが、手前に近づいて来たものが逆に離れて行くときにピントを見失いやすいような気がします。でも手前・奥方向に速く動くものでなければ使えそうです。絞りリングにAポジションのないレンズを使うときに、Avモード等にしてシャッターを押すと自動で露出が設定されるようになり、毎回グリーンボタンを押さなくてもよくなりました。もちろん従来どおりの操作もできます。また、レンズの絞り値をカメラに手動で入力して、それが画像ファイルに記録されるのは便利です。でも絞りを変えたら入力値を変えるのを忘れそうです。ただし、入力できる絞り値は一段おきの値のみで、半段の値は設定できません。例えばM50mm F1.7を開放で使ったらF1.7は記録できず、その前後の値1.4か2しか設定できません。もう少し細かい値を設定できるようなればいいのですが。