8月のお題は…『木陰』
暑い夏は強い日差しを避けて木陰を歩きたくなるもの。写真撮影に光は大切だけれど、わざわざ暑いところで撮影せず、ちょっと涼みながら被写体を探してみるのもいいだろう。なので、今回のテーマは「木陰」だ。写真を見る人がホッとできるような木陰を写真で見せて欲しい。ポイントとしては、影をうまく利用することだ。シャドー部をどんなふうに再現するかで印象が変わってくるぞ。
小林義明 師範からの8月のお題は『木陰』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
8月の挑戦者その1：椎名徹さん
植物にとって日当たりは成長する上で大事なのでしょうけれど、日当たりの悪い木陰のお陰で日焼けせずとても綺麗な状態の紫陽花に出会えました。
秋田県在住、男性。花や自然、日常的な物を中心に撮ってます。よろしくお願いします。PENTAX K-70とsmc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WRで撮影。
師範の判定結果は･･･
●
●
●
残念ながら･･･
日陰で控えめに咲いているアジサイの姿を見つけたね。画面の中に極端に明るいところと暗いところを入れたことで、木陰の感じがうまく出ているよ。左からは何かが反射しているのかな。アジサイの花が暗くならなくてちょうどいい明るさだ。
光の読み方はとてもいいと思う。
ただ、構図としてはやや日の丸構図になってしまった感じがするね。アジサイの左右の空間が同じくらいなので、左右のどちらかを減らすと変化が出てきてよくなるよ。これはどちらを選んでもそれなりにまとまった構図にできると思う。
あとはちょっとピントが甘いかな。アジサイにしっかりとピントを合わせるようにしよう。このような被写体が暗いところにある場合、AFが誤魔化されてしまうことも多いので、シャッターを押した後にきちんと確認しておこう。
8月の挑戦者その2：yujimさん
夏の日差しを避けて、木陰で休むサギを撮影してます。サギの口も開いており、相当暑い様子でした。
鹿児島県在住、男性。ネイチャー系の写真を主に撮っております、鹿児島在住のシニアです。PENTAX K-70とTAMRON AF18-250mm F3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] MACROで撮影。
師範の判定結果は･･･
●
●
●
残念ながら･･･
今年の猛暑が辛いのは人間だけではないよね。このアオサギも陽射しを避けて木陰に入っているということで、口ばしも開けていて本当に暑そうだ。けっこう敏感なアオサギが逃げなかったのは、暑くてそれどころではなかったのかもしれないね。
惜しいのは、アオサギの姿がやや小さく周りのものが目立つところだね。
奥の草原のボケが弱く草の形が見えているためにアオサギよりも目立ってしまうし、手前の枝や幹はボケているけれど黒く見えるので視点を集めてしまう。
草原は距離的にぼかすのは無理なので、カメラポジションを変えて手前の前ボケで草原をギリギリまで隠すようにすると、もっとアオサギの姿を強調できたのではないだろうか。
この後アオサギがじっとしていてくれたかわからないけれど、同じシーンでもより伝わりやすくできるよう、微妙に構図を調節しながら撮っておくことも必要だよ。
8月の挑戦者その3：髙橋ユタカさん
葉陰を探索していると枝の隙間にカンナ霧の幼虫を見つけました。薄暗い中、隙間から漏れる光に独特の存在感を放っていました。
千葉県在住、男性。子供たちの成長記録から写真撮影をはじめて今やすっかりライフワークとなっていますが、主にカマキリを追いかけています。PENTAX K-3 IIとsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WRで撮影。
師範の判定結果は･･･
●
●
●
もう一歩！
木陰の中にいるカマキリの子供。シンプルな構図でその存在を見せることができているね。背景の明るいところの形が葉っぱのように見えるところもいいと思う。影の部分を完全に黒く落としていることで、木陰の雰囲気が出ているね。
カマキリの顔にしっかりピントが合っていて、うまく撮れていると思うのだけれど、惜しいのは顔のところと後ろ足のシルエットが重なってしまったところだね。
カマキリの体がちょっと左に移動してくれればよりカマキリの全体像が伝わりやすくなった。
カメラポジションをちょっと右に移動してみるとか、もう少し待ってみることでよりよい姿を見せることができなかっただろうか。
ライフワークとして取り組んでいる被写体だけに、より細かいところまでこだわって撮り続けて欲しい。
師範より8月前半の総評
暑い時期なのでちょっとでも涼しい木陰で撮影してもらうとこのテーマにしてみたのだけれど、どうだっただろうか。
このテーマのポイントは木陰らしさをどう表現するか。
木陰で撮影している写真でも、画面全体が影の中だったりすると、あまり木陰の感じが出てこない。
木陰の雰囲気を伝えるには、適度に画面にコントラストがついていることが必要なんだ。とくに夏らしい暑さを表現するには、影は黒く、日向は明るめの感じがいいね。
同時に被写体をきちんとわかりやすく見せることもしないといけないので、光をしっかり読みながら被写体を選ぶことが大切だ。
まだ猛暑が続いているので、体調には気をつけながら引き続き撮影してみて欲しい。
記念品のお届けについて
髙橋ユタカさんには「免許中伝ミニ木札」、椎名徹さん、yujimさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします！
記念品は9月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、8月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
〔クリックで写真が大きくなります〕
-
- moimoi@SFさん
-
- そえじさん
-
- 信 炎樹さん
以降のお題へのご投稿もお待ちしています！
