2月のお題は…『冬景色』

小林義明 師範

冬だからこそ見られる景色というのがあります。私の住む北海道では雪があるのが当たり前ですし、霧氷なども比較的よく見られます。しかし東京では冬に雪が降るのは年に数回でしょうし、逆に良く晴れた晴天が続きます。このように地域ごとに冬の景色は違ってくるので、雪景色に限らず地元の冬を感じられる景色を募集したいと思います。冬らしい寒さや冷たさ、乾いた空気感などの伝わってくる作品をお待ちしています。

 

 

小林義明 師範からの2月のお題は『冬景色』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

>>小林義明 風景・ネイチャー道場『2月前半分の結果』はこちら

2月の挑戦者その4:にたばるさん

「こさめ」
温かい冬だ。でも、思いのほか、小さな雨が体にこたえる。
それは僕だけではなさそう。

にたばる
滋賀県在住、男性。ネイチャーは私にはチャレンジングですが応募しました。PENTAX K-1とsmc PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

冬の景色というと広い風景ばかりをイメージすることが多いかもしれないが、視点を狭くして自分の身近なところで冬(被写体)を探しているのがいいと思う。サザンカの花がピークを過ぎて崩れかかっているところだろうか、季節の移り変わりが感じられる。また、小雨が降っているということで、水滴がついているのも印象的だ。

狙いは悪くないと思うのだが、まだ完成とするにはちょっと早いように思う。気になったことのひとつめは、スポットライト的に光が射し込んでいるが、比較的何もポイントがない花びらに光が当たっているために、水滴や崩れたシベが目立たなくなってしまった。シベはともかく水滴はもう少し目立つようにしたかったところだ。逆に、この花をできるだけコンディションを良く見せたいのだとしたら、黒ずんだシベが目立たないように、カメラポジションを少し左に移動して傷みのないシベをもっと目立つようにしたいところだ。

もうひとつは全体の色調が暖かみを感じる色となっているため、冬というよりも春先のような印象に感じてしまった。ホワイトバランスの調整を行っているとしたら、もう少し冷調の方が冬っぽく見えないだろうか。
サザンカは街路樹としても植えられていることが多いので、街中の撮影であると推測すると、日中ではなく最近多いLED街灯の光などで撮影したら、冷たい感じも表現できたのではないだろうか。
赤という色自体が暖かみを感じさせてしまうところもあるが、誰が見ても冬というイメージを伝えるためにどんな光を選ぶとこのサザンカから冬の空気感を感じられるのか、考えてみよう。

2月の挑戦者その5:SPRING WINGさん

厳寒(恐らく-10℃)の裏磐梯の小野川湖で撮影した写真で、逆光の霧を狙い撮影した写真です。
フレア発生をギリギリの所で避けて撮影できた一瞬の煌きです。

SPRING WING
山形県在住、男性。フィルムの頃から645シリーズを持ってフィールドを駆け巡っています。自然を見事に捉えるPENTAXは私の長年の相棒です。PENTAX 645Dとsmc PENTAX-FA645 150-300mmF5.6ED[IF]で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

厳冬の風物詩ともいえる気嵐が立ち上る景色。コメントによるとマイナス10℃の朝だそうだ。その後ろには霧氷がついた木々も見えている。いい景色にで会えて良かった! ギリギリでフレアを避けた空の明るい部分も光を感じるいいアクセントになっている。

すばらしいシーンに出会えているのだが、このカットではふたつ気になるところがある。まずひとつめはシャッターチャンス。立ち上った気嵐はゆっくりと流れていたことだと思う。このカットを見ると中央あたりに気嵐が切れているところがあるが、ここに見えているのは黒っぽい木立だ。気嵐でせっかくの霧氷がついた木を隠してしまった状態になっている。この切れ目を使って、霧氷がついた木を見せるようにしたかった。この構図だと、中央左側にある木を見せると、手前から奥へと木の明るさも変化して奥行きがより強く感じられるようになっただろう。

もう一点は上の空間が画面の約1/3を占めていてやや多いように感じるので、もう少し下の方を見せてもいいと思うのだが、ワカサギ釣りなどをしている様子が入ってしまうのだろうか。このような広い空間をもたせるには、少し変化をもたせたい。

654Dは画面のアスペクト比が4:3と正方形に近いので、このような横長の風景では上下の空間の使い方が難しい。シーンに合わせてトリミングして、より完成度を高めることも必要だと思う。ノートリミングにこだわるのであれば、シーンに合わせて3:2のアスペクト比をもつK-1 Mark IIやK-70などのボディと使い分けるのもいいと思うぞ。

2月の挑戦者その6:SHINYA☆さん

北海道の能取岬です。自分の好きな場所です。
地元網走に帰った時に必ず行くところで、ちょうど流氷が接岸した日でした。
本当はフィッシュアイで撮るつもりだったのですがこの写真を撮る前に雪の中に落とし…涙

SHINYA☆
宮城県在住、男性。休みを楽しもうとカメラを持ってふらりと出かけています。いろんな所に出かけたいですね(^^) PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

流氷初日の景色ということで、いいタイミングで撮影できてラッキーだったね。岬の向こうに広がる流氷の海は、北海道の冬を象徴している感じでドラマチックな景色だ。適度に海が開いていて、流氷の形が分かるフレーミングもいいね。びっしり入ってくるとただの雪原みたいに見えてしまうから。

だが、ここでは景色の広がりに釣られて広くフレーミングしすぎてしまったように感じる。岬の形を見せることが主題であればこのフレーミングでもいいと思うが、やはりここでは流氷が主役だろう。手前に岬の崖を大きく画面に入れているため、やや流氷の印象が弱くなっている。流氷の左側の崖に光が当たっている部分もけっこう強く見える。15mmという焦点距離も、遠近感が強調されてしまった原因のひとつだ。

このフレーミングで流氷を目立たせるとしたら、岬の光が当たっているところが影になるような時間帯に撮影できたら良かったと思う。そうすれば、流氷の方が明るくなり視点も流氷に向かうようになる。この光線状態では、もう少し流氷が大きくなるよう焦点距離を長くして切り取る方が適切だったように思う。参考にトリミングしたものをつけておく。

コメントにあるフィッシュアイでの撮影も面白いと思うけれど、もっと流氷に近づける場所の方が効果があるだろう。

もう一点はちょっと露出が暗いと感じた。撮影データもマイナス補正をしているので、このカットよりもプラス1の補正をしてちょうどいいくらいだと思う。流氷で白とびが起きないギリギリの明るさで撮影しておきたいところ。背面液晶だけで判断すると白い被写体は暗くなりやすいので、ヒストグラムや白とび警告を表示させて判断するといい。最終的な仕上げで明るさを調整するときも、ヒストグラムを見ながらが行うようにしよう。

今回はあえなく3名とも『門前払い』となってしまいましたが、師範のコメントをご参考にしていただき今後も撮影を楽しんでいただければと思います。

また、記念品として「門前払い ミニ木札」をお贈りします!



 

ぜひ以降のお題にもチャレンジしてみてください!

>>3月のお題はこちら