5月のお題は…『新緑の色』

小林義明 師範

芽吹きが始まり新緑が森を彩る頃には、毎日の変化が激しく目を離せない。淡い緑から日毎に色を濃く替えていく様子、木々の種類ごとに違う微妙な緑の色合いは豊かな森に囲まれた日本ならではの楽しみだ。このような新緑の色を美しく捉えてみよう。
色をうまく再現するには光の当たり方に気をつけることが大切だ。基本は光が当たっているところを狙うようにしよう。反射を抑えるC-PLフィルターも有効だね。

 

小林義明 師範からの5月のお題は新緑の色でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

5月の挑戦者その4:信 炎樹さん

雨粒と葉っぱのコラボが好きです。

信 炎樹
東京都在住、女性。つい数日前に子供の運動会撮影したくてPENTAX K-70をレンタルしたところ惚れこみ購入してしまいました。まだ使い方をいまいち理解していませんが楽しんでいます。PENTAX K-70とsmc PENTAX-DA 18-270mmF3.5-6.3ED SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

新緑色の葉っぱとそこに乗っている水滴の組み合わせ、みずみずしくていいね。身近な景色に気づくことができていて、露出をコントロールしてこの色を選択しているところに主張を感じるよ。

あと大切なのは、自分が気づいたその景色をどうわかりやすく伝えるかということかな。

第一のポイントは一番伝えたい部分を主役としてはっきり見せること。この写真では中央にある葉と水滴が主役になると思うけど、この主役に隣の葉が重なっている。写真では形がはっきり見える物が見る人の視点を引き寄せてしまうので、主役が負けてしまっている。

また、画面の中では明るい部分が視点を引き寄せやすい。これも主役に重なっている葉の方が明るいので、この構図では主役よりも隣の葉の方が目立ってしまうんだね。

それを防ぐためには、まずちょっと右側にカメラポジションを移動して、葉が重なるのを防ぐようにするといい。葉の明るさは反射の具合によるものなので、これもカメラポジションを変えると主役が明るくなる位置もあるだろう。
被写体を見つけたらすぐに撮影するだけではなく、微妙にカメラポジションを変えてより良い構図を考えてみよう。

いい視点を感じるので、よりわかりやすく伝える練習をしよう。

5月の挑戦者その5:pochipapa58さん

新緑の緑を探しに里山を歩きました。
よくある写真かもしれませんが、ファインダーを覗いた時に、思わず声が出る美しさでした。
PENTAXのこうした美しい緑が好きです。

pochipapa58
群馬県在住、男性。定年後の趣味にしようとして、身近なところで四季折々の自然や花などを撮っています。PENTAX KPとsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

新緑のモミジを周りをぼかしてうまく被写体を浮き上がらせている。影を利用して緑にグラデーションをつけているところもいいと思う。ありがちな景色であっても、探してみると形の整った枝を見つけるのは難しいものだよ。

さて、主役の枝の入れ方はいいと思う。あとは背景の処理とピントの合わせ方だ。

まず背景の方を見ていくと、後ろの方で強く反射している葉が目立っているので、これは入れないようにしたかった。カメラポジションを少し右に移動するか、C-PLフィルターで反射を抑えるといいと思う。

続いてピントの方は、開放絞りで撮影しているので被写界深度が浅すぎると思う。枝全体が被写体として考えると、ちょっと暗いところの葉にもピントを合わせておきたい。背景をぼかすことも大切だけれど、主役にきちんとピントを持たせよう。
もしボケを優先するのなら、今ピントの合っている葉を画面内で大きく見せる必要があるね。

より伝わりやすく画面構成することを覚えていこう。

5月の挑戦者その6:あしろさん

春のモミジの1本の木から移り行く色の流れや、重なった影の濃さが素敵だなと感じました。

あしろ
奈良県在住、女性。2児の母兼会社員。普段はK-S2を使用しています。育児家事仕事優先の生活なのでその隙間でいかに「発見!アンテナ」を伸ばすことが出来るかを修行中です。PENTAX K-S2とsmc PENTAX-DA L 18-50mmF4-5.6 DC WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

青空を背景に透過光で葉の色を綺麗に見せていて、新緑らしい気持ちよさが伝わってくる写真だ。葉の先端にかけて黄緑から赤へと新緑のさまざまな色があるのも季節の移り変わりが伝わってくるね。

光の読み方など、ここまでの撮り方はなかなかいいのだけど、ちょっと構図が甘かったかな。
なので、今回は免許中伝だ。

それは葉の密度。
左側半分は葉の密度が高いため重なってしまって、葉の形がわかりにくくなっている。右側の方を見てもらうと、適度に隙間があるので葉の形が伝わるのがわかるだろう。このあたりを中心にして見せるような構図にするとよりイメージがスッキリするね。

色の変わっているきれいな葉の方に目が行ってしまっていると思うけれど、冷静に見ればこの重なりも見えてくるはず。
最後まで写真で伝えることを意識して被写体を見てみよう。

師範より5月後半の総評

新録って身近にあって見つけやすいテーマだと思ったのだけれど、新緑らしい色の期間は短いので、気温が上がることが多かった今年はあっという間に色が変わってしまって、なかなか難しかったようだね。

前回も言ったけれど、新緑らしい感じは明るい緑色。
濃くなってしまった緑でも、露出を明るめにすると新緑っぽく見せることができる。不自然にならないような感じで調整していけば、色が濃くなってからも新緑のように見せることもできるよ。

また、お題は早めに発表しているので、次回のことも考えながらストックしておいてもらうのもいいと思う。

撮影に出かけた時に、今日はこれだけって割り切って撮影するのもいいけれど、いい被写体があればどんどん撮影しておくことも必要だよ。

いろいろなところに視点を向けて、写真の世界を楽しんで欲しい。

記念品のお届けについて

あしろさんには「免許中伝ミニ木札」、信 炎樹さん、pochipapa58さんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は6月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、5月後半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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