はじめまして、U-Yuです。

事前情報無しに、いつの間にかPENTAX officialの立ち上げメンバーに加えられていたカメラ大好き、写真大好きな社員です。本業は生産技術を担当しています。

これからもちょいちょい登場しますので、よろしくお願いします。

67IIを持ち出すときって、どんな時?

デジタルカメラを使っての撮影に飽きた時や、なかなか良い写真が撮れない時。

みなさんもそんな経験ありませんか?

そんな時に私はフィルムカメラのPENTAX 67IIを持って撮影に出かけます。
ジョニーさんの記事で書いてあるデジタルデトックスのような意味合いもありますね。
>>デジタルデトックスに触れている記事はこちら

では、フィルムカメラの中でもなぜ中判の67IIなのかというと…

1. ファインダーが気持ちが良いので、良い写真が撮れそうな気がする

ファインダーを覗いた時の感じがものすごく気持ち良いので撮影が楽しい!

加えて、視野率が最近の一眼は視野率100%のものが多いので、ファインダーの中だけに没入して撮影することが多くなりますが、67IIの場合は視野外まで写り込む(縦横90%)ことを考慮しながら構図を追い込むので、周りの空気感みたいなものを感じながら撮影するようになります。

2. フィルムなので一枚一枚丁寧に撮るようになる

デジタルでは失敗した写真など消せば撮影枚数は増えますが、フィルムは消すこともできず持ち出したフィルムの本数分しか撮影できません。

すごくいい景色や被写体に出会って「たくさん撮りたい!」と思っても、「この後にもっと良い景色や被写体に出会えるかも?」いや、でも「今、この瞬間が最高かも?」というように常に葛藤との闘い。

なので、適当にバシバシ撮れないのです。

デジタルみたいに気兼ねなく何枚も撮れるわけではないことに加え、6×7という大きな中判フォーマット!
35mmフィルムよりも更にコストもかかるため、無駄な撮影はしないためにも一写入魂です。
構図、ピント、絞り、露出、これら4つが自分で納得できたときにシャッターを切る。つまり写真撮影に対して初心に帰ることができるわけですね。

3. カメラがデカいので注目を集める

小型軽量が叫ばれる昨今、そんな時代の流れに逆らうこの巨大なカメラ。PENTAX K-1よりも約1.4倍くらい大きい。撮影してると「おっ!?」っという視線を感じて、何だか分からない優越感に似た気分を味わえます。

4. 現像するまでどんな写真が撮れているか分からないワクワク感

露出はちゃんとあっているのか?ピントは合っているのか?ハラハラドキドキ。

デジタルカメラではRAW現像で自分好みに色々と編集できますが、フィルムでは現像から最後の仕上げのプリントまで他人任せ。

自分の力の及ばないところで写真が出来上がってくるので、もしかしたら素晴らしい写真が出来てくるのでは?
という淡い期待感があります。
もちろん、そんな期待感は打ち砕かれることが多いのですが(笑)

良い点もあれば悪い点も…

1. カメラがデカイので当然重い!
2. レンズもデカイし重い!
3. ピント合わせが非常にシビア!
4. フィルム代、現像代が…お金がかかります!

それでも良いのです。

重くても、多少お金がかかっても…「気分転換のため」そう自分に言い聞かせて撮影に出かけるのであります。

今回67IIと一緒に持ち出したレンズ

1.smc PENTAX67 45mm F4 (35ミリ判換算: 22mm相当)
2.smc PENTAX67 75mm F2.8 AL (35ミリ判換算: 37mm相当)
3.smc PENTAX67 105mm F2.4 (35ミリ判換算: 51mm相当)
4.smc PENTAX-M★67 300mm F4 ED[IF] (35ミリ判換算: 146mm相当)
5.smc PENTAX-M★67 400mm F4 ED[IF] (35ミリ判換算: 195mm相当) ←社内に転がっててしめしめ

こうやって並べてみると、やはりメインの画角は35ミリフルサイズシステムを使用しているときと変わらないですね。

個人的に、ズームレンズは開放F値が暗いし画質が…(ごにょごにょごにょ)なので使用しないポリシーがあるのです。こんなこと言ったら設計者に怒られそう…。

なので、この中で一番のお気に入りのレンズはsmc PENTAX67 75mm F2.8 ALです。67レンズで一番最後に発売されたレンズで、非球面レンズ(AL)を使用していて現代的な設計になっているので、写りはなかなか良いですよ。この付近の焦点距離で選ぶなら間違いなくこの一本ですね。
重さは560gとそれほど重くないのと、35mm判換算で37mmで手持ちスナップにも適しているので、これ一本で出かけるときもあります。

ひさびさのフィルム、装填!!

そんな67IIを持って撮影に出かけてきました。撮影地は千葉県にある小湊鉄道、天気は生憎の曇り…。
最初はフィルムの装填!本当に久しぶりなのでスプールがカメラに上手くセットできません…。

〔フィルム装填の様子/音声が出ますのでボリュームにご注意ください〕

苦戦しながらなんとかフィルムを装填することができました。

セットしたフィルムは、値段が上がる前に買い溜めをしてそのまま使用期限切れに…2年ちょっと過ぎていました。2年…そんなに67IIを触ってなかったんだなぁ(遠い目)

なので、本当に久しぶりの67IIです。

一般的に使用期限が切れたネガフィルムは感度が落ちるといわれています。
その他にもコントラストが落ちたり、カラーバランスが狂ったり、粒子が荒くなったりと良いことはありません。

なので、どんな写真になるか謎に満ちています。ダメダメかもしれないし、もしかしたら良い感じの写真が撮れてるかもしれません。そう考えるとワクワクしませんか?

あえて使用期限切れフィルムを使って撮影するのも楽しみの一つになりますよ。しかも使用期限が近いフィルム等は安価に購入できることが多いです。

67IIでの撮影の心構え

・水平出しと、ぶれ対策にはこだわる

スナップ写真なら水平はあまり気にしませんが、風景だとやっぱり水平はしっかり出したいので面倒ですが三脚を使用します。こんな時ふと感じるのが、Kシリーズの自動水平補正のありがたさですね。
もちろん67IIにはそんな機能は無いので、三脚使ってビシッと合わせます。

あと三脚を使う理由としては、67IIはシャッターショックが大きいので低速シャッターを使用するときは三脚が必須かなと思っています。

また、一般的に手持ちで手振れしないシャッタースピードは 1/焦点距離 と言われていますが、67IIの場合は 1/(焦点距離x4) くらいだと安心できます。これは個人的な感覚なので参考程度にしてください。

今回の撮影はあえて手持ちで全部やるつもりだったのですが、個人的に所有していないsmc PENTAX-M★67 400mmF4ED[IF]が会社に転がっていて借りることが出来たので、そういう意味でも三脚が必須に。

67II+smc PENTAX-M★67 400mmF4ED[IF]、その重さなんと3.7kg。ボディと合わせると5.3kgオーバー!!

この組み合わせを手持ちでブレ無いように撮るのは、私の筋力とスキルでは無理です!

・撮るかどうかを吟味する

何だかイマイチだけど、とりあえず撮っておこう的な考えで撮影しちゃいがちなのがデジタルカメラですが、フィルムカメラだとそんな考えが無くなっちゃうんです。

ピントをしっかり合わせて、構図も決めたのに撮らないってことが結構あって「なんか違うな」「これは本当に撮りたい写真なの?」というような感じで、なかなかシャッターを切れないのです。

私だけでしょうか?

とにかくカメラや記録媒体が変わるだけで、一枚一枚がこんなにも大切に思えてくるんですよね。
本音を言うと、シャッターを切るたびにお金が飛んでいくというイメージが脳裏をかすめて…。(笑)

・フィルム交換のタイミングを調整する

デジタルカメラだと何枚でも気軽に撮影できて、SDカードが一杯になってしまっても次のSDカードをさっと入れればすぐに撮影できますよね。6×7のフィルムカメラだとフィルムの交換はそんなすぐにはできません。少なくとも私の場合は…。

6×7の場合は120フィルム一本で10枚しか撮れないので、例えば次の撮影地に着いた時に残り1枚しか撮れなくて、シャッターチャンスを逃すなんてことがあるかもしれません。

ですので、なるべく次の撮影地に行く前に3枚程度残しておくか、1本撮り切るようにしています。

こうやって先のことを考えながら撮影枚数を調整するというのは、デジタル写真に慣れた人にとっては新鮮な感覚ではないでしょうか?

そして今回の被写体が鉄道ということもあり、スケジュールをしっかりと立てて撮影に挑みました。

スケジュールを立てるというと必ず言われるのが「A型ですか?」と。
はい、A型です。こういうのって、血液型って関係ないと思うのですけどね。

スケージュールを立てるのが好きな人とそうでない人がいると思いますが、私は前者です。
この場所ではこんな写真を撮ろうとか色々イメージして計画するのって楽しと思いませんか?

妄想だけ先行してイメージ通りに撮れない事だってありますが、イメージ通りに撮れた時やそれ以上だったときは嬉しくなりますよね。もちろん、無計画で撮影するのだって楽しいです。

いざ、撮影

〔撮影の様子その1/音声が出ますのでボリュームにご注意ください〕

 

Camera:PENTAX 67II  Lens:smc PENTAX-M★67 300mmF4ED[IF]  Film:Kodak PORTRA 400

なかなか良い感じに撮れてました!露出も問題なくて一安心。期限切れのフィルムだったので露出を適正値から気持ちオーバー目に設定して撮りました。今回の場合は+0.3~+0.5EVくらいですね。

実際はどれくらい劣化して感度が落ちているかなんて現像してみないと分からないので、露出のさじ加減は難しいところです。(もちろん、ちゃんと期限内のフィルムを使えば適正露出で撮影すればOKです)

 

 

Camera:PENTAX 67II  Lens:smc PENTAX-M★67 400mmF4ED[IF]  Film:Kodak PORTRA 400

67IIはマニュアルフォーカスなので、電車とか動くものを撮るときは置きピンになります。

構図を決めて、狙った位置にピントを合わせて…電車がその位置に来たらシャッターを切る!この瞬間が一番緊張します。

こんなシーンであれば、連射してその中のベストカットをチョイスしたいところですが、連写はできないしすぐに撮った写真の確認もできないので、現像して確認できるまでドキドキでしたがタイミングもピントもバッチリで良かったです!

〔撮影の様子その2/音声が出ますのでボリュームにご注意ください〕

 

Camera:PENTAX 67II  Lens:smc PENTAX67 105mmF2.4  Film:Kodak PORTRA 400

当日は生憎の曇天。そのまま撮ると空が白んで味気ない写真になってしまう可能性があります。
デジタルカメラではHDR処理とかRAW現像時に調整が可能ですが、フィルムではそうはいきませんからね。
少しでも空の表情を引き出せたら良いなと思ってハーフNDフィルターを用いてみました。

どうでしょうか?

「使用した場合と使用していない場合でこんなにも違いが…」って見せれるように撮っておけば良かったのですが、撮影に夢中になってしまい頭から抜け落ちていました。次回はそういうのも頭に入れて撮影しなければと反省。

この写真の場合は空に若干の青みとディテールが出ているのが分かると思いますが、ハーフNDを使用しなかったら、ほぼ真っ白だったと思います。本当は夕焼け空で撮影したかった…。

 

 

Camera:PENTAX 67II  Lens:smc PENTAX67 105mmF2.4  Film:Kodak PORTRA 400

ISO感度はデジタルカメラみたいに変更できないので、シャッタースピードと絞りはしっかりと設定しなければなりません。
被写体ブレを考えるとシャッタースピードは速くなるので、絞りは自ずと開放付近になります。そうすると今度はピントの合う範囲が狭くなるのでピント合わせが難しく…と。デジタルでも基本的に考えることは同じですが、余計に慎重になりますね。

デジタルカメラで撮影しているとなかなか気づけないですが、ISO感度をいつでも変更できるって本当に素晴らしいことなんですね。

 

この日撮った枚数はフィルム3本分(30枚)で、デジタルカメラで撮りに行く場合と比較してとても少ないですが、非常に充実できました。

そんな感じで私にとって67IIというカメラはデジタルカメラと違って多機能ではなく不便を感じることが多いですが、写真を撮ることに対して初心に帰った気持ちで向き合わせてくれて、写真を撮る楽しみを改めて感じさせてくれる相棒です。

みなさんも、時々フィルムカメラを持ち出して撮影に出かけてみてはいかがでしょうか?
気分転換になったり、新しい発見があったりするかもしれませんよ!

その他の撮影写真の一覧

〔クリックでそれぞれの写真を閲覧できます〕

 

次回予告!

今回のネガをデュプリケーターを使用してデジタル化し、デジタル現像をしてみようと思います。