>>前回の話:今さら飛び込むフィルム写真 第2回(Yuzu)

フィルムカメラで写真を撮り始め、気楽な連載を続けるつもりでいましたが気が付いたら1年半以上経過してしまいました。

第2回の撮影後、写真オタク先輩から「次はモノクロフィルムでスナップするぜー(ダミ声)」と声をかけてもらっていたので、第3回を書くための撮影を2020年の1月に行っていたのですが記事にできませんでした。

理由はこれ…。

 

嘘だと言ってよ〇ーニィ

 

モノクロのフィルムを一本撮り終えて「よしよし」とフィルムを巻き取ろうとしたら、これです…。ほんとバチあたりなことして自責の念に苛まれました。もちろん試行錯誤して撮った時間も帰ってきませんが、各方面から怒られそうです。

フィルムの取り扱いでやらかしがちな私。昔カメラ屋さんで働き始めたころに、「お客さんいないからフィルムのベロ出しとか、装填して巻き上げとか練習してていいよー」と言われて練習していたら、なぜか裏蓋開けた途端にフィルムがコマ切れでパラパラ落ちてきたことも…。

 

その後、コロナ禍で外出もままならくなり時が過ぎ去ってしまいました。

 

 

そしてもう2021年の10月。ふと自宅で撮りためた撮影データを見返していたら、モノクロフィルムの撮影同日に撮ったK-1 Mark IIでの写真が出てきました。「おや、何を撮ってたんだっけ?」

映り込みでセルフポートレート

自撮り?

 

よく見たら奥にポツンと、自撮り?

 

これまた随分と複雑な自撮り

 

撮影している自分の影を写し込むっていうパターンも

 

自撮りなんて普段しないのになぁと写真を見返していくと、なるほど。この日は社内の撮影仲間と3人でBunkamura ザ・ミュージアムで開催していた「永遠のソール・ライター展」を見に行った後に撮影をしていました。

ソール・ライターの表現手法には本当に多様なものがあり、その中のひとつに映り込みを利用した「セルフポートレート」がありました。、大いに感銘を受けたようでで、早速みんなで試したのを思い出しました。

映り込みを利用することで、実像の近景と映り込みの中の中景・遠景が入り交じり、なんとも不思議な世界になりました。

 

フィルム写真の掲載は叶わなくて申し訳ないのですが、今回は「今さら飛び込むフィルム写真 番外編」として、フィルムで撮りながらついでに撮影していたK-1 Mark IIでのモノクロ写真を紹介していきたいと思います。

モノクロは光と影

以前は機材を試すがてら色んな被写体やシーンを撮っていましたが、最近は子供や、製品写真を撮るばっかりなので基本的にカラーで撮るのが大半です。

ひさしぶりにモノクロで撮っていくと、ただモノクロで撮っただけではいまいちなことに気づきます。

 

ここで思い返すのは、日頃お仕事の中で多くの写真家さんが口にされる「モノクロは光と影だ」という教えです。

 

カラー写真をモノクロ化するのと、モノクロで撮るのではアプローチが違います。

カラー写真で撮影したものをRAW現像したり、ソフトウェアで色相ごとに輝度などを細かく追い込んでいくこともできますが、やはり個人的にはモノクロで仕上げるなら最初からモノクロで撮るのが楽しいです。

たまに聞く「頭の中で視覚情報をモノクロに変換」みたいなそこまでの経験値はありませんが、光の当たり方や影の付き方を見ながら、「こうなるはずだ!」と想像しながら撮っていくのがまた楽しいものなのです。

ひとつ言えるのは、モノクロで撮るときとカラーで撮るときには露出の加減が全然違います。

 

ただの建物をヒロイックに見せてくれたり

 

暗闇から抜け出していくような視点を表現したり

 

たまたま植え込みの草に自然光がラインライトのように当たっていて、これは面白いと思って撮った1枚

 

ただの葉っぱも、明暗の差で印象的に見えたり

構造物と光と影

 

 

 

他にもソール・ライター展をみて影響を受けたのが、画面内での奥行きの出し方。うまく近景と画面内での光と影の構成を絡めて平面のなかに奥行きを表現している作品がいくつもありました。画面構成だけでなく、街を歩く人などの要素も絡めており次元が高すぎて真似はできませんが…。

映り込み(レイヤード)

 

セルフポートレートでも映り込みで表現をしていましたが、スナップの手法にはよくあるガラスや鏡面、水面への反射を生かした表現です。以前にPENTAX道場の中でハービー・山口師範もお題にされていました。

PENTAX道場 ハービー・山口 スナップ道場『12月のお題:レイヤード』

>>前半の添削結果

>>後半の添削結果

 

 

車のフロントガラスに、向いの建物が一見あり得ないような角度で映り込んでいたので撮ってみました。これも反射ならではのおもしろさかななんて。

 

 

撮影はすべてカスタムイメージ「モノトーン」にて。詳細設定でコントラストやシャドーをいじることでコクが生まれます。ただ、設定よりもまずは光を意識するのが大事ですね。

PENTAXのデジタル一眼レフカメラは、PENTAXグリーンと呼ばれることもある緑の活き活きと瑞々しい色再現や、深い青空の表現などに定評がありますが、鮮やかさだけでなく階調表現も大切にしております。階調の再現力はモノクロ写真においてもとても重要です。

特に日頃カラー写真をメインで撮影されている方は、ぜひモノクロでも撮ってみてください。露出の決め方も、目の前の光景の切り取り方も変わり、新鮮な気持ちで愉しめると思います。

 

※本来は物欲まみれの機材おたく社員が、フィルムで写真を愉しみながら浄化されていく記事です。(更新遅れて物欲リバウンド中)

>>今さら飛び込むフィルム写真 第1回

>>今さら飛び込むフィルム写真 第2回

 

〔こちらの記事でご紹介した製品の情報はこちら〕

>>PENTAX K-1 Mark II製品ページ