7月のお題は…『瞬間』
写真の面白さは肉眼では捉えきれない一瞬を映像として残すことができること。今回は、決定的瞬間とまではいわないけれど、写真だからこそ捉えられる一瞬をテーマとしたい。
自然のなかにはこんな瞬間もあるんだと気づかせてくれるような瞬間を捉えてみよう。高速シャッターや連写などを活用して撮影してみるといいよ。
小林義明 師範からの7月のお題は『瞬間』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
7月の挑戦者その1:tokokutoku1002さん
真冬の榛名神社、雪が降り積もった雪に突風が吹いて雪が舞う瞬間を撮影しました。
ちょうど太陽の照らされて、とっても綺麗でした。
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップを楽しんでいます。PENTAX K-7とsmc PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED AL[IF] SDMで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら・・・
木に積もっていた細かい雪が風に吹かれて落ちてきて、光芒のように輝いた瞬間だね。適度に雪がブレて写っていて、動きもあっていいと思う。こういうシーンは何度か撮影しているけれど、本当に一瞬のことでタイミングを読むのが難しいよね。
この写真は瞬間を上手く捉えているけれど、構図的には追い込めていないかな。
ちょうど画面中央に太陽があって、うまく雪も輝いて視線を集めている。でも、その手前に木があって、輝いた雪の中でクッキリと見えてしまったため目立ちすぎるんだ。主役を隠してしまっている感じ。
この木がなければ良かったと思うのだけれど、雪がどういうふうに散ってくるかはそのときにならないと分からないので半分は運任せにもなって来るのだけれど、これで良しとしてはダメだと思う。
あまり時間の余裕はないけれど、カメラポジションをちょっと移動すると、少しは違ったと思うよ。
それに他の木があればまだチャンスはあったかもしれないので、もう少し粘って本当に見せたかった雪が見せる光芒をしっかりと捉えて欲しかった。
とっさのことだったようだけれど、主役の被写体をきちんと見極めて余分なものが画面に入ってこないか、肉眼でも判断してからフレーミングを決めるようにしたい。
いつでもカメラポジションを移動してベストな位置から被写体を狙えるように意識しよう。
7月の挑戦者その2:ハム吉のフフフさん
2匹のツバメが飛んでいるところを撮影しました。
高速でほぼ垂直に飛んでいるツバメの姿を撮影することができました。
ツバメの運動能力に驚きました。
福島県在住、男性。初級者です。動く被写体は、失敗写真を量産しています。今回、胸をお借りするつもりで挑戦します。PENTAX K-70とsmc PENTAX-DA 50-200mmF4-5.6ED WRで撮影。
師範の判定結果は・・・
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もう一歩!
二羽のツバメが空中で向き合っている瞬間、上手く捉えているね。肉眼で見ていたら、飛んでいるツバメがサッとすれ違っているようにしか見えないと思う。このような肉眼では捉えられない瞬間を知ることができるのは写真の醍醐味だよね。
この瞬間を捉えた腕を見込んで、免許中伝だ。
あとはこのような瞬間を狙う前提として、もっとシャッター速度を速く設定しておきたかったな。データを見ると1/500秒となっているのだけれど、少なくとも1/1000秒以上で撮りたいところ。ツバメのように動きが速いものでは、1/2000秒でもいいと思う。
この写真もツバメの顔はほぼ写し止められているけれど、体や羽根のぶれている面積が大きいために全体にぶれてしまったように見えてしまうんだ。色が黒いために目などが分かりにくく、視点が顔に集まりにくいというのもぶれているところが目立つ原因だね。
この白い柵が見えているのはご愛敬だけれど、もしかすると下のツバメがここにとまっていたのだろうか。
撮影する被写体やシーンに合わせて適切な設定をすることで、写真はもっと良くなるよ。カメラまかせにせず、意識してカメラをコントロールするようにしてみよう。
7月の挑戦者その3:shinfujiさん
近所の公園で営巣していたカワセミの雛が無事巣立ちました。
親がえさの魚を持ってきたので貰おうと親のそばへ慌てて行った雛が、止まり木にうまく止まれずに…
K-3 Mark III の12コマ/秒のおかげで、瞬間をとらえることができました。
師範の判定結果は・・・
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お見事!
カワセミの巣立ったばかり子どもが餌をもらおうとして止まり木から落ちそうになった瞬間、見事に捉えたね!
三羽ともしっかり顔にピントが来ていてシャープに写せているし、動いている子どもの羽根はちょっとブレて動感も伝わってくる。
このカワセミは日頃から撮っている被写体のようなのである程度動きは予測できるとはいえ、止まり木から落ちそうになるというまったく予想外の動きをしっかり捉えられたのは見事だ。
親から餌をもらう瞬間ならちょっと粘れば何度かチャンスがあると思うので止まり木をもう少し自然な感じにしたいとか思うところはあるんだけれど、この瞬間はもう二度と同じようには撮れないだろう。
だからこそこの写真には価値があるし、見飽きない面白さがある。
おめでとう、免許皆伝を授けよう!
ますますの精進を怠らないように頑張って欲しい。
師範より7月前半の総評
今回のテーマは「瞬間」ということで、いきものの動きを捉えた写真が多かった。動きがあるからこのテーマを狙いやすいと言うことだと思うのだけれど、そのいきものが何をしているかが伝わりにくい写真が多かったように思う。
ただ動いていると言うことだけではなく、肉眼では気づかないような一瞬の姿を伝えることで感動は生まれてくる。
写真というのはもともと瞬間を捉えるものだから、いろいろな意味で瞬間を捉えていると言えるのだけど、その瞬間をどうして撮影したのか、そこからどんな感動が生まれるのかを意識して撮影するといいんじゃないだろうか。
いつも言っていることだけれど、写真を見せてどう感じてもらえるかが大切だよ。
記念品のお届けについて
shinfujiさん、免許皆伝おめでとうございます!「免許皆伝看板」「免許皆伝ミニ木札」をお贈りします!
ハム吉のフフフさんには「免許中伝ミニ木札」、tokutoku1002さんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!
記念品は8月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、7月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
〔クリックで写真が大きくなります〕
以降のお題へのご投稿もお待ちしています!