11月のお題は…『秋色』
一年のなかでも、もっとも色彩豊かな季節となる秋。鮮やかな色だけでなく、繊細で変化に富んだ色合いもあちこちで見ることができる。紅葉といった分かりやすい被写体に限らず、秋に見られるさまざまな色を探してみよう。
色をきれいに再現するためには露出調整が大切。適当に撮って後処理で調整するとノイズが出たり色飽和などが起きやすいので、はじめからきちんと露出を合わせて撮ることを心がけて欲しい。
小林義明 師範からの11月のお題は『秋色』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
11月の挑戦者その1:ひでさん
今年は裏年で実りがほとんどなかった、長野県根羽村の「黒地の柿の木」
そんな中、寄り添うように実っていた2つの柿の実と落ち行く葉を切り取りました。
愛知県在住、男性。45歳、会社員。風景、鉄道、飛行機などを主に撮っています。PENTAX K-3 Mark IIIとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。
師範の判定結果は・・・
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もう一歩!
思い切ったマイナス補正でローキー調の仕上げ、なかなかカッコイイと思う。画面の中からポツンと残ったカキの赤と枝の白い色が浮き上がってきて、渋い感じだね。
普通の明るさで撮影するとたくさん残っている葉の緑が目立ってしまうからこのような露出を選択したのだと思う。なかなかいい露出センスを持っているね。
惜しいなと思ったのは、構図的に右側の空間がちょっと多いかなと感じたこと。枝振りを見るとこのような構図にしたかったのは分かるのだけれど、それはもう少し明るい露出で撮影したときの構図だね。ローキーの画面として見ると右側の枝は目立たなくなっているので、もう少し主役となるカキを大きくフレーミングした方がわかりやすい画面になったと思う。
後処理せず撮影時にここまで仕上げているところもいいと思うので、この調子で腕を磨いていって欲しいな。
11月の挑戦者その2:あおベーさん
よくあるパターンですが・・・
歩けど歩けどモミジの赤とオレンジ色の光に包まれた紅葉の森を、
そのまま切りとりたいと思いながら撮りました。
赤を再現するのが難しかったです。
栃木県在住、女性。足元にある小さな自然や美しい色をしたものを撮るのが好きです。PENTAX K-3 Mark IIIとsmc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WRで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら・・・
すばらしい紅葉の森だね。この景色を撮ってみたいという気持ち、よく分かるよ。紅葉の色づきもちょうどいい感じで、あちこち気になって大変かもしれないね。
この写真、基本的な狙い方は正しいと思う。道の続くその先に光が当たっている紅葉があって、視点が道の先に導かれていく。うまく画面の奥行きを出しているね。
ここで気になるのは、左右に意外と樹の幹が多くて目立つことと、歩道の手前の部分が広がっていて道の感じが弱くなっていることだ。
モミジをたくさん入れたいという気持ちから横位置なのだと想像するけれど、この位置から撮影するなら縦位置で狙った方が良かったかな。左側のやや白く見える幹はない方がいいね。
また、思い切って道の部分をカットすることでモミジがいっぱいの森を表現できるように思う。ここでも左側の白く見える幹を切るくらいの感じで階段を入れるか入れないかくらいの切り取り方でいいと思う。
どこもきれいに見える景色は、歩いているとその動きにごまかされてしまうことも多いので、一カ所で立ち止まってじっくり構図を探ってみよう。
11月の挑戦者その3:momoseさん
夕方家庭菜園の野菜を採り行ったところ、稲の採り入れの終った田圃の上を
無数のトンボが夕陽に羽を黄金色に輝かせて舞っていました。
急いで家にカメラを取りに行き、ネギの葉の先に停まり羽を休める赤トンボを撮ることが出来ました。
赤トンボの歌のような光景に暫し見とれていました。
長野県在住、男性。四季折々の風景撮影を楽しんでいます。PENTAX K-3 Mark IIIとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。
師範の判定結果は・・・
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もう一歩!
ネギの葉にとまるアカトンボ、身近なところで被写体をみつけ、いい光の中で撮影できているね。翅には夕陽が当たってきらめいているのもきれいだ。構図もまとまっていて、夕方の雰囲気が良く伝わってくる。
さて、今回免許中伝としたのは、いい「光」を捉えているのだけれど、秋らしい「色」についてはもうちょっとじっくり考えてみて欲しかったからだ。
アカトンボ=秋というイメージもあるのだけれど、この写真ではアカトンボの赤をもう少し見せたかったと思う。
具体的には翅で隠れているお腹のあたりの赤も見せることで、より赤のイメージを強くできたのではないかなと思う。手前の翅のうち、前の方が下がっていて、後ろが少し上がっていてお腹が見えているような感じで。
数カット撮影していたら、中にはそんなカットもあったんじゃないだろうか。
厳しいっていわれると思うけれど、道場のお題はそこを考えてもらうためのもの。うまく撮れているので、もう一歩踏み込んでどこまで突き詰めればお題にピッタリな写真となるかを考えてみよう。
師範より11月前半の総評
秋の色っていえばモミジに代表される紅葉というイメージが強いと思うけれど、探してみるとけっこういろいろな色がある。
自然のなかでは刻々と色が変わっていき、それぞれに美しさがあるよね。
今シーズンは夏の暑さで例年通りというわけにはいかない場所が多い感じがしているなかで、みんな頑張っていろいろな秋の色を探してくれたね。
鮮やかな色はそれだけできれいだと惑わされやすいので、その秋の色そのままを見せるだけではなく、写真を見る人がイメージを広げていけるよう、どう撮るのかということにも注意を払ってみよう。光がきれいになる時期なので、光をうまく利用するといいのだけれど、光そのものを撮るのは違うので気をつけて欲しい。
記念品のお届けについて
ひでさん、momoseさんには「免許中伝ミニ木札」、あおべーさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!
記念品は12月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、11月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
〔クリックで写真が大きくなります〕
以降のお題へのご投稿もお待ちしています!