今回は画角のお話です。35mm換算相当の画角で書いているのはDAシリーズの単焦点レンズにそれに相当する単焦点レンズがなく、FAシリーズをDAフォーマットで使ってもそれに相当する単焦点レンズがないからです。そこで、HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR 26mm35mm換算40mm相当の画角) を使ってこの画角について考えました。

 

DA20-40Limitedのズームリングの25の2に合わせると26mmになる

気軽に使いやすいはず

 フィルムの高級コンパクトカメラでこの画角のカメラを使っていました。そのときの印象はまさに気軽で使いやすいというものでした。参考までにフィルム一眼レフでは50mmをよく使っていて、それと比較して気軽で使いやすいという印象でした。

 デジタル一眼レフで打ちひしがれた記憶

 デジタル一眼レフ(フルサイズ)になってから改めて40mmの単焦点レンズ(他社なのでレンズ名などは割愛)を使ったときの最初の印象は「打ちひしがれる」というものでした。ファインダーを覗きながらいい感じに撮れていると思っていても後で確認するとちょっと中途半端になっていました。

 

中途半端に感じた主な理由はカメラの使い方の違いかもしれません。先の高級コンパクトはレンジファインダーで撮影時に少しラフな感じで構図を決められます。一眼レフはしっかり決める感じになりやすくその差が結果に現れたように思います。35mm 50mm と比較した写真を見ても40mmは微妙な中間です。

 大切なのは自分で変化をつける意識



左右とも画角は同じ、自分が少し動くだけでもこれだけの変化を作れる。

 

 

自分の動きで変化をつけるのはどの画角でも基本です。これができると単焦点レンズは楽しくなります。逆にいえば、自分で動いて変化をつけるという意識が弱いと単焦点レンズはちょっと使いづらく感じることがあります。この意識の違いが結果にでやすいのが35mm換算40mm相当の画角です。

 攻略のポイントは空間



左:標準レンズから中望遠レンズ的な印象。右:ちょっと広角レンズ寄りの印象

 

 

撮影場所が違うというのはありますが、レンズの高さはほぼ同じで、少ししゃがんでいます。左右の違いのポイントは人物とその手前の空間です。左は手前の空間が狭く詰まった印象があります。この詰まった印象が標準から中望遠レンズ的な印象になります。右は手前の空間が広く空いているのでちょっと広角レンズ寄りの印象になります。そして、意識する空間もこのちょっと空ける空間です。

空間を空けるときは大胆に

大胆なバランスを作るために真下から見上げた。

 

しゃがみこんで低いほぼ水平のアングルから近づいた。被写体間の距離の差が大きくなると空けたところに広がるボケの印象も強くなる。

 

空けた空間が散漫にならないような注意は必要で、できるだけ手前(画面下)を明るくしないようにする。

 

画面の中で空間を空けるのは勇気がいります。さらに多くの構図の話ではできるだけ空いたところを作らないようなまとめ方が推奨されることが多いはずです。「もう一歩近づいて」というのもその表れです。そんなこれまで皆さんが学んでいたセオリーとは少し逆になるのが今回の考え方です。そのバランスをつかむために必要なのは繰り返しやることです。

 

撮影の条件でも変わる微妙な空間バランスを知識で埋めようとするとしっくりこないことが多くなります。それが最初にお話した打ちひしがれた要因の1つだったように思います。

慣れれば楽になる

手前の柳と高架と鉄柱のバランスを意識した。意識したのは程よい距離感。

 

歩いている人のタイミングを意識した。離れている方が空間を作りやすが、これ以上離れるとポイントとしての力が弱くなる。

 

水たまりに映り込んだ自転車がメインになるように水たまりに近づいてまとめた。

 まとめ

 この画角を使いこなすポイントは肩の力を抜くことです。そのためには知識より慣れが必要です。撮影する被写体も絶景などではない日常に溢れる何気ないものがあっています。その何気ないものが写真にするとちょっと特別になる。そのためには少し時間をかけてそのプリントを眺める。そんなゆとりも必要かもしれません。この画角にもじっくり向き合ってください。

 

 今回のカメラは PENTAX K-3 Mark III。絞り優先オート F4ISO感度オートで使いました。

 

次回は、SATOBIな話 です。

 

〔こちらの記事でご紹介した製品の情報はこちら〕

>>PENTAX K-3 Mark III製品ページ

>>HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR製品ページ