12月のお題は…『光と影』

小林義明 師範

太陽が低くなり、影が魅力的に感じられる季節だ。写真は光の絵といわれるように、光と影を味方につければ魅力的な作品を生み出すことができる。
ここでは光を読むことをテーマとしたいので、後処理なしの一発で撮影した写真を対象としたい。じっくり景色と向き合い、冷静に光を読み、適切な露出で撮影して、最大限の光と影の魅力を表現して欲しい。

 

小林義明 師範からの12月のお題は光と影でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

12月の挑戦者その1:tokutoku1002さん

今年の紅葉は良くない中で、紅葉撮影際に落ち葉にスポット当てて、光と影のテーマに挑戦してみました。
お題にある師範のメッセージの通り、トリミングなし、色調整なしです。

tokutoku1002
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップを楽しんでいます。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

赤いモミジが一面に散っている林床に木漏れ日が射し込んで、光の当たっているところを浮き上がらせている。そこにはポツンとササが生えていて、色のコントラストも良く、うまく視点を引きつけているね。

光や色の組み合わせはいいと思うのだけれど、このシーンに対してはピントの合わせ方が違う。
まずは、画面のアクセントとなっていて形が分かりやすいササにしっかりとピントを合わせることが第1ポイントだ。次に木漏れ日の当たっている紅葉の落ち葉にもピントを合わせたいところ。

撮影データではF5.6と開放絞りに近い絞り値で撮影しているので、どうしても被写界深度は浅くなる。近づけなかったから望遠で撮影しているとしたら、もっと絞り込んで撮影する必要があったと思う。若干ブレも起きているので、三脚を使う必要もありそうだね。

もし近づける場所だったら、近づいてもう少し俯瞰気味に撮影することでモミジの形も見えてきて、光と影だけでなく形の対比も面白い写真ができたと思う。

形を見せることで何が写っているかいっそう分かりやすくできるので、そのあたりも考えてカメラポジションを探すことも大切だよ。

12月の挑戦者その2:Day-Oさん

里山を荒らす厄介者の竹ですが、なぜか大きくしなったところに葉の影が映り、
和風の太鼓橋のような不思議な美しさでした。

Day-O
神奈川県在住、男性。初心者ですが、この道場のお題を念頭に、カメラをぶら下げて散歩をするのが趣味です。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

グニャリと曲がったササ。カーブの中央あたりに強い反射のハイライトがあって、このあたりに葉の影が落ちている。光を利用して視点を集めてそこに影のアクセントを付けるという、うまい画面構成だ。

惜しいと思ったのは、幹がそれほど太くないので、葉の影で葉の形をしっかりと見せられていない感じがすることだ。葉の形が分かりやすいとか、その影が作るパターンがもっとデザイン的になっていると、写真のインパクトも強くなってくる。

もう一点は望遠で撮影しているために被写界深度が浅いことだね。

幹に落ちている影の手前側まではピントが合っているといいなぁ。背景にある玉ボケを意識しているかもしれないけれど、それより主役となる部分をしっかり見せる必要があると思うよ。

ちょっと大きく写真を見せることも考えて、どこまでピントを合わせるのがいいか考えてみよう。

12月の挑戦者その3:ソルト@星さん

厳島に行った時、帰り道鹿の親子が居た所で太陽が沈んでいき撮った物です。
シルエットが美しかったので投稿しました。

 

ソルト@星
広島県在住、男性。星を主に撮っていますが昼間は色々撮影してます。PENTAX K-3 Mark IIIとHD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

日没後の空に浮かぶシカのシルエット。シルエットも光と影が描き出すひとつの世界だよね。シカの他にも松の葉や灯籠などがあって、その場所の雰囲気も伝えることができていると思う。

さて、狙いは間違っていないけれど、ここで惜しかったのはカメラアングルの選び方だね。

シルエット表現では被写体の形をしっかり見せることがもっとも大切で、この写真では足のあたりが地面と重なってしまっているためにシカの形を充分に伝えられていないと思う。シカの子の顔も背景の山と重なってしまったよね。

この場合は、カメラを地面すれすれまで低くしてローアングルから撮影することで、シカのシルエットをきちんと見せることができたはず。K-3 Mark IIIは液晶が固定だからライブビューにしても構図が分かりにくいんだけど、頑張って欲しかった。ノーファインダーで撮ってみるのも面白い構図ができることがあるので、挑戦してみる価値があるよ。

師範より12月前半の総評

今回のテーマ「光と影」では光と影が織りなす情景を探してみて欲しかったのだが、応募された作品を見ると、「光」そのものというイメージの写真が多いように感じた。

たしかに画面には光も影も入っているのだけれど、光のイメージばかりが強調される感じなんだ。

ちょっと難しいかもしれないけれど、光と影が組み合わされることで、はじめて見えて来る景色、いっそう魅力的になる景色、そんなシーンを探してみて欲しい。影を意識して探すといいと思うよ。

記念品のお届けについて

Day-Oさんには「免許中伝ミニ木札」、tokutoku1002さん、ソルト@星さんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は1月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、12月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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