1月のお題は…『モノトーンの景色』

小林義明 師範

色彩に乏しくなる冬なので、今月はあえてモノトーンというテーマにしようと思う。モノトーン=モノクロではなく、淡い単一色で統一した画面ということで考えてみよう。

基本的な考え方は明暗で画面を構成することで、余分な色を入れないように気をつけよう。その点はモノクロで撮影するよりは難しくなると思う。
カスタムイメージを銀残しにするとそれっぽい雰囲気にできるけれど、安易な方向に走らずに、しっかり被写体をみつめてみよう。

小林義明 師範からの1月のお題はモノトーンの景色でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

1月の挑戦者その4:あきやんさん

今回のテーマを意識して、色温度を3500K程度に設定して青鷺を撮影しました。
冬の寒い河原で佇む青鷺です。
警戒心が高いため、大トリミングを実施、現像はLightroomを使用しています。

あきやん
長崎県在住、男性。写真を始めて8年。PENTAX K-rからスタートし、現在は K-3II、K-1 Mark IIを使用しています。日々の出来事を切り取りながら日々勉強の毎日です。PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

河原にポツンとたたずんでいるアオサギ。その姿を淡いブルー系のモノトーンで捉えているね。この色を出すのにはWBを3500ケルビンに合わせているということだけれど、狙いはいいと思う。これ以上色が濃いとモノトーンとはいいがたい感じになってしまうね。雰囲気はあると思うよ。

さて、狙いは良かったけれど、さすがにこのトリミングは厳しいかな(分かっていると思うけどね)。
ふだんから鳥などを狙うのであれば、もう少し長いレンズが欲しいね。

もうひとつは構図的な部分で、アオサギの体を背景の黒いところに抜けるような低いアングルが選べなかっただろうか。河原の石と体が同じようなトーンなので、ちょっと石の方が目立つ感じがするね。

動くと逃げてしまう可能性もあるけれど、より体を目立つようにしてアオサギの存在感を強調したかったところだ。

色の扱いとしてはいいと思うので、あとはその被写体をどう引き立てるかという部分にも気を配ってみて欲しい。

1月の挑戦者その5:tokutoku1002さん

冬の八ヶ岳、雲が切れてさっきまで全く見えなかった頂きが顔を出してくれました。
そこにはモノトーンの景色がひろがっていました。

tokutoku1002
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップを楽しんでいます。PENTAX K-7とsmc PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED AL[IF] SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

霧氷のついた木々と稜線を流れる雲、なかなかいい雰囲気の写真だね。太陽が画面に入ったことで空の色も失われてモノクロのような感じに仕上がっている。モノトーンとして成功していると思う。

このシーンは輝度差が大きいのだが、太陽の形を残すことを優先した露出なので、全体的にややアンダーな仕上がりとなっている。
ただ、構図のなかで重要なポイントとなっている霧氷の部分についてはもう少し明るく仕上げた方が何を撮影したのか伝わりやすいと思う。

稜線がまっすぐではないのでハーフNDは使えないということを考えると、後処理で霧氷のあたりを明るくして仕上げるのがいいではないだろうか。
カメラのカスタムイメージでキーをあげたり、DCU5のトーンカーブや覆い焼きツールで階調を整えたり、画像処理ソフトの部分的に明るくするようなブラシを使うなど、好みで仕上げるといいだろう。

霧氷が白く再現されることで、だいぶ印象が違ってくると思うよ。

ふだんの撮影では後処理は薦めないけれど、このシーンはストレートに撮影しただけでは完成ないシーンだと思うので、より良く見せるためにそのような処理も含めて完成させることも考えてみよう。

トーンカーブで調整したものを付けておくので見てみて欲しい。

〔左)元の作品 / 右)小林義明師範によるレタッチ見本〕

※スライダーのドラッグで表示画像を切り替えられます

1月の挑戦者その6:あおべーさん

カメラを持って出かけたのにどんよりと曇って薄暗くなった午後、
木の枝にぶら下がった実と枝の先に止まったトンボのシルエットがおもしろいと思って撮ってみました。

あおベー
栃木県在住、女性。足元にある小さな自然や美しい色をしたものを撮るのが好きです。PENTAX K-3 Mark IIIとHD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

シンプルな背景にシルエットの被写体を配置して、すっきりとした画面となっているね。枝の先に止まっている小さなトンボ、良くみつけたものだ。画面のアクセントとしてもいいと思う。

曇天の空で白くなってしまうので、ホワイトバランスを曇天に設定してセピアっぽく仕上げているのは正解だと思う。背景の空に雲のトーンが見えていれば色を変えなくてもいいかもしれないけれど、これだとすっきりしすぎてしまうよね。
あとは色自体のトーンを露出で細かく調節してみてもいいと思う。

また、この写真はけっこうトリミングしているようだけれど、できればレンズ交換してバシッと構図を決めて欲しかったところ。SNSならトリミングでも見せられるけど、作品としてはしっかり仕上げる気持ちで臨んで欲しい。

レンズ一本だけのお手軽散歩もいいけれど、いざというときのために軽い交換レンズも持っていこう。街中だと切り取りが多くなると思うので、望遠ズームの方がいいだろうね。

せっかくいいシーンをみつけているのだし、二度と出会えるか分からないのだから、しっかり撮ることを意識して撮影しよう。

師範より1月後半の総評

うーん、今回の挑戦作品も、残念ながらけっこう色が強く出てしまっている印象の写真が多かったぞ。

モノトーン作品は、カラーで撮影していながらモノクロっぽく見える写真と考えてもらえばいいだろうか。

自然の写真は色を捉えることが大きなポイントとなるので、いつもとは違った被写体の見方が必要になると思う。前回にもいったけれど、明暗といった階調や被写体の形を見せるように考えてみよう。

「とっておきPhoto+」のサイトでは「モノトーンの世界」を募集中なので、そちらにも挑戦してみてもらいたい。

記念品のお届けについて

tokutoku1002さんには「免許中伝ミニ木札」、あきやんさん、あおべーさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は2月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、1月後半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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