6月のお題は…『ちいさな自然』
広い景色を撮ろうとすると、どうしても定番の構図に落ち着いてしまうことも多い。人工物が増えて広い風景が撮りにくくなっているため仕方ない部分もあるだろう。しかし、視点を変えることで新しい被写体をみつけることはできる。6月のお題は、視点を変えることを目的とした小さな自然だ。視点を狭くしてじっくり自然を見つめることで見えて来る小さな自然の魅力を発見し、写真を通じて表現してみよう。
小林義明 師範からの6月のお題は『ちいさな自然』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
>>小林 義明 風景・ネイチャー道場『6月前半分の結果』はこちら
6月の挑戦者その5:高橋ユタカさん
このシーンに出会いたいがためひたすら家の周りのカマキリの卵しょうをチェックし続け、
ようやく出会えた孵化、はやる気持ちを抑えながらカメラを準備しました。
師範の判定結果は・・・
●
●
●
もう一歩!
カマキリの孵化シーン。自宅で撮影しているということで、待ちに待った瞬間に出会えたね。光の具合も良く、葉の隙間から漏れてくる光がカマキリの子供たちの中央に射し込んでいて、主役をしっかりと分かりやすく見せることができている。
カマキリの子供がまだ密になったままだけれど、右上に一匹歩き出したものの姿も見えていて、カマキリということも分かるようになっている。
撮影しているときにかなりドキドキしていたみたいだけど、このカットでは画面の右側の方に意識を集中しすぎていた感じもするね。
左上の葉のボケがちょっと重なってしまったところは意外と目立つ感じがするし、左下にもう一匹動き出した子供の姿があるのだけれど、顔が切れてしまった。
これを撮影しているときに、カメラポジションを少し右側に移動すると、全てが解決していたように思う。右上の子供の顔にもピントが合ってきそうだし、葉が重なることもないし、左下の子供の顔も画面に入ったのでは??これらを解決できると、より完成度の高い作品とすることができた。
自宅での撮影ということで、カメラポジションや撮影環境の自由度も高いと思うので、ドキドキしながらも冷静に被写体をみつめることは忘れないで欲しかった。
なので、今回は免許中伝。
更なる高みをめざして頑張って欲しい!!
6月の挑戦者その6:tukiromさん
徒歩圏内の自然。
師範の判定結果は・・・
●
●
●
もう一歩!
苔むした地面の上に落ちたサクラの実。そこにやって来たアリが触角でサクラの実に触れている。アリはどんな味や香りを感じているのだろうか。
数cm四方の世界の中に、とても大きなストーリーを感じる作品となっているね。
とてもいいと思う。免許中伝だ!!
このストーリーに見ている人を導くために大切なことがひとつある。それは、このストーリーに集中できるように画面構成することだ。
この瞬間はとても短いものだったと思うし、予測もしていなかった可能性もある。でも、より完成度を高めるためにこの画面の中で余分なものは見せたくなかったと思う。
サクラの実の右側にある枯れた花などはどうしても目立ってしまうので、見せたくないと思う。この場でこのようなアリの動きを予測できていたとしたら、この枯れた花はどけておくということもできたはず。
自然の写真だからまったく手を入れないという考え方もあると思うけれど、よりイメージを強く見せるために、自然を傷めないのであればちょっと手を加えることもあっていいと思う。
それをしないのであれば、フレーミングで工夫をしたいところで、アリが画面の中央に来るくらいにフレーミングすると、枯れた花はかなり画面内で小さくなって、だいぶ印象が変わってくる。
実際は、サクラの実と枯れた花を対比させて見せようとしていたところにアリがやって来た、という感じではないかと推測するのだけれど、そういうときにこそ臨機応変に対応できるよう練習しておこう。シャッター速度には十分余裕があるので、アリの体にもピントが行くようにもう少し絞り込んだり、若干(数mm)後ろにピントを合わせられるといいね。
この視点を持ちながら、精進して欲しい!
記念品のお届けについて
高橋ユタカさん、tukiromiさんには「免許中伝ミニ木札」をお贈りします!
記念品は8月上旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、6月のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
〔クリックで写真が大きくなります〕
以降のお題へのご投稿もお待ちしています!