1月のお題は…『小さな冬』
2020年の夏は猛暑となり季節感が変わってしまったところも多かった。2021年の自然はどんな景色を見せてくれるだろうか。大きな景色は天候に恵まれないと難しいところもあるので、ちょっと視点を小さくして冬を探してみてもらいたいと思う。沖縄から北海道までそれぞれの冬があるので、地域ごとに特徴的な冬の姿をクローズアップしてみよう。ちょっと一般的ではないと思われる被写体のときは解説も加えておいて欲しい。幅広い日本、意外な冬が見られることを期待している。
小林義明 師範からの1月のお題は『小さな冬』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
1月の挑戦者その1:tokutoku1002さん
上高地に冬が近づいた朝、霜が降りた枝に枯れ葉が一枚残って綺麗でした。
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップ写真を楽しんでいます。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら・・・
霜がビッシリとついた木の枝にまだ残っている黄葉。この葉にも霜がついていて、冬を感じさせる景色になっているね。いい被写体をみつけていると思うよ。
ただ、困ったことに画面のどこにもピントが合っていない。意外とこういった霜のような被写体はカメラがピントを合わせるのが苦手な被写体ということもあって、もっと慎重にピントを合わせて欲しかった。また撮影後の確認も必要だよ。
もう一点は手前にボケている枝が邪魔な感じがする。ファインダーで覗いているとあまり目立たないように感じるかもしれないけれど、けっこう目立って視点を集めてしまうので、これは入れたくなかった。
玉ボケがきれいに見えたかもしれないけど、被写体以上に目立つものを入れる必要はないので、ここは我慢のしどころ。枝って、ボケても線状に画面に残るので、けっこう目立つんだよね。
画面の後ろの方にはまだ葉が残っているところもあるみたいだから、このように邪魔なものが画面に入らないところを探すことも必要だよ。
自然の被写体は撮れそうで撮れないシーンが多いもの。このシーンだって、次に霜がついたときには葉が落ちてしまっているかもしれない。そう考えると、いい被写体と出会ったときには確実に撮影しておくことが大切なんだ。
クイックビュー画像だけで撮れたと判断しないで、拡大して厳しくチェックする癖をつけておこう。そうすれば、その場で撮り直しができるシーンは確実に残すことができるよ。
1月の挑戦者その2:あきゃさん
紅葉の名所として有名な場所に、雪の翌日に行ってみたらいつもと違う風景が広がっていました。
D FA★50mmF1.4は自分が思うよりも近接することができるのが面白くて撮りました。
宮城県在住、男性。主に山や花などの風景写真を中心に撮っています。PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら・・・
雪が積もったツバキかサザンカの葉だね。その雪が融けて、葉の先端では滴になった水がまた凍っている。とても寒そうな景色だ。花ではなく葉に目を向けているのもいいと思う。いい目をしているね。
さて、写真として見てみると、この凍った水滴をもう少し大きく見せたいなぁ。D FA★50mmF1.4で撮影しているということなので、これで最短撮影距離いっぱいに近づいたあたりなのだろう。でも、せっかくK-1 Mark IIを使っているのだから、ここではクロップしておけばもう一回り大きくメインの被写体を見せられた。画素数的には少なくなってしまうけれど、それでも充分大きく伸ばせる画素数はあるので、必要に応じてクロップも活用してみて欲しい。
あとは、ピントを合わせる水滴の選び方だけれど、今ピントを合わせている水滴は水滴の中が黒くなっていて形も分かりやすくていいのだけれど、その手前にある水滴にピントを合わせた方が見やすい画面になると思う。手前の水滴の方が大きくて目立つからだ。水滴の中が黒くなるようにするにはカメラポジションをちょっと動かせばいいだろう。
被写界深度の浅いときは、どこにピントを合わせるかによっても写真の印象が大きく変わってくるので、このようなときはピント位置を変えて撮影しておくのもいい方法だよ。
1月の挑戦者その3:ざっきーさん
池に張った氷を楽しむかのように、歩き回るハクセキレイに冬の訪れを感じ、カメラを向けました。
氷の大地を冒険しているような動きを出せるよう意識しました。
埼玉県在住、男性。星景、風景を綺麗に撮りたくカメラをはじめました。のんびりと気の向くままにカメラライフを楽しむ初心者です。よろしくお願いします。PENTAX K-70とHD PENTAX -DA 55-300mmF4.5-5.8ED WRで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら・・・
氷の上を歩くハクセキレイ、これも冬の景色だよね。氷の上を器用に飛び回っていて、よく転ばないものだなぁって感心しながら見ていることがあるよ。このシーンも片足が上がっていてちょこまかと歩いている感じが出ているね。
さて、今回の写真、マニュアルフォーカスで撮影しているんだね。もしかすると、うまくAFではピントが合わなかっただろうか。それとも置きピンをしようとしていたのかな。でも残念ながら肝心のセキレイはちょっとピンぼけだ。少し後ろの氷にピントが合っているようだ。
意外と小鳥の動きは速いので、AFが使えないということでなければ、AF.Cで動きを追った方がいいと思う。測距点もオートではなく自分で位置を選択したほうが、思い通りのところにピントを合わせやすくなるよ。ただ、測距点が画面の端の方まではないので、この位置に被写体を入れたいときはギリギリになってしまうかもしれない。
構図的には小さいことを表現するために、もう少しセキレイを小さく入れてもいいかな。手前にはセキレイの姿が氷に写り込んでいるところがあるようなので、ここは見せておきたいところ。セキレイの大きさはこのままで縦位置にすると空間の奥行きが出てきてよかったかもしれない。
いきものの撮影では、一瞬のあいだにいろいろなことを判断しないといけない難しさがあるのだけれど、いい練習になるのでまた挑戦してみて欲しい。
師範より1月前半の総評
せっかくの年末年始、さらに年明けには緊急事態宣言がでてしまったせいかちょっと応募が少なかったのが残念だが、頑張って冬を探してくれた方々、ありがとう。
さて、今回の作品で思ったのは、ちょっとピントの甘い作品が多いということ。被写体を小さく入れることでAFが効きにくいのかというと、そんなことはないと思うので、撮影したあとにきちんとピントやブレなどを確認してから挑戦して欲しい。もしダメならその場できちんと撮り直すことが作品のクオリティを上げるためには必要だよ。
みなさんそれぞれに自分なりの被写体をみつけることができていると思うので、それを活かすために基礎テクニックを磨くことも忘れないようにしよう。
記念品のお届けについて
tokutoku1002さん、あきゃさん、ざっきーさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!
記念品は2月上旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、1月のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
〔クリックで写真が大きくなります〕
以降のお題へのご投稿もお待ちしています!