ども、”こっしぃ”です。

先日、大変な難産の末ようやくPENTAX K-3 Mark III (以下単にK-3 Mark IIIといいます)が発売の運びとなりましたが、それにあわせてDigital Camera Utility 5 (以下DCU5といいます)もVer.5.9にバージョンアップしております。今回は、DCU5 Ver.5.9の主な新機能について紹介致します。
>>第1回から読む
>>前回から読む

第7回 Digital Camera Utility 5 Ver.5.9の新機能

CD-ROMの廃止(K-3 Mark III 付属版)

Ver.5.9の新機能を具体的に紹介する前に、K-3 Mark III付属版ではインストール手順に変更があります。弊社のDSLRでは初めてCD-ROMを同梱せず、カメラ本体内部のメモリ上にCD-ROMのイメージを保持しています。K-3 Mark IIIのメニューの「セットアップ」-「[4] 通信設定」-「USB設定」を「CD-ROM」にして電源を入れ直すと、パソコンに接続した際に、CD-ROM S-SW177として認識されるようになります(ちなみに177とはK-3 Mark IIIに付与されたアクセサリー番号で、先日発売になったバッテリー充電器とそのACアダプターキット、およびステンレス製ホットシューカバーに付与されています)。図1および図2は、USB設定をCD-ROMにしてWindowsパソコンおよびMacにUSB接続した際に認識された様子です。

図1 USB設定をCD-ROMにしてWindowsパソコンに接続したときのExplorer表示例

図2 USB設定をCD-ROMにしてMacに接続したときのFinder表示例

CD-ROMを同梱せずカメラに内蔵化することにした一番の理由は、昨今ノート型のパソコンが増えたことやソフトウェアのダウンロード販売が増えたことなどにより、光学ドライブ非内蔵型のパソコンをお持ちのユーザー様が増えているということにあります。また、カメラ内蔵にすることによって、買ってしばらくしてからパソコンを入れ替えようと思ったり、使わないと思って今までインストールしたこともなかったけど、ふと気が向いて使ってみようと思ったりしたときに、CD-ROMを紛失していてインストール出来ないといったことも無くなります。

MTPデバイス対応(フォルダーツリー表示および簡単画像取り込み)

PENTAXのデジタル一眼レフカメラをUSBでパソコンに接続するモードとしては、初期の機種から搭載しているMSC(Mass Storage Class, 大容量記憶装置)モードと、最近の機種では選択的に使用可能なMTP(Media Transfer Protocol, メディア転送プロトコル)モード(※1)とがあります。
※1 従来機種では、MENU上ではMTPモードを”PTP”と表記しています。これは項目名として”MSC”との区別がつきやすいようにするためです。なおPTP(Picture Transfer Protocol, 画像転送プロトコル)はMTPの元になった規格で、画像転送に関してはほぼ同等です。

MSCモードはパソコンから大容量記憶装置として見えるため容易に接続でき、長く標準的なパソコン接続方式となっていましたが、カメラ内のカードのフォルダー/ファイル構成が直にパソコン側に見えてしまうため、カメラ内でのファイル操作とパソコンからのファイルアクセスが衝突してしまう恐れがあります。そういった理由もあり、MSC接続がメインの従来機種では、USB接続時はカメラとしての動作はしないのが基本でした。

MTPモードでは、パソコンがファイルを直接操作することはなく、パソコンからの要求に応じてカメラ側で一元的に管理するため、ファイルアクセスの衝突が起こる恐れがありません。よって、MSCモードと比べると、USB接続中もカメラとして動作させることも容易です。

K-3 Mark III では、弊社のデジタル一眼レフカメラで初めて、USB接続設定からMSCモードが無くなり、カメラ画像転送用としてはMTPモードのみになりました(それと同時に、USB接続中もカメラとして動作するようになりました)。よって、DCU5 Ver.5.9では、以下の機能について、MTP接続のカメラに対応しました。

A. フォルダーツリーへのカメラ内画像フォルダー表示
 Browserモードのフォルダーツリー上に、MTP接続したカメラ内の画像フォルダーを表示します(図3)。
B. フォルダーツリーでカメラ内画像フォルダーを指定した際の画像リスト表示
 Aで表示された画像フォルダーを選択すると、カレント画像フォルダーファイルリストに、当該フォルダー内の画像ファイルを表示します。
C. カメラ内画像を対象としたファイル操作
 Bで表示された画像リスト上のカメラ内画像ファイルについて、コピーして他のフォルダーへ貼り付けを行ったり、「編集」メニューの「別のフォルダーへコピー」を実行したりすることにより、カメラ内画像をパソコンにコピーすることができます。
D. カメラ内画像を対象とした一時的な画像処理パラメーター編集
 Bで表示された画像リスト上のカメラ内画像ファイルを指定して、Laboratoryモードでパラメーター編集を行うことができます。
E. 簡単画像取り込み機能によるカメラ内画像のコピー
 簡単画像取り込み機能で、MTP接続したカメラも「取り込みカメラ」の対象になるようにしました(図4)。

図3 MTP接続カメラのフォルダーツリー表示

図4 ツールバーの簡単画像取り込みボタン(押下時)とK-3 Mark III 接続時の簡単画像取り込みダイアログ

画像リストの表示やパラメーター編集を行う際には、指定したフォルダーの画像ファイルを既定の一時フォルダーに転送して処理します。一時フォルダーに保存されたファイルは、DCU5を再起動する際に破棄されるため、上記Dのパラメーター編集結果も破棄されますので、画像処理パラメーター編集状態を保存しておく必要がある場合は、はじめにパソコンのローカルフォルダーに画像を転送してから編集してください。

カスタムイメージのモノトーンのユーザー設定フィルター対応

図5 モノトーン:フィルター効果のユーザー設定フィルター

カスタムイメージで画像仕上にモノトーンを選択した場合に設定可能な詳細パラメーターに、「フィルター効果」があります。これはモノクロフィルムで撮影する際に使われていた、コントラスト調整のためのカラーフィルターの作用をシミュレートしたものです。このフィルター効果に、K-3 Mark IIIでは新たに「ユーザー設定」フィルターが搭載されました。これは、RGBのゲインを個別に調整することが出来るフィルターで、ゲインを上げた色が明るく写り、ゲインを下げた色が暗く写ります。DCU5 Ver.5.9では、このユーザー設定フィルターを、K-3 Mark III以外の従来機種で撮影した画像にも適用可能になっています。

設定方法ですが、図5に示すように、カスタムイメージパネルの画像仕上でモノトーンを選択し、フィルター効果ドロップダウンリスト(赤く囲んだ部分)で新規追加の「ユーザー」を選択して、これも新規追加のユーザーフィルター調整ボタン(青枠でハイライトされたボタン)を押すと、図のようにユーザー設定フィルターの調整ダイヤログが開きますので、R、G、Bそれぞれスライダーまたはスピンエディットで数値を変更してください。OKボタンでダイヤログを閉じると、プレビュー画面に反映されます。

図6 モノトーンのユーザー設定フィルター説明用サンプル画像(鮮やか)

図6は、職場前の道路のツツジの植え込みを撮影したものです。カラーでは緑の葉の中に鮮やかなピンクの花が映えていますが、これを単純にモノトーンにすると、図7の左側のように、花と葉の濃度があまり変わらなくなって、花が目立たなくなってしまいます。そこで、フィルター効果を「ユーザー」にして、図5の調整ダイヤログで(R, G, B)を(50, -10, 60)とすると、図7の右側のように、花と葉に濃度差(コントラスト)がついて花が目立つようになります。この画像の場合フィルター効果で「レッド」を選択してもある程度コントラストがつきますが、「ユーザー」では、R, G, Bの調整によっては、より強いコントラストをつけることが可能です。

図7 モノトーンのユーザー設定フィルター適用例(左:フィルター効果なし、右:ユーザー設定フィルター(R:50, G:-10, B:60))

ヒストグラム表示の機能拡張

ヒストグラム表示に関して、Ver.5.9では以下のような機能拡張を行っています(図8)。

図8 ヒストグラム表示の機能拡張(実際にはドロップダウンは同時展開しません)

  • トリミング領域内のみの画像データによるヒストグラム表示機能(①)
    画像にトリミング枠を設定したとき、枠の内側の領域だけのヒストグラムが見たい場合もあると思います。今回から、「トリミング領域な画像データのみの反映」チェックボックスにチェックを入れると、トリミング枠で囲まれた領域内の画像データのみでヒストグラム表示を行います。
  • 表示倍率変更機能(②)
    DCU5のヒストグラム表示は、最頻値が収まるように縦軸の表示倍率が自動調整されていますが、極端に高い最頻値があるような画像(例えば真っ白な背景で比較的小さい被写体を撮った場合など)では、最頻値に引っ張られて、肝心な被写体の部分の階調変化がわかりづらいということが発生していました。そこで、縦軸方向の表示倍率を、デフォルト(自動調整)に対して2倍、4倍、8倍に変更できるようにしました。2倍以上に設定すると、ヒストグラムに縦スクロールバーが表示されます。
  • 輝度/R/G/B同時表示機能(③)
    これまでは、標準の輝度表示およびR、G、Bチャネル表示の計4種類の切り替え表示のみでしたが、同時に見たいというご要望がありましたので、4種類のヒストグラムを同時に表示するモードを追加しました。同時表示の場合は、各チャネルごとの包絡線表示(図8のヒストグラム参照)になります。

スポッティングのコピー元指定方法改善

画像上に映り込んだゴミなどを消すスポッティング機能には、周囲の画素データから計算して自然に消す自動補正モードと、画像上の別の場所の画素データで消すコピーモードとがあります。このうちコピーモードでは、コピー元データの座標指定方法として、補正箇所からの相対的な座標として指定する方法と、画像の左上を原点とする座標で絶対的に指定する方法とがありますが、いずれも数値指定のみになっていたため、とにかく数値を入れてみて、表示された円が所望の場所にあたっているか確認する、という作業が必要になり、あまり使いやすいとはいえませんでした。

図9 DCU5 Ver.5.9のスポッティングダイアログ

今回、コピー元指定方法として、マウスクリックによる方法を導入しました。スポッティングダイアログの操作モード(図9の①)が「コピー」のとき、「コピー元座標指定」ボタン(図9の②の赤枠で囲んだ部分)を押すと、コピー元を指定するモードになります。マウスカーソルの先に「サイズ」(図9の③)で指定したピクセルサイズ(半径)の丸が表示されますので、コピーしたい画像領域(コピー元)に合わせてクリック(図10のA)して下さい。クリックした場所に丸が一つ固定されます。「コピー元座標指定方法」(図9の④)が「絶対位置」の場合はこれで完了(次のマウスクリックから補正開始)ですが、「相対位置」の場合は、次に、修正したい箇所(コピー先)に丸を合わせてクリック(図10のB)して下さい。2回のクリックで指定した座標の差分が相対座標としてセットされます。コピー元座標指定が完了すると修正可能になりますので、修正したい箇所をクリックしてください(図10のC。ただし図ではBと区別するため、表示モード(図9の⑤)を「補正領域確認」としています)。この場合の補正結果は図10のDで赤い矢印で示した箇所のようになります。

図10 コピー元座標指定方法が「相対位置」の場合のコピー元指定操作例

ホワイトバランスの色温度設定を10K単位に変更

Ver.5.8.6以前のDCU5では、スライダーまたはドロップダウンリストで、約20ミレッド(※2)間隔の離散値で指定するようになっていました(カメラのミレッド単位指定と同等です)。さらにBlue-Amber微調整スライダーにより、約5ミレッド単位で調整できるようになっていました。等ミレッド間隔としていたのは、スライダーの設定ステップ数と実際の色味の変化を比例させるためでしたが、設定値として表示されるケルビン値としては中途半端な数値になるため、数値指定したいユーザーの方には使いづらい面もあったかと思います。
※2 ミレッド:逆色温度(mired=microreciprocal degreeの略)。色温度のケルビン値を100万分の1にしたものの逆数(MK^(-1))で、数値の変化と色の変化が比例関係に近くなる。人間の目で有意に色の差がわかるのは約5ミレッドといわれている。

図11 旧ホワイトバランスパネルの色温度設定

図12 新ホワイトバランスパネルの色温度設定

Ver.5.9では、色温度指定を10K単位で行うように変更しました。設定できるステップが飛躍的に増えたため、ケルビン値設定/表示部材はドロップダウンリストからスピンエディットに変更しています(図12の赤枠で囲んだ部分)。同時にK-3 Mark IIIでも10K単位に変更しています。従来のカメラでは、色温度をケルビン単位で指定する際の単位が100Kになっていました。そのため、数値の範囲によっては、間隔が粗すぎる場合もありました。10K単位にしたことで、実用的に十分な細かさで数値設定可能になっています。

ハイライト調整設定無効時の処理変更

従来、ハイライト調整パネルの「適用」チェックボックスはオフがデフォルトになっていましたが、RAW展開時の高輝度部分の処理は、ハイライト調整の処理を既定値で掛けることで行っていました。ハイライト調整における既定のパラメーターは、高輝度部の周囲の階調がなめらかに再現されるように設定されていますが、特に夕日の周囲などでRGBが別々に当てつくことによるバンディングを防ぐため、比較的色味を薄めにするようなパラメーター値になっています。そのため、被写体(オレンジ色の花など)によってはカメラの撮影時と異なる色再現になる場合があります。そのような場合、ハイライト調整をオンにしてパラメーターを調整することで色味を出すことは可能ですが、ハイライト調整を完全にオフにする(色味の出方を調整しない)ことは出来ませんでした。

図13の2枚の写真は、オレンジ色の花を撮影した際のカメラの色再現(左)と、DCU5によるRAW展開時のデフォルト(ハイライト調整が既定値で適用されている状態)の色再現(右)の比較です。DCU5でパラメーター調整せずにそのまま展開した結果、オレンジ色の花の色味が薄くなっていることがわかります。

図13 オレンジ色の花を撮影した場合のカメラの色再現(左)とDCU5によるRAW展開時のデフォルトの色再現(右)

図14 ハイライト調整オン時の初期値(既定値)

Ver.5.9では、ハイライト調整の「適用」チェックボックスをオフにすると、ハイライト調整処理を完全にバイパスすることが出来るようになりました。ただし、旧バージョンとの動作をそろえるため、「適用」チェックボックスのデフォルトは「オン」(パラメーターは既定値)に変更しています。なお、旧バージョンで保存されたパラメーターファイルを読み込んだ際、ハイライト調整が「オフ」の場合は、「オン」で既定値のパラメーターが指定されているものとして読み替えることにしました。図14は、ハイライト調整がオン(「適用」にチェックされている状態)の時の各パラメーターの初期値(すなわちVer.5.8.6以前のバージョンでのハイライト調整オフ時の既定値)です。

ハイライト調整をバイパスできるようになったことで注意していただきたいことは、白を白として表現するための処理がハイライト調整処理に含まれていたため、ハイライト調整をオフにすると、Gが当てつかないため画像の白飛び部分にマゼンタが乗るなど、予想外の色転びが生じたりすることがあるということです。高輝度部の色再現のためにハイライト調整をオフにする場合、トーンカーブやレベル補正などを使って、マゼンタ乗りなどが生じないように調整する必要がありますが、シーンによっては取り切れない場合もありますので、そのような場合は、従来通りハイライト調整をオンにして、上二つのスライダーをそれぞれ「色彩重視」「彩度重視」に振っていただくようお願いします。

図15は、図13の写真をDCU5 Ver.5.9でそれぞれハイライト調整オフで展開した画像(左)、またはオンで色彩重視および彩度重視いっぱいに振った状態(=それぞれのパラメーター値を0にした状態)で展開した画像(右)です。いずれも、オレンジ色の花の色味が出ていることがわかると思います。これらの設定は、写真に含まれる被写体の種類によって使い分けていただければと思います。

図15 図13の写真をハイライト調整オフ(左)またはオンで色彩重視かつ彩度重視(右)で展開した画像

撮影情報表示の項目ごとの表示/非表示設定追加

PENTAX最初のデジタル一眼レフカメラ*istDを発売してから20年近くがたち、新機種発売とともに徐々に機能も増えてきたことから、撮影情報表示パネルで表示する項目も徐々に増えてきました。表示中のパネルの大きさに入らない項目はスクロールして確認することになりますが、パソコンの画面の大きさによっては隠れている項目がかなり多くなり、見たい項目を探すのに手間取ることもあるかと思います。

図16 オプションダイアログの撮影情報表示の表示項目設定タブ

図17 撮影情報表示パネルのコンテキストメニュー

Ver.5.9では、撮影情報表示の各項目ごとに、表示するかどうかをオプションで設定できるようにしました(図16)。デフォルトでは「全て表示」になっていますが、「選択表示」を選んで各項目の表示/非表示をチェックボックスで指定すると、表示項目をチェックの入っているものだけに限ることが出来ます。「全て表示」と「選択表示」を切り替えるだけで、チェックを外した項目全部の表示オン/オフを切り替えることが出来ますので、普段は常に確認したい項目だけ表示しておき、いざというときのみ全表示に切り替える、というような使い方が可能になりました。なお「全て表示」と「選択表示」は、撮影情報表示パネルに新設したコンテキストメニュー(図17)からも切り替え可能です(同メニューからオプションの当該タブを開くことも可能です)。

ユーザーインターフェース改善

DCU5をお使いのユーザー様から、使い勝手に関してのご要望をいただくことがありますが、これまでいただいたご要望の中から、今回は以下の点について対応しました。

  • 画像表示エリアのコンテキストメニューに「画像を新しいタブで表示」を追加

    図18 画像表示エリアのコンテキストメニュー(一部)

    画像表示エリアにはタブにより複数の画像を表示することができますが、新しいタブを開く方法(メニューの「表示」-「画像を新しいタブで表示」、または画像リストのサムネイル上でAlt(option)キーを押しながらクリック)がわかりづらいというご指摘がありましたので、表示中の画像の右クリックメニューから開けるようにしました(図18)。

  • パラメーター調整スライダーの原点表示改善
    各パラメーターのスライダーの目盛りの大きさが全部一緒で、原点がどこかわからないというご指摘がありましたので、原点の指標を強調するように修正しました。
  • ツールチップ追加(カスタムイメージパネル)
    カスタムイメージパネルにおけるパラメーターの種別やボタンの機能は、パネルの配置スペースと多言語対応を考慮し、カメラで使用しているものをアレンジしたアイコン表示としていましたが、アイコンばかりでわかりづらいという声がありましたので、アイコンをポイントした際にツールチップ(ポップヒント)でパラメーター種別名やボタン機能名を表示するようにしました。
  • (Windows版) メニューおよびツールバーに「画像を左右に整列」「画像を上下に整列」追加

    図19 ツールバーの追加ボタン

    画像表示ページのタブを並べて表示する場合、Windows版はタブ見出しをドラッグする操作で行うようになっていましたが、操作方法に関してHelpにも記載が無く、隠し機能のようになっていたこともあり、わかりづらいというご意見をいただいていたので、Mac版と同様、メニューおよびツールバー(図19)に「画像を左右に整列」「画像を上下に整列」を追加しました。併せてデフォルトに戻すための「タブページで表示」も追加しています。

  • (Mac版) 最大化した画像表示ウィンドウを元に戻すショートカットキー
    基本的にメインウィンドウに各パネルがドッキングした形になっているWindows版と異なり、Mac版はツールバー、コントロールパネル、画像表示ウィンドウが別々に表示される形式になっています。画像表示ウィンドウには最大化ボタンがあり、押すとウィンドウが画面いっぱいになりますが、実際には最大化ボタンが押された際に画面上でメニューバーとツールバーが表示されるエリアを除いた部分のみを使って表示するようになっている(厳密には最大化していない)ため、通常のMacのウィンドウのように最大化ボタンをトグル動作させることができません。よって従来バージョンでは、画像を大きく見たいと思って画像表示ウィンドウを最大化すると、メニューの「デフォルトの配置」以外では戻せなくなっていました。そこでVer.5.9では、画像表示ウィンドウを最大化ボタンで拡大表示した際、control+command+Fを押すと、直前の画像表示ウィンドウの大きさに戻せるようにしました。

その他の対応内容

撮影情報表示において、K-3 Mark IIIで追加された機能のうち、画像ファイルに記載されるメタデータに追加のあった以下の情報の表示に対応しました。

  • デジタルフィルター履歴:パラメーター値域拡張(図20)
    デジタルフィルター欄右端のボタン(図20左の赤丸)を押すとデジタルフィルター履歴ダイアログを表示することができますが、当該ダイアログに表示される詳細パラメーターのうち、彩度/色相/コントラスト/シャープネス/シェーディング強度の調整範囲が±4に広がりましたので、パラメーター表示用アイコンを±4対応のものに差し替えました。

    図20 デジタルフィルター履歴ダイアログ

  • 測光モード:ハイライト重点測光
    測光モードに新設された「ハイライト重点測光」の表示に対応しました。
  • 動画時のShake Reduction:ボディ内手ぶれ補正
    従来機種における動画撮影時の手ぶれ補正は電子手ぶれ補正だったため、Shake Reduction欄での表示は”Movie SR”でしたが、K-3 Mark IIIでは、動画撮影時の手ぶれ補正が静止画撮影と同様のボディ内SR機構を使った撮像素子シフト方式となりましたので、動画表示時の撮影情報表示において、ボディ内SRで撮影された場合は静止画同様”ON”と表示するようにしました。

 

最後に、Mac版Ver.5.9では、遅ればせながら最新のmacOS Big Sur (11.x)に対応しました。これまでお待たせしておりましたMacユーザーの方々には大変ご不便をおかけいたしました。Apple M1チップ搭載のMacでも動作確認済みですので、ようやく最新のMacのパワーを生かして画像処理を行っていただくことが可能になりました。

以上、DCU5 Ver.5.9における旧バージョンからの変更点についてご紹介いたしました。これからも、より使いやすい画像処理アプリケーションソフトとなるよう、可能な限り改良を進めて参りたいと考えております。

 

「誰にも聞けないDigital Camera Utility 5」の記事一覧はこちら