4月のお題は…『芽吹きの季節』

小林義明 師範

サクラが咲き終わる頃、自然は一気に葉を広げて緑が増えてくる。この時期はサクラに注目しがちだけれど、もうひとつの植物の活動でもある芽吹きに注目してみたいと思う。
木々の芽吹きもあれば、足もとの小さな植物の芽吹きもあるだろう。暖かくなって元気いっぱいに活動を始める植物の姿を捉えてみて欲しい。よく見てみれば街路樹なども元気に春をむかえているよ。

 

小林義明 師範からの4月のお題は『芽吹きの季節』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

4月の挑戦者その4:ひろみちゃんさん

長野県小川村の「立屋の桜」近くの桜です。
種類が違うのでしょう。新芽がでた桜と、白やピンクの花をつけた桜の木々。
画面が分断される感はあるのですが、黄緑を中央に配置することで新芽を強調することを狙いました。

ひろみちゃん
長野県在住、男性。風景写真を撮るのが楽しくてたまりません。動画などで勉強していますが、力になっているかわからないので、挑戦いたします。
PENTAX K-3とsmc PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED AL[IF] SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

桜と新緑、とても春らしく色鮮やかな写真だね。桜の咲き具合も良くて、いいタイミングで撮影できている。ほぼ緑とピンクの2色で構成しているところもいいと思う。

さて、コメントでは意識的に中央に新緑の緑を配置しているということで、考え方は間違っていない。ただ、この構図だと桜の方が目立つようになっているんだ。

よく見てもらうと分かると思うけれど、画面の中でいちばん明るく見えているソメイヨシノらしきサクラの形が分かりやすい構図になっている。それに後ろの色が濃いサクラも左側は形が見えている。それに比べて、主役であるはずの新緑はやや色が濃いために木としての形があまり浮かんで見えてこない。

そのために意図したとおりに新緑の部分が主役という構図にはなっていない。むしろ、サクラを引き立てている感じなんだ。

新緑を引き立てるためには左側のサクラの面積を減らして、緑の面積を増やす必要があるね。右下のスイセンも意外と目立つので、入れなくてもいいと思う。

また、マゼンタを強調するようなカスタムイメージの調整をしているので、緑が弱くなってよけいにサクラが目立つ色合いになっている。色の調整も逆の方向にしていった方がいいのだと思う。

この写真自体は悪くないのだけれど、狙いとはちょっと違った伝わり方になってしまったので、今回は門前払い。自分の意図を伝えるためにどんなことが大切か、撮影しながら考えてみよう。

4月の挑戦者その5:Day-Oさん

タケノコを「芽」と呼ぶかどうかは寡聞にして知りませんが、
まさにこの季節の象徴のような存在だと思っています。
あとで一本分けていただき、春の味覚を楽しみました。

Day-O
神奈川県在住、男性。初心者ですが、この道場のお題を念頭に、カメラをぶら下げて散歩をするのが趣味です。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 18-50mmF4-5.6 DC WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

地面から顔を出したばかりのタケノコだろうか。緑が鮮やかで春の芽吹きを感じられる被写体となっているね。暗い背景を選んで緑を引き立てているのもいい。基本的な狙い方は間違っていない。

では、この写真で気になる部分はというと、地面の部分の写り方。

逆光で撮影しているために、タケノコと地面の境が分かりにくくなっていて、地面から出てきている感じが弱くなってしまっていると思うんだ。それに白っぽい落ち葉などにもピントが合ってしまうので、視点が引かれてしまう。竹林のなかだからこういうものがあるのは仕方ないし、片付けてしまうのは自然ではないという考え方もあると思うのだけれど、地面から出ているということは伝わるようにしたい。

この場合の対策として、KPは内蔵フラッシュがあるから、弱くフラッシュを当てる方法が考えられる。小さなレフ板でもいいね。タケノコの地面との境のところを照らしてあげることで、より分かりやすい光になると思う。この方法だと、後ろは明るくならないので効果的だ。
また、その場で少し待っていたら太陽が動いて白っぽく見えるところが影になるかもしれない。そんなタイミングを待ってみるのも一つの方法だ。

そうしておいて、できればもう少し低いアングルから撮影する。そうすると白っぽい落ち葉なども目立ちにくくできる。カメラを地面に置くくらいの感じだね。

あとは、タケノコをより瑞々しく見せるためのアドバイス。これを撮影したのが11時頃となっているのだけれど、早朝の時間帯ならタケノコの緑の部分の先端に水滴がついていると思うんだ。このサイズのタケノコだとまだ顔を出していなかった可能性もあるけれど、いくつかタケノコが出る場所のようなので、そんなことも意識して被写体を探してみると、もっと魅力的な姿をみつけることができると思う。

いい被写体、いい光をみつけることができているので、より魅力的に見せるための方法を考えて、いろいろ試してみよう。

4月の挑戦者その6:KAZALさん

荒地全体はまだ茶色のままだったが、よく見るとアキグミが薄緑色の小さな芽をたくさん出していた。

KAZAL
神奈川県在住、男性。週末フォトグラファーにありがちな写真よりもカメラが好き派ですが、少ない機会を利用して行き当たりばったりのネイチャーフォトを楽しんでいます。PENTAX K-1とsmc PENTAX-FA645 Macro 120mmF4で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

たくさんの芽が一気に顔を出していて、まさに芽吹きという感じ。春の勢いを感じる被写体をみつけることができているね。一日ごとに景色が変わって楽しい時期だ。

さて、このシーンを写真で表現しようとするとけっこう難しい。小さな芽をたくさん見せようとすると、枝が込み入ってゴチャゴチャした感じになってしまうんだ。

この写真でも芽がたくさん出ているところは後ろの芽や枝と重なってちょっと分かりにくくなっている。
それと画面の中央は重なりがあまりなくてものを見せやすいのだけれど、ここでは芽が少なくて枝の方が見えて来る感じだね。また、画面左側は背景が暗くなっているんだけれど、後でぼけている葉が白く光ってけっこう目立っている。

そのため、写真の印象としては芽が目立ちにくく、ゴチャゴチャした感じに見えてしまうんだ。

この画面では中央右上にある濃い茶色の背景となっているあたりが適度に色のコントラストがあって緑が目立つようになっている。でも、ここは枝が太すぎるので、このような色の部分と中央右下あたりの芽が多いところを重なるような感じにして画面中央にもってくると、だいぶ印象が変わると思う。

画面左側はかなり減らしていいと思うので、もう少しまわりを切り詰めていくといいだろう。

ポイントは、見せたい部分の重なりを防いで、色のコントラストをつけることで目立つようにする、という感じかな。カメラポジションや画角を変えながらイメージ通りの表現が出来るように工夫してみよう。

記念品のお届けについて

ひろみちゃんさん、Day-Oさん、KAZALさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は5月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、4月後半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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