こんにちは、ジョニーです。
従来機種からPENTAXのこだわりとしてオールドレンズとの互換性を考慮して開発しています。
スクリューマウント(M42マウント)の交換レンズを使用するためのアダプター「マウントアダプターK」や、Aレンズなどのマニュアルフォーカスレンズでオートフォーカスを可能にするアダプター「F AFadapter1.7X」が現行製品として販売中であり、最新のカメラでもオールドレンズを楽しんでいただけるように配慮しています。
そういったアクセサリーはオールドレンズを楽しむだけではなく、天体望遠鏡やスポッティングスコープをカメラに接続して超望遠レンズとして撮影するなど、使いこなしの幅を大きく広げてくれます。ここではマニアックな使い方は掘り下げませんが、PENTAX K-3 Mark IIIでオールドレンズを使う際に従来機種よりもさらに便利になった機能についてお知らせしていきます。
はじめに
オールドレンズやレンズの絞りリングを使用する場合、カスタマイズメニュー6「絞りリングの使用」をオンにしてください。オフのままだと正しく撮影を行えません。今回ご紹介する機能は「絞りリングの使用」がオンの場合に有効になります。
焦点距離がより細かく正確に残せるようになった
従来機種ではPENTAXから販売してきたレンズの焦点距離の入力しやすさを重視してカメラで用意している焦点距離(数値)から選択する方式でした。
しかし、オールドレンズの楽しみはPENTAX純正レンズに限らず、古くは1950年代に製造された歴史のあるレンズを使える点にもあると思います。
個人的な話ですがPENTAX KPのシルバーボディを購入した際にCarl Zeiss Jena Tessar 2.8/50のシルバーを購入しました。いざ使おうと思ったところヘリコイドが固く、下手をするとマウントアダプターKから外れてしまうような状況で撮影を楽しむどころではありませんでした。仕方がないのでレンズを分解/清掃してグリスを塗りなおし、今では快適にマニュアルフォーカスでの撮影を楽しんでいます。
KPに50mmのレンズをつけた場合、35mm換算焦点距離で75mmと少し画角が狭く感じる部分があり、35mmあたりのレンズでワクワクするレンズを探しています。MIR-1B 2.8/37もいいなと思っているのですが、37mmですと従来機種の選択方法だと正しい焦点距離は設定できない値になっています。
私よりもオールドレンズ愛の強いユーザーさんが多くいらっしゃると思いますが、そんなユーザーさんからも焦点距離入力を細かくさせてほしい、という要望を頂いておりました。また、望遠鏡を利用した際に正しい焦点距離が入力できない、という話も伺っています。
K-3 Mark IIIでは焦点距離入力を見直し、Qシリーズのように1桁毎に数値を入力する方式を採用し、最小1mm単位で細かい設定ができるように変更しました。カスタマイズメニュー6「MFレンズの焦点距離入力」で設定できます。初期設定の場合、電源オン時に焦点距離入力画面が表示されます。
過去に設定した焦点距離はINFOボタンで履歴を呼び出して、選択することができます。これによって、レンズ交換の度に1桁毎に数値を入力する手間を省けます。
コントロールパネルに「MFレンズの焦点距離入力」を登録したときは後電子ダイヤルで履歴の中から焦点距離を選択できます。履歴にない焦点距離にしたい場合はOKボタンを押すと焦点距離入力画面を表示できますのでオールドレンズ愛好者の方はコントロールパネルに焦点距離入力を登録おくと便利です。
コントロールパネルに「MFレンズの焦点距離入力」を登録すると、オールドレンズをつけていない場合でも装着しているレンズの焦点距離が表示されます。ズームレンズを使用している時に特定の焦点距離で撮影を行いたい場合など、コントロールパネルの焦点距離を参考にすることが出来ます。
電源をオンしたときの焦点距離入力画面の表示が選択できるようになった
上述しましたが、私自身がプライベートでオールドレンズを使っています。私はオールドレンズを使用する際にはステータススクリーンを使用しません。撮影時にはファインダーを覗いたまま構図、露出、ピントを調整して撮影します。そのため、他の設定は頻繁に変更せず、ステータススクリーンも確認する必要がありません。
クイックビューもオフで使うので基本的には画像モニターは点灯させずに撮影を行うのですが、電源オンする度に焦点距離入力画面が表示されます。
頻繁にレンズを交換する場合には設定し忘れがなくなるメリットがあるのですが、私のように1本のオールドレンズを楽しんでいる場合だと、電源オンする度に画面が表示される必要はありません。
K-3 Mark IIIではカスタムファンクション6に「起動時の焦点距離入力」を追加しました。
初期設定ではオンになっていますので、電源オン時に入力画面を表示したくない場合はオフにすると表示されなくなります。
これでテンポの良い撮影に没頭できます。(撮ることに集中しすぎて一日中露出がオーバー気味だったりするので没頭しすぎもほどほどに…)
Exif情報に絞り値が残せるようになった
最新のレンズを使っている場合は何も考えなくてもExif情報に絞り値の設定値が記録されますが、オールドレンズを使用しているとレンズ情報をカメラに伝達する手段がないため、自動では絞り値を記録できません。
撮影時には覚えていても、あとから見返した際に絞りがいくつだったかわからなくなることがあり、それが2~3日や1週間ならまだしも、しばらく経ってから写真展に応募しようと思った時、さてどんな設定で撮影したシーンだったかな、とわからなくなるような場合もあります。
写真展によっては撮影時の情報としてシャッター速度や絞り値が必須の場合もありますね。
K-3 Mark IIIでは撮影の露出には反映されませんが、Exif情報への記録用に絞り値を設定できるようになりました。カスタムファンクション6「絞り情報記録」をオンにすると絞り値を表示する部分の”F”が点滅して設定が可能になります。記録したい絞りを設定して撮影を行ってください。
記録用に設定した絞り値が誤っていると、実際のレンズの絞り値と異なる結果が残りますので注意して撮影してください。
レンズの絞りリングで絞り値を設定して撮影できるようになった
従来の機種ではレンズの絞りリングをAポジションから変更した場合、露出モードがM/B/Xモード以外は絞りリングの位置にかかわらずレンズの開放状態で撮影されました。
K-3 Mark IIIでは露出モードがM/B/Xモード以外の時にレンズの絞りリングをAポジションから変更した場合はシャッターボタンを押した後、絞りリングで設定した絞り値に絞り込んでから測光を行って露出を決定し、自動露出でそのまま撮影が可能になります。シャッターボタンを押してから測光を行うため多少のタイムラグが発生しますが、撮影の自由度が向上します。
測光後に撮影を行うため、従来機種では使用できなかったTAvモードが選択可能になっています。
カメラの補助に頼らずにマニュアルフォーカスを楽しみたい方へ
光学ファインダーを使用して撮影するとき、マニュアルフォーカスで一発でピントを合わせるのはかなりのスキルが必要です。そのためファインダー内に表示される六角形の合焦マークや合焦時になる電子音、合焦時にファインダー内に照射するファインダー内照明、静止画メニュー1「ファインダー撮影時AF」-「キャッチインフォーカス」を使用するなど、様々な補助機能があります。
オールドレンズなどを使用しているとき、AFセンサーに入射する光が担保できないため測距点は中央1点のみマニュアルフォーカスの補助に利用できます。
私がマニュアルフォーカスを利用するときは主被写体を含めた構図を先に決めて、ピントを追い込んでから露出を決める流れで撮影します(よく露出を設定し忘れます…)。この流れだと被写体が中央にいることはほとんどありません。そのようなファインダーを通してじっくり被写体と向き合ってピントを追い込んでいるときには、カメラが示してくれる中央での合焦補助情報は必要ではありません。
K-3 Mark IIIでは以下の設定でそれぞれの補助機能をオフにすることが可能ですのでシーンに応じて使い分けてみてください。ただし難易度がHARDモードからVERY HARDモードになりますので注意してください。
【合焦音】セットアップメニュー3「電子音設定」-「合焦音」のチェックを外す。すべての電子音をオフにする場合はセットアップメニュー3「電子音の音量」を0にすることもできます。
【合焦マーク】カスタマイズメニュー4「ファインダー内表示」-「視野外情報表示」をオフにすると視野外情報表示がすべて非表示になります。露出の設定など、必要なタイミングでは表示されます。
【合焦時のファインダー内照明】カスタマイズメニュー4「ファインダー内表示」-「ファインダー内照明」をオフにすると合焦時に赤く点灯しません。
今回はオールドレンズの使いこなし方法について説明してきました。楽しみ方は人それぞれですが撮影をより楽しく、より没頭できるように配慮しています。オールドレンズでの撮影も楽しんでいただけたら幸いです。
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