5月のお題は…『小さないのち』

小林義明 師範

植物の活動が活発になるにしたがって、ほかのいのちも一緒に動き始める。今回は、マクロレンズを使うような、小さないのちの営みに目を向けてみて欲しい。
アリとかアブラムシなどの昆虫もいれば、前回の芽吹きに続いて小さな花もたくさん咲いている時期だ。私たちはたくさんのいのちに囲まれて暮らしていることを思い出しながら被写体を探してみよう。

 

小林義明 師範からの5月のお題は『小さないのち』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

5月の挑戦者その1:とろとろさん

我が家の庭にはたくさんの昆虫がいます。このミツバチは庭の花に訪れたハチの一匹。
蜜を集めた後に日の当たる場所で羽休めをしているところを撮りました。
昆虫は可能な限り寄って撮ることにしているので、この写真も35mmマクロの最短撮影距離で撮っています。
いい表情が撮れたと思います。

とろとろ
神奈川県在住、男性。5児の父。子供のころから昆虫が大好きで、いかに虫たちをかっこよく、可愛らしく、美しく表現できるか探求しています。
PENTAX KPとHD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

庭にはたくさんの虫達がやってくるということで、とてもいい環境で撮影できているね。この写真も35mmマクロの最短撮影距離で撮っていて、まさに目の前まで寄っても逃げることなく撮らせてくれたのだから、日頃から虫達の信頼を得られているのだろうね。

いい光でミツバチの表情をはっきりと捉えられている。目のまわりの細かな毛なんかは、こうやってじっくり見てみないと気づかないよね。手前の影はレンズの影が落ちているのだと思うけれど、人工的な雰囲気はないし奥行きが出るのでこれもいいと思う。背景もすっきりとしていて、基本的にはきちんと撮れていると思うよ。

さて、ここまで撮れるのだし、ミツバチの信頼も得ているので、もうちょっと動きを感じられるシーンを狙ってみると、写真を見ている人もよりミツバチを親密に感じられるようになると思うよ。

休憩しているからジッとしていて動きがないのだと思うけれど、触覚や体の掃除をしたり花粉だんごをまとめてみたり、ちょっとした動きを捉えるようにするといきものらしく動きが感じられる。

また、正面から表情に注目して狙ってみるのもまた違う印象でミツバチを見ることができるだろう。顔をちょっと傾けているだけでもかわいく見えてくるものだ。

あと一点は、ちょっとブレが起きているようなので、このブレをうまく抑えるようにしよう。私がマクロ撮影時に安全なシャッター速度だと思っているのは1/250秒以上。これは個々のボディによっても違ってくるので、自分のカメラで確実に撮れるシャッター速度も確認しておくといいよ。

5月の挑戦者その2:Day-Oさん

夕立のあと、私同様、西日に光る雫に惹かれたのか、羽虫が寄ってきました。
結局とまらずに飛んで行ってしまったので、ピントが(ほぼ)合ったのはこの1枚だけですが、
羽が輝いているところが気に入っています。

Day-O
神奈川県在住、男性。初心者ですが、この道場のお題を念頭に、カメラをぶら下げて散歩をするのが趣味です。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 18-50mmF4-5.6 DC WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

すばらしいシーンを撮影できたね!
小さないのちのドラマを感じさせる一枚だと思う。

雨上がりに水滴を撮影しようとしていたのだろうか。そこにやって来たのは小さなハバチ。画面の右上には虫コブができているので、このハバチも葉っぱに卵を産み付けに飛んできたのかもしれないね。

何カットか撮影したなかでかろうじてピントが合っているように見えるのがこのカットだったということなので、しばらくホバリングして卵を生むのに適している葉なのか確認していたのかな。

これでハバチにピントが合っていたら、免許皆伝だったよ。
惜しい!

構図としても水滴があるのでハバチのサイズが伝わりやすいし、背景がとてもシンプルで小さいハバチをうまく引き立てている。虫コブがちょっと見えているのもいいね。

撮影データを見るとドライブモードが1コマ撮影なので、連写していたらピントの合ったカットがあったかもしれない。「下手な鉄砲当たれば・・・」的に何でも連写することは推奨しないけれど、このような千載一遇のチャンスを逃さないようにするときには活用したら良かったと思う。

予期しなかったシーンにも対応できるようユーザーモードをうまく活用して、とっさにカメラの機能を切り替えられるようにしておくといいと思うよ。

5月の挑戦者その3:Masamuraさん

イモムシの食事タイムに遭遇。
その食欲旺盛さが伺える絵に描いたような虫食いだらけになったフキの葉。
よく見ると虫食いの穴からクモの脱皮した抜け殻がぶら下がっていました。

Masamura
広島県在住、男性。普段は尾道の風景と尾道の猫を撮影しています。PENTAX K-3 IIとPENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

小さなイモムシが食い散らかした葉の模様。なかなか面白いところに着目したね。よく見ると、目立たないように擬態しながらイモムシはまだまだ葉を食べている。こいつはすごい大食いだね。人間に換算したら、どれだけ食べているのだろう?

そんなことを考えさせる面白い写真で、狙いはいいと思う。

さて、あとはキャプションにあるイメージをもっと写真で伝えられるようにしてみよう。たとえば、これはフキの葉ということだけれど、それは分かりにくいのでもう少しフキの葉らしい形を見せると良かったのではないかな。
それと、クモの抜け殻はイモムシに似た色とサイズで意外と視点を集めてしまうので、ここでは入れる必要はなかったと思う。ちょっとカメラを傾けるとかフレーミングを変えることで見せないようにできるよね。意図的に入れたのだとしたら、欲張らずにシンプルに見せるようにしていこう。

イモムシの後ろには奥の方に黄色い葉があるのかな。この色がイモムシと同じために主役が目立ちにくいよね。ここが右側の背景のように黒っぽくなればもう少しイモムシが目立ったと思う。

キャッチライトが入っているのでフラッシュを使っているように見えるけれど、思い切って背景を黒く落としてしまう撮り方でも良かったかもしれないよ。

師範より5月前半の総評

今回のテーマでは、たくさんの作品が寄せられて楽しく悩みながら見せてもらったよ。
みんなそれぞれに独自の視点を持っていて、こんな小さないきものを良くみつけたね!っていう写真もあった。

小さいということで虫の写真が多かったのだけれど、虫って犬や猫などと違って表面的な表情がないので、どうやって感情を伝えるかがポイントだと思う。仕草や動作などをうまく捉えて変化をつけることで写真を見ている人がいろいろな想像を膨らませてくれるようになる。

長い時間見ていることが難しい被写体ではあるのだけれど、数枚撮影して終わりではなく、しばらく観察してみるとまた違った表情を捉えることができると思う。

時間が許す限り、じっくりと見てみよう。

 

記念品のお届けについて

Day-Oさんには「免許中伝ミニ木札」、とろとろさん、Masamuraさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は6月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、5月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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