ども、”こっしぃ”です。
Digital Camera Utility 5 (以下DCU5) のVer.5.10.1アップデーターが6月15日に公開になりました。今回は、Ver.5.10.0での対応内容も併せて、DCU5 Ver.5.10の新機能について紹介します。
第10回 金と四季とMonoと (Ver.5.10の新機能)
カスタムイメージの新画像仕上 「Gold」 対応
2023年6月15日、DCU5.10.1アップデーターと同日に、K-1 / K-1 Mark II のファームウェアアップデーターが公開され、新カスタムイメージ「Gold」が追加になりましたが、DCU5でも同時に「Gold」に対応しました。後述のSpecial Editionと異なり、こちらの画像仕上については機種やレンズにおいて制約はなく、DCU5で対応しているすべてのカメラの画像ファイルで使用可能です。図1は2023年6月現在でカメラ未対応のK-3 Mark IIIのRAW画像を、撮影時の設定(鮮やか)とGoldで展開したものです。画質設計の詳細については、担当者による解説記事(小見出しのリンク)を参照してください。
・Gold
図1 K-3 Mark III 画像のGold適用例(左:撮影時(鮮やか/CTE)、右:Gold)
以上のように、「Gold」は「里び(SATOBI)」などと同様に”全機種対応”としましたので、最近の機種の画像だけでなく、*istDシリーズやQシリーズなどの画像を引っ張り出して適用してみると、また違った発見があるかもしれません。
カスタムイメージ Special Edition 対応
2022年6月から2023年3月にかけて、”カスタムイメージSpecial Edition” と称して、特定のレンズに結びつけたカスタムイメージが、夏・秋・冬・春の季節に合わせて発表されました。めでたく四季のカスタムイメージがそろいましたので、今回 DCU5 Ver.5.10.1 でまとめて対応しました。
※カスタムイメージSpecial Editionについてはこちらも参照してください。
カスタムイメージSpecial Editionに対応したファームウェアをインストールしたカメラ(2023/6現在の対象機種:K-1, K-1 Mark II, K-3 Mark III, KF、以下対応カメラ)に、対象レンズを装着して撮影した画像ファイルをLaboratoryモードで開くと、カスタムイメージパネルの画像仕上コンボボックスのドロップダウンリストに、対応する四季の画像仕上が追加表示されます(図2)。撮影時に当該画像仕上が設定されていた場合は、Laboratoryモードのカスタムイメージパネルの初期値として、撮影時の設定が反映されます。また、対応カメラに対象レンズを装着して撮影した場合のみ、後からDCU5で当該画像仕上を指定することができます。同じく上記のカメラに対象レンズを装着して撮影していたとしても、カスタムイメージSpecial Edition未対応のFWで撮影した画像ファイルは非対象となる(すなわち四季の画像仕上は指定できない)ことに注意してください。
以下、DCU5で春紅(HARUBENI)、夏天(KATEN)、九秋(KYUSHU)、冬野(FUYUNO)でRAW展開した例を示します。画質設計の詳細については、担当者による解説記事(小見出しのリンク)を参照してください。
図3 春紅(HARUBENI)の例(K-3 Mark III / HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR (左:鮮やか、右:春紅(HARUBENI)) 図4 夏天(KATEN)の例(K-3 Mark III / HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited (左:鮮やか、右:夏天(KATEN)) 図5 九秋(KYUSHU)の例(K-1 Mark II / HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited (左:鮮やか、右:九秋(KYUSHU)) 図6 冬野(FUYUNO)の例(K-1 Mark II / HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited (左:鮮やか、右:冬野(FUYUNO))以上、ようやくDCU5でもSpecial Editionの画像仕上が扱えるようになりましたので、是非パソコンの大きな画面でパラメーター調整してみてください。
K-3 Mark III Monochrome 対応
2023年4月28日にPENTAX初のモノクロ専用デジタル一眼レフ「K-3 Mark III Monochrome」が発売になりました。DCU5の数多くの対応機種の中でも初めてのモノクロ専用機となりますので、モノクロセンサー対応の画像処理を新規実装しました。K-3 Mark III Monochrome に実装されているモノクロ機用カスタムイメージ3種類(「スタンダード」、「ハード」、「ソフト」)にも対応しています。
K-3 Mark III Monochromeで撮影した画像ファイルをDCU5 Ver.5.10のLaboratoryモードで開くと、カスタムイメージパネルの画像仕上コンボボックスのドロップダウンリストが、通常のカラー機の画像ファイルを開いたときとは異なり、3種類のモノクロ機用画像仕上だけが表示された状態になります(図7)。
以下の図8および図9は、K-3 Mark III MonochromeのRAW画像を撮影時の設定(画像仕上「スタンダード」)で展開したもの(図8)と、画像仕上を「ハード」および「ソフト」に変えて展開したもの(図9)です。
図8 K-3 Mark III Monochromeのスタンダード展開画像(smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR)
図9 図8のRAW画像をDCU5で画像仕上を変えて展開した例(左:ハード、右:ソフト)
K-3 Mark III Monochromeのカメラ内現像と同じですが、カメラのセンサー自体が輝度情報しか持っていないため、カラー機の「モノトーン」で使える「フィルター効果」は使用できないことに注意してください。「フィルター効果」は、RGB画像のR・G・B各色のデータの割合を調整することで、画像のコントラストの出方を変える、モノクロ写真用の光学フィルターの効果を作り出す物ですので、もともとすべての色がモノクロ(単色)で表現されているデータに対しては効果がありません。色のコントラストを変えたいときは、モノクロフィルムでの撮影と同様、撮影時に光学フィルターを使用する必要があります。
以上のことから、カスタムイメージで調整可能なパラメーターは、「キー」・「コントラスト」・「コントラストハイライト調整」・「コントラストシャドー調整」・「シャープネス」・「調色(モノトーン)」の6つとなります。その他のコントロールパネルに特に使用制限は掛けていませんが、「カラー微調整」など、処理対象の画像がRGBデータであることを前提とした機能については、動作に制約があることをご承知おきください。
モノクロセンサー機対応ということでもう一つ。DCU5には、PENTAX独自のRAW画像ファイル形式であるPEFファイルから、Adobe社提唱の共通RAW画像ファイル形式であるDNGファイルへの変換機能が搭載されています。が、Ver.5.10.0ではK-3 Mark III MonochromeのPEFファイルのDNG変換が未対応となってしまっておりましたので、Ver.5.10.1で追加対応しています。
レンズ名データ更新
2023年6月9日に、フィルム時代の標準レンズ「smc PENTAX-FA 50mmF1.4」をベースに、HDコーティング化や外観デザイン変更などのリニューアルを施した、HD PENTAX-FA 50mmF1.4が発売になりました。また同時に、50年以上前に設計されたオールドレンズで撮影したかのような個性的な描写が特徴のsmc PENTAX-FA 50mmF1.4 Classicも発売になっています(詳しくはこちらのプレスリリースを参照してください)。
DCU5では、画像の撮影時にどのレンズが使用されたかわかるように、画像ファイルの付加情報から使用レンズを特定してその名称を表示する機能がありますが、Ver.5.10.1では、上記レンズの名称表示にも対応しています(バージョンの古いDCU5では、ベースレンズとして表示されることがありますので、最新のDCU5を使用してください)。
その他の対応内容
・撮影情報の表示値追加
Ver.5.10.0およびVer.5.10.1では、以下の撮影情報について追加対応を行っています。
・画像仕上にモノクロ機用仕上、Special Editionの各仕上、およびGoldを追加
上記の通り、K-3 Mark III Monochrome用の3種類、Special Editionの4種類にGoldを加えた8種類の画像仕上値の表示に対応しました。
・AFエリアモードに「セレクト(XS)」を追加
K-3 Mark IIIのファームウェアアップデートで追加され、K-1 Mark III Monochromeでは発売当初から実装されている、「セレクト(XS)」の表示に対応しています。
・不具合修正
Ver.5.10.1でいくつかの不具合を修正していますが、一行では伝わりにくそうな件について説明します。
・Browserモードでクロスプロセス画像の「名前を付けて保存」ができない件を修正
カメラのカスタムイメージでクロスプロセスを設定して撮影しJPEG保存した画像や、DCU5のLaboratoryモードでクロスプロセスを指定して展開・保存した画像で、DCU5のBrowserモードで「名前を付けて保存」を実行することができなくなっていたため、これらの画像の縦横の画素数(画像サイズ)を変更したり、トリミングしたりすることができませんでした。これを修正することにより、クロスプロセス画像のサイズを変更したり、トリミングしたりすることができるようになりました。
・複数画像展開時の画像サイズ変更でパラメーターが反映されない件を修正
「複数画像を連続展開」ダイアログで「画像サイズ変更」にチェックを入れて実行すると、画像処理パラメーターが適用されず、画像サイズだけが変更された画像が保存されてしまっていましたが、これを修正することで、複数の画像を同一の画像サイズにそろえながら画像処理して保存できるようになりました。
その他の修正項目につきましては、DCU5のダウンロードページ(Win/Mac)を参照してください。
今回は、Ver.5.10.0およびVer.5.10.1で対応した内容について紹介しました。今後も可能な限り地道な改良を続けていきたいと思います。
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