~広い広い世界を、自分の思い通りに切り取れるなんて最高じゃないか。

第17回「今を切り取る」

明日死ぬかのように生きよ。

このコラムが掲載されているPENTAX officialサイトの「PENTAX officialについて 」に、このガンジーの言葉が紹介されている。

そうだった。切り取って、残したいもの、それは「今」だ。切り取りの美学、17回目にして、ようやく気づいた。

よく言われるように、ひとは今しか生きられない。過去を悔やんでも変えることは出来ないし、未来を憂いても先のことはわからない。今しか、生きられないのだ。

そして、今は、過去になり、未来を作る。まるで1本の線のように。

 

 

 

 

過去が作った現状を嘆くことなく、未来の不安に怯えることなく、今を切り取るのだ。カメラはあなたの相棒だ。必ず、心の支えになってくれる。

私の今日の相棒は、KP+HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited+smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR。

基本40mmをつけているけれど、広角や望遠が必要な時だけ、18-135mmのお世話になる。めんどうだが、それが今の私のスタイルだ。

撮影に出たこの日は、今にも雨が降り出しそうな曇り空だった。空気は、まだ冬の寒さを残していて、上着のファスナーを閉めて歩いた。それでも、桜は満開へ向けての助走を始めていた。桜のついでに見上げた空には、いつも電線が入り込み、どこからどこまで繋がっているのか、そんなどうでもいいようなことを考えたりした。

 



もし、あなたが過去のことで後悔していることがあるのなら、とにかく前を向いて歩いて欲しい。前を向いて歩いて行けば、前からやってくる未来を見ることが出来る。後ろを向いて歩いて行けば、未来を見ることが出来ない。

もし、あなたが未来のことを不安に思っていることがあるなら、今を一生懸命生きて欲しい。未来のことなんて考えている暇なんてなくなる。気がつけば、一生懸命生きた未来がやってきている。

今、前を向いて一生懸命。
写真を撮る時のように。

 

 

 

 

今が大事だと言われても、毎日仕事は忙しいし、複雑な人顔関係にも気を使って、そんなこと考える暇もない。そんなふうに思う人も多いだろう。

でも実は、写真を撮る者は、今を客観的に見る方法を既に知っている。

それは、ファインダーを覗くことだ。

相棒を手に持ち、顔に近づけて、その重さや、いつもの匂いを感じながら、四角く切り取られた世界を見る。

もちろん、覗くファインダーは、わずかのタイムラグもない光学式ファインダー。

 

 

あなたがファインダーで切り取る「今」に、嘘はないはずだ。

今、あなたが見ている「今」は、どんな風景だろう?