カメラを持って出掛けると、なんでもない日常が、光の輪郭をもって浮かび上がる。

さぁ、今日もカメラを持って出掛けよう。

第4回「切取りの美学」

構図で悩んだことありますよね?

構図ってなかなか悩ましい問題ですよね?

「お、なんか写真になりそう」という被写体やタイミングに出会ったら、カメラを取り出し、ファインダーを覗く(モニターを見る)。そしてどのようにその被写体を切取るか考える。

メインの被写体をど真ん中に持ってくる日の丸構図はダメとか、人の頭の後ろに電柱がある串刺し写真はダメとか、ものを配置するには三分割法(※)がいいとか、いろいろと考えてシャッターを切りますよね。

 

※三分割法:縦、横方向にそれぞれ3等分する線とその線が交わる点にメイン被写体(それに準ずるもの)を配置すると構図が安定する法則。(以下の三分割写真参照)

 

構図なんて関係ないし、収まりいい写真なんてナンセンスだという写真家さんもいらっしゃいますし、スナップ写真で感覚を研ぎすましてノーファインダーで街の空気感を切取る方もいます。

じゃあどうしたらいいんだ?

正解がないだけに、悩みます。どんな方法であれ、この広い広い世界を自分が思う方法で切取る。それが写真の醍醐味だと思います。だからこそ、人とは違う自分だけの「切取りの美学」を持つ事だと思います。

 

高校生の頃、暗室では先輩達が、横の写真を縦にしたり、ある一部を拡大したりトリミングして当たり前のようにしていました。(今で言えばPhotoshopで切取る感じ)

それまで、写真といえば撮った時の構図のままの写真が当たり前の私にとっては、新鮮でした。写真って撮って終わりじゃないんだと気付かせてくれました。

それから、どんどん切取る事を覚えていきました。今の自分の「切取りの美学」に繋がったのだと思います。

 

写真においては、撮影時にファインダーを通して世界を切取る事をフレーミング、撮影された写真をさらに切取る事をトリミングと言います。写真上達のためには、自分の撮った作品を見返して、トリミングする事がお勧めです。

写真を穴があく程見る。すると自分でも気付いていなかった物が写っています。例えば意図せずに画面の端に写り込んで来た車だったり…。そういうものを何度も何度もトリミングして一枚を仕上げる。

ひょっとするとトリミングする前の写真がいいかもしないけど、いろんな可能性を考える。そうする事で、「切取る事」を意識することが、自分だけの「切取りの美学」発見に繋がるんだと思います。

 

 

林 和美さんの『カメラは感動増幅機』のその他の記事はこちら

第1回「さて何を撮ろう?」

第2回 「今日の獲物」

第3回「残したいもの」

第5回「旅写真のコツ?」