イルミネーションのポイントは豪華さ。その豪華さを今回は多重露出で表現しました。素直にカラーにすれば?そんなことを言われそうですが、そこはモノクロオタクのこだわりです。

オススメは超広角レンズ+多重露出

オススメするレンズは超広角の HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limitedです。超広角レンズの広がりは豪華さを演出するのに合っていて、このレンズの絞り開放からキレを感じる描写は夜の闇に輝くイルミネーションをさらに輝かせてくれる気がします。絞り開放から使えるので、今回の撮影もプロフェッショナルモードです。

クロス と ミスティー

クロス と ミスティー という名称は、今回使った手法のイメージから命名しました。どちらの手法も多重露出(2枚)をワンショットの比較明合成にしています。

〔クロス〕

単純に同じ場所でカメラの傾きを変えて重ねている。これは単純に数を増やして豪華さを演出する発想。

〔ミスティー〕

(ソフト・シャドーぼかし)

同じ場所からカメラを動かさないようにして、アウトフォーカスとピントがあった状態を重ねて、撮影後にデジタルフィルター:ソフト(シャドーぼかし)を使ってにじみを強調した。にじみで豪華さを加える発想。

(ソフトなし)

(ソフト)

シャドーぼかしが良い点は暗部の浮きが抑えられること。普通のソフトでは暗部が明るくなって(これを浮きと表現する)背景の締まりが弱くなる。

クロス:ポイントは角度のずらし具合

クロスは下の上の2枚のように少しだけ角度をズラした写真を撮影して重ねたのが下の写真です。実はこの角度が微妙であまりズレすぎると違和感が強くなり、ズレが弱いと豪華さが弱くなります。



この微妙な感覚は前々回の傾けてみようと同じです。イルミネーションでも微妙な角度で印象が変わります。

さらに被写体によっても微妙な角度で印象が変わります。試しながら自分の感覚にあう角度を選んでください。

上の写真と角度が違う。角度を大きくすると豪華さよりズレている感じが強くなったので角度を小さくした。

ミスティー:ポイントはにじみ

ミスティーの最大のポイントであるにじみはアウトフォーカスを使うことです。アウトフォーカスとはわざとピントを外すことで、ピントを外すときは近接側に大きく外すと画面全体がピンボケになるのでこの表現に合っています。

(アウトフォーカス)


(上の2枚を重ねた状態)

この撮影では位置をずらさないようにするのもポイントです。三脚を使うのが最も位置をずらさない撮影方法ですが、イルミネーションの中で三脚を使うのは周りの皆さんの迷惑にもなるので避けたいと感じるので手持ち撮影にしています。

手持ちでも位置をできるだけずらさないようにするために、まずはAFでピントを合わせて、シャッターボタンの半押しを維持したまま手動でピントを外して1枚目を撮影します。そのままシャッターボタンを押し直してAFでピントを合わせて1枚目を撮影するという方法を使っています。

ソフト(シャドーぼかし)は撮影後にカメラ内処理でデジタルフィルターを使うとその効果を利用できます。これも雰囲気が優しくなるのでオススメです。

丸の内中通りで見つけた停車中のトラックの側面。停めてある車はいつ発進するかわからないので、素早い撮影が基本。1枚で決めるつもりであらかじめ仕上がりをイメージしながら撮影して、撮影後の確認は少し離れた場所で行いたい。


最後は東京駅の駅舎。なんとなく歴史を感じるイメージ。ミスティーはそんな幻想世界の入り口にもなる。

今回の撮影でも大切なのは素早くさりげなくです。そのために必要なことは繰り返しやってみることです。そして、その場で画像確認をしないのは素早く撮影する基本です。失敗していたらそんな不安が撮影後の確認で払拭されるのは良いことですが、それを繰り返しているといつまでも決められなくなります。

撮影したイルミネーション

丸の内イルミネーション
日程:2020年11月5日(木)~2021年2月14日(日)※予定
点灯時間:17:00~23:00
場所:丸の内仲通り、東京駅周辺、大手町仲通り

HIBIYA Magic Time Illumination
日程:2020年11月17日(火)~2021年2月14日(日)
点灯時間:17:00~23:00
場所:日比谷仲通り/東京ミッドタウン日比谷

次回は、雨の日は撮影にでかけよう です。

 

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