今回も予定を変更して、季節に合わせた桜を紹介します。
オススメはズームレンズ
オススメのレンズはHD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WRです。このレンズのことはズームレンズとして使わないと常々言っておりますが、機構としてはズームが付いています(笑)。そして、この微妙なズームが桜など自然風景を相手にするときは有利に働きます。
撮影場所が限られている条件であと少し追い込みたいときにズームが使え、このレンズの絞り開放の少し優しさを感じる描写は可憐な桜を表現するのにあっています。
モノクロサクラは儚さを意識する
桜の特徴はパッと咲いてパッと散ることです。これはその年の状況によって変わります。基本的に開花から1週間程度で一気に満開になりそのまま散ってしまう。そんな条件が写真を撮るのに適しています。今回使った写真は2017年と2018年の桜です。この年が久しぶりにそんなタイミングに出会えた当たり年でした。
花冷えという言葉もあるように開花や満開直前に少し寒くなってしまうと花の持ちが良くなります。こうなると咲いている花びらが少し縮まった感じになったり、散り方もまばらになるので写真で撮ったときの美しさは減ります。
(ソフト・シャドーぼかし) 焦点距離は40mm・絞り F4 (絞り解放)・露出補正は+1.3。右のソフト・シャドーぼかしを使っている方が全体的に柔らかく儚い感じがでている。 |
そんな桜の花を細かく観察すると可憐な感じがします。そして、一気に散ってしまう儚さを意識しながら撮影してください。この可憐さを再現する上で気になるのがシベの存在です。アップにするとその存在感が強くなります。カラーではそこがピンク色になっているのでさらに存在感が強くなります。
街で見かけることが多いソメイヨシノは良く観察すると花びらのほとんどは白で、花びらの周辺とガクの近くはほんのりピンク色です。モノクロでは白くなり、少しオーバー気味に撮影すると花びらの柔らかさを伝えやすくなります。それでもシャープなデジタル画像ではシベの存在感が気になることがあります。そんなときはデジタルフィルター:ソフト・シャドーぼかしを使います。これは以前夜景のときにも紹介した撮影後に使えるデジタルフィルターです。トップの写真もこれを使って仕上げています。
ソフト・シャドーぼかしは、暗部(暗い部分)がにじむので花びらの精細さをを活かしながら優しさを加えることができます。ソフトの効果で光もやらかい感じになるので儚さにあっています。
(ソフト・シャドーぼかし) 焦点距離36mm・絞りF4・露出補正+0.7 焦点距離が微妙なのはズーミングを使ってバランスを調整しているからです。 |
広がりや変化を意識する
アップや木の形を意識した撮影の次は周りの雰囲気を入れたりタイミングを狙う撮影に挑戦しましょう。タイミングを狙う場合はなかなかうまくいかないこともありますが、花をのんびりと眺めているうちにそんな出会いもあります。
焦点距離20mm・絞りF2.8・露出補正+1.0 広がりを意識したので、しゃがんで撮影している。 |
焦点距離40mm・絞りF4・露出補正+0.7 鳥が飛んでいるタイミングを狙った。花びらが散っているタイミングはさらに難しくなり、そのイメージは200mm以上の望遠レンズがあっている。 |
最後はボリューム感
満開をイメージするボリューム感は花の状態に左右されます。今回の写真は2018年のものです。確かに1年で様々なイメージが撮れるのが理想ですが、そんなに優しくないのが桜です。そして、毎年変わる表情に魅了される方が多いと思います。
ボリューム感を出すときは圧縮効果が高くなる40mmを基本にします。花が同じ条件でも狙う角度が少し違うだけでその表情はガラリと変わるので、自分だけのアングルを探すのも桜撮影の醍醐味です。
このときもデジタルフィルター:ソフト・シャドーぼかしを使っています。これはソフトのにじみ効果でボリューム感をプラスするためです。
焦点距離40mm・絞りF4・露出補正+0.7 太い幹の存在が気になったがどうしても避けることができなかったので、画面の真ん中にしてその存在感を逆に利用した。 |
焦点距離33mm・絞りF4・露出補正+0.7 木に近づいて広がっている感じと周りがヌケて散漫になるギリギリを狙ったのでアングルを決めてからズーミングで整えた。 |
今回は珍しく撮影データが入っています。これは最後の追い込みでズーミングを使うことがあるからです。普段の街であれば自分の動きで追い込むのが基本ですが、自然が相手の場合はその動きが制限されることがあります。そこで無理をすれば怪我やマナー違反が生まれます。
露出補正は+0.7を基本にすると花びらの微妙なグラデーションと儚さを両立しやすいはずです。WBは太陽光で固定して、ISO感度はオートです。今年はこんな近場の撮影すら少し気がひけるような雰囲気がありますが、できるだけひとりで少ない機材で手持ちでサッと撮影するようにしてください。くれぐれも持っているレンズフルセットに三脚という重装備での長時間同じ場所での撮影はやめましょう。
次回は、『雨の日は撮影日和』です。
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