3月のお題は…『観光地の仕草』

ハービー・山口 師範

観光地には日常とは違う行動があります。足湯、名物を売る店、独特の風景…。なぜそこに人が集まるのか。何が人を惹きつけて、観光地になり得ているのか。その原点を撮って下さい。

 

 

ハービー・山口 師範からの3月のお題は『観光地の仕草』でした。
このお題に対して挑戦してくださった方の作品と、師範からの添削コメントを併せてご紹介します。

>>ハービー・山口 スナップ道場『3月前半分の結果』はこちら

 

3月の挑戦者その4:akeさん

伊香保温泉の入口の階段で、湯煙の中をかけてくる子供がいたのでとっさに撮りました。

ake
大阪府在住、女性。写真を撮るのが好きです。PENTAX K-3 IIとSIGMA 18-250mm F3.5-6.3 DC MACROで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

伊香保温泉の湯煙の中を走って来る子供をスナップしたということです。今月の中では一番目立った写真です。

作者が湯煙を通して見た幻想的な光景ですが、その煙に着目したということで、作者の感受性は見事です。その煙を強調するには、この写真が物語っているように、逆光を使うことが一番効果的です。

例えばテレビの番組でお料理を写す時、料理から湯気が立っていると熱くて作りたてで、美味しそうに見えます。そうした撮影の際、お料理から立ち上る湯気を強調するためにアシスタントがLEDなどの光源で逆光の光を湯気の後ろから当てているのです。まさにこの写真は、煙と自然の逆光が同時に得られた状況なんですね。

ところが、爽やかな筈のテーマなのですが、雰囲気がどこか重くなってしまっています。特にモノクロですから、どんよりした空気感になってしまいました。画面上部の背景になっている建物や空、黒の部分を省略して、煙と子供だけで作画し、コントラストや露出、シャドーを調節して明るくして軽やかな方向に持って行ってみてください。

3月の挑戦者その5:YTさん

関門橋、九州と本州の境目にて。
非日常の一日の人。
いつもの一日の人。
それぞれの一日。

YT
福岡県在住、男性。どう写すかではなく、何を撮るのか。ドラマはあるか。PENTAX MX-1で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

見事な構図に感心しました。青系の発色の中に、赤い毛布が作る差し色の効果も抜群です。下関と門司をつなぐ関門橋ですね。

私は数年前に訪れたことがあります。やはりこの橋を撮影しましたが。この人力車との組み合わせには気が付きませんでした。この左に後ろ姿で写っている釣り人の存在も脇役として効いています。

すでに触れましたが青と赤の色味が良くコントロールされています。また関門橋を強調するために画面の上の部分を広く取っています。この写真は観光地のスナップなのですが、よく考えられた、狙いが定まった一枚です。上手い写真なのです。

しかし、長いこと見ていると何か物足りなく感じて来るのです。それは何故だろうと、目を凝らしました。人力車の後ろに見え隠れしている二人の若者が邪魔なのか?人力車に乗っている女性が目をつぶっているからなのか?地表に落ちた人力車の影をもっと利用すべきではなかったか?こうしたいくつかの改善すべきポイントが挙げられます。構図や色合いが出来過ぎているので、逆にスナップが持つ臨場感が欠損してしまいました。

3月の挑戦者その6:にたばるさん

「さいはてまで」
普段は人の多い北海道も2020年はすくなかった。
でも、誰かが海の先の流氷をみたかったのだろう。

※しぐさではないかもなのですが、しぐさの痕跡があるので応募させていただきます。

にたばる
滋賀県在住、男性。道場継続うれしいです。 私も継続します。PENTAX K-1とCarl Zeiss Makro Planar T*2/50 ZKで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

「観光地の仕草」というお題ですが、雪上に残された足跡を写したのは、充分にテーマに符合していると思います。むしろ、人が直接写っていない応募作品は、この写真が唯一で、とてもユニークな発想と柔軟な感性に驚きました。固定観念を持たないということが、アートの世界ではとても大切です。

かつて、ある写真の先人が「写真とは、私はこんなものを見たよ、ということを報告するものだ」という言葉を残しています。しかし、多様性が様々に求められる現代では、「私はこの事物をこう見たんだよ」ということになるでしょうか。自分なりの解釈、自分なりの手法を見せるということが新しい作家の仕事なのかも知れません。しかし、一方で伝統的な解釈、手法を守り続けることも必要で、時代に流されないこともまた大切です。どこに自分の立ち位置を置くかを考えなければなりません。「見た目は新しいけど、内容が無い」というのはいかがなものかと思います。

さてこの写真ですが、構図としてはまず綺麗にまとまっています。欲を言えば、風景としては良い写真ですが、足跡をもっとアップで写し、この足跡の持ち主の心模様を力強く描くことは出来ないでしょうか。そんな写真を見てみたいと思いました。自然の中、都会の中で足跡だけ撮影するのも一手です。

 

3月後半の採用者3名様はあえなく『門前払い』となってしまいましたが、師範のコメントをご参考にしていただき今後も撮影を楽しんでいただければと思います。

akeさん、YTさん、にたばるさんには「門前払い ミニ木札」をお贈りします!



記念品は3月の結果が出そろい次第発送いたしますので、最長で一か月程度を目安にお送りします。しばしお待ちくださいませ。

ぜひ以降のお題にもチャレンジしてみてください!

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■PENTAX道場4月からのルール変更について
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