4月のお題は…『身近な桜』

小林義明 師範

日本人の心ともいわれる桜。満開の桜を見ると、春を感じ自然と明るい気分になれる。日本各地にある有名な桜に限らず、身近なところにも昔から馴染んでいる桜があることだろう。有名な桜は見栄えはいいけど、みんな同じように撮りたがる。そこで、あなたの身近な桜を美しく撮ってみて欲しい。じっくり見つめて桜の美しさを再発見してみよう。

 

 

小林義明 師範からの4月のお題は『身近な桜』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

4月の挑戦者その1:ススムさん

サクラの花で吸蜜するミツバチの写真です。2017年の春に近所の公園で撮りました。
目線の高さに頭(こうべ)を垂れる枝を見つけてレンズを向けたところ、
ミツバチがせっせと働いていることに気づきました。
ある程度アングルを決めて待ち、
いい具合にふたつの主役の顔が収まったタイミングでシャッターを切りました。
ほのかに青い空と相まって、春らしいさわやかな写真が撮れました。

ススム
埼玉県在住、男性。生き物の写真を撮るのが趣味で、特に昆虫のマクロ撮影が大好きです。PENTAX K-3 IIとsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

桜にやって来たミツバチ、体についた花粉を集めて花粉団子を作ろうとしているところだろうか。桜というと全体の姿にばかり目が行ってしまう人が多いけれど、小さな世界もしっかりと見つめているという感じがするね。
桜はちょっとした風でも枝が揺れるのでクローズアップは難しいけれど、そのなかでしっかりとミツバチにピントを合わせることができているね。ミツバチの目にキャッチライトが入っていたり、足につけている花粉団子のところに光が入っていて、見せるべきところをしっかり見せられていると思う。

ほぼよく撮れていると思うのだけれど、露出としてちょっと暗いのが気になるな。

空や桜のハイライトが飛ばないようにちょっと暗めの露出で撮影しておくのはいいと思う。だけど、撮影データを見るとレタッチをしているようなので、もう少し明るく仕上げてもいいと思う。私の好みでレベル補正後に彩度を上げて明るくしたものを添付しておくので、参考にしてみて欲しい。ミツバチの黄色がきれいに再現されて、もっと生き生きして見えるはずだ。

あと、カスタムイメージを「リバーサルフィルム」で撮影しているようだけれど、後処理をするのなら「鮮やか」とか「ナチュラル」で撮影しておくとイメージを掴みやすいと思うよ。明るさに関しては、自宅のモニターの輝度が高くなりすぎている可能性もあるので、そのあたりも確認してみて欲しい。

4月の挑戦者その2:田舎猫さん

近くのお寺の桜です。
世の中色々あっても桜はいつもどおりに咲いて散っていくんだなぁと、しみじみ思いました。

田舎猫
長野県在住、男性。初めてのカメラはME Superでした。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

近所のお寺で撮影したということで、いいところに住んでいるね〜。春になったら、満開が待ち遠しくて毎日通っている様子が目に浮かぶ。それにこの桜の見事な枝振り。ほぼ満開のタイミングで撮影できていて、この枝振りをしっかり見せられる光の選び方もいいと思うよ。

でも、2点ほど惜しいと思ったところがあるんだな。

ひとつめは、この枝振りを活かすための光の選び方はとてもいいのだけど、空の選び方が甘かったと思う。それは、雲の位置。せっく青空が広がって絶好の撮影日和となっているものの、画面右側のボリュームがある側では桜のすぐ後ろに雲がかかっていて、桜の形が分かりにくくなってしまっているんだ。
左側は青空の面積が多いので、桜の枝振りがよく分かるよね。右側は桜の後ろが白いので、桜の枝振りが分かりにくくなってしまったのが分かるかな。雲が流れるのを待って、桜の形が分かるよう桜の後ろは青空のタイミングで撮影したかった。

もうひとつは、画面左側にいろいろな要素を詰め込みすぎた感じがあるね。とくにお寺の門に繋がる道が竹でできた柵とともに視点を集めているので、いちばんボリュームのある桜の姿が目立ちにくくなってしまった。
この構図だと、桜のボリューム感がなくなる点を除けば画面の左半分で絵が成立するし、分かりやすい絵になったと思う。

とてもいい桜なので、ぜひ来年も再チャレンジしてみて欲しい。

4月の挑戦者その3:ゆうきヘクタールさん

気になっていた近所の山の桜。
夜中に撮影に出かけて、真っ暗な中で…と思っていたら
満月が美しく、月光がまばゆい中での撮影になりました。
桜の種類が違うのか、散りかけ、見ごろ、まだまだと色々な状態の
桜があってどこを切り取るか悩みました。

ゆうきヘクタール
茨城県在住、男性。茨城在住の関西人。綺麗な景色を求めてあっちこっちに旅に出ています。PENTAX K-1 Mark ⅡとHD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

小林義明 師範からの添削コメント

 

満開に近い桜と満月、みんなが撮ってみたいなぁって思ういい撮影条件だ。青みがかった色調のトーンもいい雰囲気だと思う。絵になる要素は全て揃っている。

コメントによると月光で撮影するための下見で出かけてみたら満月が昇ってきていたということなので、月を意識していたのだったら、もう30分くらい早く現場に行きたかったなぁ(仕事で動けなかったとしたらゴメンね)。そのあたりの時間ならまだ地上ももう少し明るいのでハーフNDをかけなくても月を再現できたのではないかな。そうすれば、左上のあたりで桜が暗くなってしまうようなこともなくなる。

もう一点は、月が高く昇ってしまっていたために桜と月が離れてしまって、桜から月へと視点が動くときに、形のはっきりしている森や遠くの山のあたりが意外と目立つ感じなんだよね。
これももう少し早い時間で山に近いところに月があるタイミングであれば、構図もまとまったと思う。

月を画面に入れるのは太陽を絡めるのよりも数段難しい。毎日月の出の時間は約40分ずつずれていくし、天気も分からない。月に1回のチャンスしかないから、事前の下調べをしっかりしておく必要がある。
近所の桜ということなので、来年または再来年にも再チャレンジして、より完成度の高い作品をものにしてもらいたい。そのためには、似たような条件でのテスト撮影も必要だよ。

 

ススムさんには「免許中伝 ミニ木札」、田舎猫さん、ゆうきヘクタールさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

 

記念品は4月の結果が出そろい次第発送いたしますので、最長で一か月程度を目安にお送りします。しばしお待ちくださいませ。

 

その他の投稿作品をご紹介

最後に、4月のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

 

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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