11月のお題は…『季節の色』

小林義明 師範

季節や時期ごとに見かける色は変わっていくもの。空の色ひとつとっても、季節によってどんどん変わって行く。春先の霞んだ青空、太陽がギラギラと輝く夏の空、秋の高く澄み渡った空、冬の澄み渡った薄暮のグラデーションなど、いろいろなイメージが湧いてくる。地域によってもイメージは違うかもしれない。そんな感じで季節の持つ色を写真で表現してみて欲しい。11月のテーマとなっているが、季節はとわずさまざまな色を探してみよう。

 

小林義明 師範からの11月のお題は『季節の色』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

11月の挑戦者その1:Outbackerさん

タイトル「二つの季節色」。
今年の11月1日に登山道の途中で撮影した、僅かに朝日に照らされる越後駒ケ岳の斜面です。
2日前にまとまった雪が降り、ベースとなる枝折峠では麓の紅葉と山々の雪景色が迎えてくれました。
影になっていた斜面に朝日が射し、木々の彩りが引立つののを待ちました。
形の良い小さな尾根が少しづつ光を受け、秋の彩りと初冬の白と黒の世界を画面に収めることがことができました。

Outbacker
埼玉県在住、男性。父から譲り受けたPENTAXを引継ぎ、システムを更新しながら、週末早朝の撮影を楽しんでいます。最近は自宅から比較的アクセスが容易な、中越地方に行くことが多いです。PENTAX K-1とsmc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF] SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

すばらしい写真だね。イメージ通り秋から冬へと移りゆく季節の色をうまく写し込めていると思う。
この精細なシーンに合わせてリアル・レゾリューション・システムをつかっているあたり、できるな!って感じだね。

ただ、今回はリアル・レゾリューション・システムを設定したのが仇になってしまった感じがする。

300mmの望遠レンズでの撮影、山の風が当たりやすい環境、あえて感度をISO100にしているところなど、ブレが起きやすい条件になっている。
当然三脚は使用していると思うけれど、リアル・レゾリューション・システムでは4カット必要なので、その間にどうしても微妙なフレーミングのズレを防ぐことが難しく、結果的に微妙なズレによって解像感が落ちてしまった感じがするんだ。よく見ると雪のある山肌のあたりにモザイク状の部分がある。

このカット、DCU5でリアル・レゾリューション・システムを解除した一枚の画像として現像すると、もっと解像感が出てくる可能性もあるから、もう一度現像しなおしてみよう。

また、リアル・レゾリューション・システムを使わなくてもブレを防ぐために、このシーンだったら感度をもう少し上げておいても良かったと思うよ。ライブビューと電子シャッターを併用すると、さらにブレ防止の効果が出てくるので、試してみよう。

11月の挑戦者その2:rakuraiさん

季節は梅雨の真っ只中。しとしとと雨の降るとある寺院の境内で撮影しました。
雲が厚く光の弱い環境でしたが、立ち位置で試行錯誤した末、柔らかな逆光のもとで初夏の緑を綺麗に写し出せたと感じています。

rakurai
東京都在住、男性。風景やスナップを中心に撮影しています。最近は山岳写真に執心中。PENTAX K-1 とsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

明るい緑がきれいな写真だね。7月の撮影のようだけれど、春のイメージでもあるね。画面の両脇に黒い幹を配置して、中央のモミジの葉をうまく引き立てる構図となっていると思う。背景のグリーンも明るいところや暗いところがあって、適度に変化があるね。

基本的な画面構成はいいと思うんだけど、ややメインの葉が暗く見えてしまうのが惜しいところだな。また、今年は猛暑だったということもあって、ちょっと葉が傷んでしまっている。この爽やかな色合いを活かすには、もっとコンディションのいい葉を選びたいとろだけど、こればかりは難しいかな。

構図的には画面左側の黒い幹は純黒となって目立つため面積として多いから、右側の幹を少し増やすようにするか、ちょっと寄って左側を減らそう。
撮影データを見ると露出補正をしていないので、オリジナルはもっと暗く写っていたことを想像している。背景の明るいグリーンの部分を飛ばさないという狙いもあっただろうか。
このようなシーンでは後処理をしなくても、カスタムイメージの設定を変えることで一発で仕上げることができるはず。方法としては、キーを上げて、コントラストを下げるという流れだ。必要であれば、ちょっと彩度を上げるほうが見栄えがするかもしれない。

PENTAXのグリーンはきれいだという定評があるから、そのあたりも活かしながらその場で完成させることにも挑戦してみよう。

11月の挑戦者その3:tokutoku1002さん

紅葉も終わりに近づいた霊松寺の紅葉、紅葉の隙間からの日差しを絞りを絞って綺麗な星が現れました。

tokutoku1002
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップ写真を楽しんでいます。PENTAX KPとHD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

きれいな紅葉と青空、うまく秋の色を表現できているね。葉への光の当たり方も良く、全体的に透過光できれいに色を再現している。幹の立体感もいい感じだよね。
後処理の方向性も間違っていない。ハイライトからシャドーまできれいに再現している。

でも、今回は免許中伝だ。

なぜかというと、このシーンを撮影するには絞り込みすぎているからだ。そのために回折が発生して解像力を落としてしまっている。KP本来の絵はもっとシャープだよ。パソコンの画面で見る程度なら十分だけれど、大きく作品を展示すると、これが目立ってきてしまう。

光芒を発生させるために絞り込んでいるところもあると思うけれど、F22まで絞らなくても十分なはず。もともと被写界深度の深い16mmでの撮影だから、パンフォーカスにするためならF11くらいでも十分じゃないだろうか。

これが焦点距離の長いレンズだったら、多少回折が発生しても絞り込む必要が出てくるかもしれない。でも、広角レンズを使っているのだから、無駄に画質を落とす必要はない。自分が今使っているレンズの特性を理解して撮ることも必要だよ。

免許皆伝の作品は、リコーイメージングスクエアでバカでかく展示しても見劣りしないくらいの仕上がりを想定しているから、そのつもりで撮影に挑んでみよう。

記念品のお届けについて

Outbackerさん、tokutoku1002さんには「免許中伝ミニ木札」、rakuraiさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は1月上旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、11月のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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