こんにちは

カメラ好きの写真オタクで、レンズも撮影も好きな商品企画の大久保です。
写真オタクぶりは「写真家の思点」の>>こちらで発揮しています。

前回はPENTAXの最新鋭レンズHD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW(以下D FA★85mm)でスナップ撮影をしました。その時の記事は>>こちらです。
まさか「参考になった」が165も付くとは思いませんでした(10/16現在)。たくさんの方に読んでいただきうれしく思います。本当にありがとうございました。
今回はD FA★85mmをポートレートで使ってみました。

 

本記事は個人的な視点が多々入っており万人向けの内容とは言いがたいので、その点あらかじめ留意いただきたくよろしくお願いいたします。

<ポートレート>

ポートレート写真は肖像画の時代から続く人物をメインとした写真です。
スナップや風景と違い、被写体であるモデルさんとの共同作業になってきます。
なので、モデルさんとどのようなコミュニケーションをとるかが一つのポイントになると思います。
よくポートレート写真家のトークイベントに参加するのですが、ポートレートをメインに撮られる方はコミュニケーションに秀でているのか、話が上手な方が多い気がします(笑)。
コミュニケーションに関しては、PENTAX道場でおなじみの藤里 一郎さんは>>こちらの記事、プロ写真家の井出 眞諭さんだと>>こちらが参考になると思います。
モデルさんの性格やどのような写真にしたいかでスタイルを変える方、モデルさんの自由な面を引き出す方、逆にモデルさんの個性ではなく自分のイメージに持ち込む方など様々です。これは自分なりのコミュニケーションのスタイルを確立しているということかと思います。
私はあまり意識していないのですが、いたって普通だと思うのですが、撮りたい写真のイメージを伝えてそこに近づける感じです(文字にすると大したことないですね)。

<撮影準備>

ポートレートは当然被写体となる人が必要で、家族友人ならまだしも、モデルさんとなると中高年サラリーマンとしてはなかなか接点はありません。
私の場合、まず撮影会(ネットを調べると色々出てきます)に参加して撮影させてもらうことが始まりでした。
何度か撮影会で写真を撮らせてもらい、そのうちに信頼関係を築いたうえで、個人的に契約して撮らせてもらうといった感じです。
最近はモデルさんがSNSでカメラマンを募集する場合もありますし、逆に自分の作例をアップしているカメラマンの方からモデルさんを募集する場合もあります。
今回は何度か撮影させていただいたモデルさんに依頼させていただきました。時間は長めの2時間です(歩きながら撮っていると2時間は瞬く間に過ぎていきます)。

機材はスナップ編と同じく、レンズはD FA★85mm1本でカメラはPENTAX K-1  Mark II、PENTAX MZ-L(モノクロフイルム)、PENTAX MZ-5(カラーネガフイルム)の3台体制です。私の場合、屋外ではフラッシュやレフ版はあまり使わないです。

次に事前にどんな写真を撮るかテーマを設定しておきます。撮影時間は長いようであっという間に過ぎます。その場で考え始めるとアドリブが弱いので今一つの結果になりがちです。
今回は明るいかわいい雰囲気ではなく、コロナ禍の閉塞感に抵抗するような、ちょっととがったイメージを想定しておきました。
服装はこざっぱりとした感じで、小道具としてマスクをお願いしておきます。
だいたい想定していたイメージと違う写真になったりしますが、深く考えていないので結果オーライな感じです。
今回は時間の都合上できなかったのですが、想定した写真のイメージでいけるか、1時間くらい早めに現場を下見をしておくことをお勧めます。
下見すると、事前にいい場所を見つけることができます。

撮影を始めると、ロケーションを歩きながらモデルさんが映える場所を探します。これはスナップ撮影に近いです。
光はその場にある光を使います。どんな光(点か面か、何色かなど)がどの向きからモデルさんにあたるかに注意を払っています。
今回は夜がメインなので、必然的に街灯を使うことになります。
撮影条件は開放f1.4のみ。K-1 MarkIIはAFを使いますが、フイルムカメラ2台はMFです。デジタルはRawで撮影してカメラ内現像で仕上げています。
フィルムはスキャナーで読み込んでいます。
また、商業施設の敷地内などでは撮影NGなこともあるので注意が必要です。当然、通行の方などの迷惑にならないように気を配るのも大切です。

<D FA★85とK-1 MarkII>

85mmという焦点距離はおのずとバストアップになりがちな気がします。また、ソーシャルディスタンスを取るにはばっちりです(笑)。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:リバーサルフィルム〕

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

1枚目はとがった感じを出そうとにらんでもらいました。照明は上からのダウンライトで少し奥に下がってもらいました。固めのリバーサルフィルムで仕上げたんですが、ちょっときつすぎかもしれないですね。マスクのハートの赤が良いアクセントになっていると思います。
ふと風が吹いたのが2枚目で屋外ならではです。ちょっと柔らかく仕上げてみました。
マスクで表情が隠れると目がより強調される気がします。今回の発見でした。
ということで、次はマスクを取っていただきました。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

さすがD FA★85mmですね。開放だと背景が良く溶けてます。街の明かりが印象的な模様になってます。マスクがないと雰囲気が大きく変わります。
1枚目は笑ってもらいました(想定テーマはいずこに、、、)。風がいい感じです。
2枚目は真上からの照明で顔に影ができてるのでシャドー補正かけてます。アンニュイな感じになりました。

<D FA★85とMZたち>

デジタルとフイルムを撮り比べます。撮影はカメラ3台をを付け替えながらになるのですが、その間モデルさんに同じポーズのまま固まってもらうわけにもいきません。
ポーズがまちまちになりますがご容赦ください。
夜のポートレートをAFを使わず撮ったのは初めてなのですが、暗いとピント合わせが相当難しいですね。
絞り込みたいけど、シャッターも遅くなるのでできませんし、そもそもMZだと絞り込みができません。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

〔MZ-5、某カラーネガフイルム〕

〔MZ-L、某モノクロフイルム〕

右横からのフラットな光です。3枚撮ったのですがそれぞれ表情が違うこともあり、雰囲気が全然違います。
個人的には2枚目の写真は雰囲気が良くでたと思っています。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

〔MZ-5、某カラーネガフイルム〕

〔MZ-L、某モノクロフイルム〕

手前右下からの光です(2枚目は真横ですね)。3枚目のモノクロはピントがずれてますが、それがかえって印象的な雰囲気を醸していると思います。光源に顔を向けているのがいい感じです。
1枚目、2枚目は顔に影ができていて、教科書的には褒められないと思いますが、個人的にはそれもありかなと思ってます。

ちょっとテーマから離れたので、鉄道のガード下へ。ガード下はレンガが残っているのでいい背景になってくれます。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:鮮やか〕

〔MZ-5、某カラーネガフイルム〕

〔MZ-L、某モノクロフイルム〕

光源は手前の少し上からの街灯です。
デジタルはRaw展開する際に周辺光量補正をオフにしています。カスタムイメージは鮮やかにしてコントラストも少し上げています。
フイルムは両方ともピンボケ。Tシャツの白が際立ち、周辺光量落ちもあるフイルムの方が印象的になっています。しかし露出が同じに見えないですね(間違えたかな?)。

同じく鉄道ガード下で、背景をトラスにしてみました。よりとがった感じを狙っています。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

〔MZ-5、某カラーネガフイルム〕

〔MZ-L、某モノクロフイルム〕

光源は右上の街灯。個人的には3枚目のモノクロがお気に入りです。
車が通る時に面白い光具合になることもあったのですが、ばらつき防止のため撮りませんでした。

フイルムだとピンボケが結構あるのですが、それなりの雰囲気があるかなと思っています(負け惜しみではなく)。
しかしデジタルでピンボケだと多分その場で消している可能性が高く、実は少しピンボケの写真はなかなか撮れないのです。

<D FA★85とMZたち:失敗写真>

もっとピンボケ且つぶれちゃった写真があります。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

〔MZ-5、某カラーネガフイルム〕

〔MZ-L、某モノクロフイルム〕

柱の下からの光と後ろからの光による柱の陰が面白く、距離を取って撮ったのですが、見事にピンボケとブレがでてます。
モデルさんをきれいに撮る写真としては失格ですが、個人的にはそれなりの雰囲気を持つ写真になった思うので捨てずに取っておきます。
、、、とは言え、ピントが合い、ブレの無い写真だったらもっとよかったかもと思うと残念です。
1枚1枚丁寧に撮っていたつもりでしたが、まだまだダメということですね。もし次の機会があればリベンジしたいと思います。

フィルム2種類とデジタルで撮ったのですが、それぞれ良い点があり、どちらかがダメという感じになっていません。好みに合わせて使い分けるのが良いと思います。
デジタルだときれいに失敗無く撮れますが、フイルムの独特な雰囲気は捨てがたく腕を上げねばと思う次第です。
今回の撮影ではこの素晴らしいレンズのポテンシャルを引き出せていないと思います。解像もボケもすごいですが、それ以外の魅力がこのレンズにはありそうです。
使いこめば使い込むほど新しい発見がある、するめのようなレンズです。
カメラによっても違ってくると思います。カスタムイメージは同じでもセンサーの大きさが変わってくれば、撮れる写真も変わってくると思います。
KPでも使ってみたいし、開発中のあの一眼レフでも使ってみたいです。フイルムカメラだったらリバーサルを使うとどんな描写をするか。
そんなことを考えるとまた撮りに行きたくなります。

今回の取り比べで気が付いたのですが、デジタルだとPCで画像チェックしている時についつい等倍に拡大してしまいます。
しかしフイルムだとピントがそこそこあっている写真でも、そこまで大きくしませんでした。
写したい写真は何だったんだろうと、考えるきっかけをフイルムは与えてくれた気がします。

ところで、前回紹介した写真ですが、デジタルとフイルムで並べてみます。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:リバーサルフィルム〕

〔MZ-5、某カラーネガフイルム〕

ということで、前回ご紹介した写真はデジタルでした。フイルムの画像も色を追い込めばこのサイズではデジタルと大きな差異はないと思います。
背景が違いますが微妙に立ち位置が変わった事、ラチチュードがネガフイルムの方が広い事が影響してそうです。
最後に、前回の記事でお約束したオフショットです(今回の撮影ではなくスタジオで撮影した時の写真で恐縮です)。
レンズはD FA85★ではなく、とあるオールドレンズです。

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

〔K-1 MarkII、カスタムイメージ:ナチュラル〕

モデル:ひむみな ひむみなさんのインスタは>>こちら

しかし、スナップ撮影は楽しいですが、ポートレート撮影も楽しいですね。
前回の記事もですが、今回の記事を読んでいただいた方に、このレンズを使っての楽しみが伝わるとよいなと思います。
D FA★85mmはいいな、写真を撮りたくなったと思われた方は「参考になった」ボタンを押していただけると嬉しいです。
また、こちらでPENTAXの魅力をご紹介できればと思います。