被写体探しに始まり、構図、ピント位置と並ぶ永遠のテーマが露出補正です。では、何のために露出を変えるのでしょうか?
明るさを変えるためというのがその基本ですが、モノクロ写真では明るさを変えてトーンをコントロールするという視点が大切です。
私は暗部(影の部分)を引き締めたモノクロが好きなのでアンダー露出を基準にしています。アンダーにするかオーバーにするかその方向性が決まったら次に問題になのは補正量です。
今回はその補正量をマイナス1に固定しようという話です。
注:撮影条件によっては真っ黒なだけになります。
左はマイナス1.0EV 右は露出補正なしのノーマル
左の写真はちょっと暗く感じますが、影に締まりがあってその締まりは写真の強さに繋がっています。最初の写真も同じように影に締まりがあって、それが深みに繋がっています。
上の写真のような状況でもメリハリがつくので歩いている小さな二人に目が行きやすくなります。この写真のポイントはこの二人なので、その位置も大切です。
強いアンダーにして影の部分を強めることは写真の中の情報を減らすことになります。写真の基本とも言える省略が自然にできるのが、このマイナス1.0EVの露出補正です。
太陽など強い光を入れる場合は、その光を影からだす量で画面全体のコントラストをコントロールします。
この写真では太陽を少しだしてコントラストをあげています。コントラストが上がると影はより引き締まった印象になります。
ここでは太陽が建物の影からでないアングルにしました。太陽を隠しコントラストを抑え気味にして、空のグラデーションを綺麗に見せるのがポイントです。
この写真でもう1つ大切なポイントは風になびく旗のタイミングです。露出補正の量を決めていれば、いつも以上にアングルや被写体のバランス、タイミングに集中できます。
実際の撮影ではマイナス1.0EVでは足りない条件もあります。上の左側はマイナス1.0EVですが、右側はマイナス2.3EVです。
右側はかなり暗く影の部分は潰れているような印象がありますが、ここまでアンダーにすると木漏れ日に照さらた葉っぱの印象がより強くなります。
マイナス1.0EVで固定する撮影は、光の捉え方の練習でもあります。この強めのアンダー露出でも成立する条件を探すことは、モノクロ写真で最も大切で最も難しい光に対する感覚を養うことに繋がります。
一眼レフの良さは失敗をする可能性があっても最後まで己の感覚を信じてシャッターを切れることです。感覚はある日突然目覚めるものです。それまでの間少しだけ遊び感覚でこんな撮影方法をときどき試してください。
ちなみにこの撮影方法を試すには、今回のように光が強い日の逆光かサイド光があっています。
写真は全てプロフェッショナルモードで撮影しています。
>>プロフェッショナルモードについてはこちらの記事をご覧ください
次回は、絞りを固定してみよう!です。
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