高校時代まではスイマー、スイミングクラブでのインストラクター経験もある佐々木啓太は、写真はスポーツと同じだと考えます。スポーツで大切なのは知識を増やすことではなく、体を動かして経験することです。そこで写真でもこんなことをやってみたら…、そんな提案をしていきたいと思います。

第1回 プロフェッショナルモードで撮ってみよう!

プロフェッショナルモードというのは、プログラムオート+ISO感度オートで撮影することです。このモードは様々な撮影条件で最も失敗が少ない結果を得られる方法です。写真の知識のある人はそれでは変化が少なくなると考えるでしょう。(プロフェッショナルモードという名称は佐々木啓太が個人的に使っているものです)

では、次の4枚の写真をみてください。(番号は撮影順)

これらの写真は FA 43mmF1.9 Limited でプロフェッショナルモードを使って撮影しています。意識したのはアングルや被写体までの距離、タイミングです。

 

〔写真4〕

最も変化の大きい〔写真4〕で背景が大きくボケているのは、小さな被写体に近づいて、ピントを合わせた場所とボケている背景の距離の差を大きくしたからです。

この距離を出来るだけ大きくするためにしゃがんだ姿勢でレンズをほぼ水平に構えて撮影しました。縦位置にしたのは奥行きを活かして距離の差がある場所の印象を増やしやすいからです。

ボケが柔らかいのはこの場所が少し暗くてプログラムオートでも絞り値が小さくなったからです。ボケの話になるとこの絞りや焦点距離の話がでてきますが、大切なのはピントを合わせた被写体と背景や前景との距離の差を作ることです。

プロフェッショナルモードは、ISO感度オートの設定がデフォルトのままでも暗い場所で直ぐにISO感度だけが上がらず、絞りを開けたり1/15秒程度までの低速シャッターを使ってくれます。

ここまで書いておきながらですが、プロフェッショナルモードはそんな細かい事を気にせず動くことに集中するためのモードです。ペンタックスの一眼レフの手ぶれ補正機構が強力なので手ぶれの心配が少ないのも安心感があります。

余談ですが、絞りの数値を小さくして撮影すると同じ条件ならボケは柔らかくなります。絞り値を小さくできる大口径レンズではボケの話がよくでるのはこのためです。

 

〔写真1〕

〔写真1〕の写真もピントを合わせた被写体と背景に距離の差はあります。それなのにボケの印象が弱いのはピントを合わせた被写体が少し離れた中距離だからです。

 

〔写真3〕

〔写真3〕は斜めから角度を浅くして映り込みを撮影して、手前と奥でブラインドの幅の差を大きくして広角的なイメージを狙いました。

 

〔写真2〕

〔写真2〕も広角的になるようにアングルを下げて、歩道の手前が広く奥に向かって狭くなるような狙い方をしました。人のバランスがこれ 以上離れて画面の真ん中に近くなると安定感の方が強くなるので、 このタイミングもポイントです。

 

一眼レフカメラのファインダーは素通しと表現され、自分の目で見ているのと同じタイミングで撮影ができます。ひとつの写真を完成させるためには、被写体間の距離やアングルなどいくつものことを同時に処理します。タイミングが掴みやすいと他の要素に集中する余裕が増えます。

1枚写真の完成度を上げるために様々な要素のバランスをとるように、水泳も手や足の動きから体の姿勢、首の角度などのバランスがとれて初めて泳げます。そのときに1つの動きが気になりすぎるとバランスが崩れて力が入って体が沈みます。体が沈むと焦るのでさらに動きが悪くなります。

写真も同じで力まずに自然にいくつものことをしなければタイミングがずれます。プロフェッショナルモードで動きながら変化をつけて瞬時に様々なことに対応するのに慣れてください。

標準域の単焦点レンズは自分が動いて作る変化の結果が分かりやすい特徴があります。今回のプロフェッショナルモードを始めるのに最適なレンズです。

標準ズームレンズしかない場合は、ズームを標準域に固定して試してください。

 

次回はモノトーンの設定で撮ってみようです。

 

 

『ケイタのやってみようシリーズ』のその他の記事はこちら

第4回 絞りを固定しよう!

第3回 露出補正を固定してみよう!

第2回 モノトーンの設定で撮ってみよう!