前回に引き続き用紙の話です。今回は珍しくカラーの写真も含めながらその選択のコツをお伝えできればと考えています。

基準紙とは?

基準紙もしくは基準用紙というのは自分が最初に使う用紙のことです。インクジェット用の用紙は写真用紙からマット紙、アート紙と選択肢が多いのが特徴です。さらに用紙を変えると色や質感が変わることがあります。その用紙に合わせて調整するという考え方もありますが、その前に自分がどんな基準で仕上げるかという基準を作ってください。

この基準づくりに使うのが基準紙で、A4の基準紙で自分の基準を作ることが作品作りのスタートだと私は考えています。今回のプリントもエプソンのEP-10VAを使っています。

用紙による違い

基準紙に使う用紙は安定的に入手しやすい紙があっています。まずはプリンターメーカーの光沢紙か絹目(調)から選ぶのが良いと思います。しっとりとした質感のあるマット紙は紙の個性が強いので基準紙からは外した方が無難です。

用紙の比較カラー

比較写真は大きく分けて左側が光沢系で右側が絹目系になっています。真ん中はマット紙です。マット紙は紙の表面の反射がないですが、両サイドに比べると少し色が変わっています。高級なアート紙を使うとここまでの変化はないですが、このような違いがでることを覚えておいてください。

光沢系ではやはり少し価格の高いクリスピアが平面性が高く反射も強くなっています。前回も少し話しましたが、平面性が高いとピントの合焦の有無はわかりやすく、色の再現力も高くなります。

用紙の比較モノクロ

モノクロの比較でも印象はカラーとほぼ同じです。ここでポイントになるのは階調の再現力と確認のしやすさです。少しわかりづらいですが、右側の絹目系の方が、階調がわかりやすく、黒の締まりと深みを感じる結果になっています。反射がしやすい角度から見ているので、正確とは言いづらいですが、階調を重視する場合は絹目系の用紙がオススメです。

絹目系の比較


私が基準紙に使っているの FRUBO PQ Silky (検索ではフルボ以下フルボ)はメーカー系の絹目用紙に比べて少しだけ表面の凹凸が強く細かい質感がわかりやすい特徴があります。用紙の厚さも少し厚いので平面性を保ちやすいという利点もあります。

用紙の厚さは購入してみないとわかりずらいですが、質量や厚みがあるほうがオススメです。

参考までに フルボ は 質量 260 g/㎡ 厚み 275ミクロン です。今回使った絹目はKOKUYOの絹目で 質量255 g/㎡ 厚み0.27mm なので、ほんの少しだけフルボの方が厚い感じです。

もうひとつポイントなのは、フルボの絹目調(Silky)のA4用紙は100枚単位で販売されていることです。光沢系の用紙は100枚単位で販売されているものも多いですが、絹目系では20枚か50枚がほとんどなのであっという間になくなります。

基準紙に高級紙を勧めないのはそれだけたくさん使う用紙だからです。フルボでも十分高いと感じるかもしれませんが、用紙の厚さや再現力のバランスを考えればこの用紙は大変お買い得な製品です。

その他のプリント

カメラとレンズ:PENTAX KP+HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR

フルボの特徴でもある表面の凹凸の強さはこんな細いか描写の再現を確かめるのにも向いています。薄曇りの弱い光の条件で色味を出すためにカスタムイメージはポップチューンを使っています。もちろんデフォルトではなく啓太流の調整はしてあります。

 

カメラとレンズ:PENTAX KP+HD PENTAX-DA 15mmF4EDAL Limited

モノクロ撮影の基本は逆光です。夕焼けの色ではなく斜光線が作る陰影の強さを狙っています。そんな狙いから露出補正はアンダーと言いたいところですが、画面の中に夕日の強い光が入っているので、露出補正なしでもここまでアンダーになります。

そんな強いアンダーの狙いをしていても暗部が完全に潰れてしまっては面白みがなくなります。モノクロ写真では黒の中の黒という言葉で暗部の深みを表現します。そんな深みの再現にもこの用紙はあっています。

 

まずは自分の基準紙を見つけてプリントを楽しんでください。プリントが上手くなるコツはたくさん用紙を破ることです。これはトライアンドエラーを繰り返して、自分なりの作業の流れや調整の基準をみつけることが大切だからです。

今回使っている Limitedシリーズ のレンズの良さも官能評価と呼ばれるプリントでの評価が基準になっています。このレンズシリーズの奥深さは、あなた自身の基準にも答えてくれることです。

 

次回は、モノクロ写真とサングラス!です。

 

『ケイタのやってみようシリーズ』のその他の記事はこちら

第6回 A4サイズにプリントしてみよう!

第5回 デジタルフィルターを 使ってみよう!

第4回 絞りを固定しよう!

第3回 露出補正を固定してみよう!

第2回 モノトーンの設定で撮ってみよう!

第1回 プロフェッショナルモードで撮ってみよう!