カメラを持って出掛けると、なんでもない日常が、光の輪郭をもって浮かび上がる。

さぁ、今日もカメラを持って出掛けよう。

第1回「さて何を撮ろう?」

カメラを買って、最初に撮った写真のことを覚えていますか?

私の場合は、高校のまわりの風景です。放課後、写真部のみんなで近所へ撮影に出掛けた時の写真です。それは、なんとなく気になった風景。空き地に一本だけすっくと立つ大きな樹、アスファルトに落ちる自分の影、植え込みの葉っぱ一枚一枚。写真は残っていませんが、記憶には残っています。

 

 

部活を選ばなくてはいけなくて、何となく決めた写真部。特に撮りたいものがあって始めた写真ではないので、いざ写真を撮りに出掛けると、何を撮ってよいのやら、困ったのを覚えています。その時、何を撮ったらいいのかは、わからないままだったけど、ものを見る目は、明らかに変わったことは感じました。今まで気にも留めなかったものたちが、目に入ってきては、何だかわからないけど、自分の感情を動かす。

たとえファインダーを覗かなくても、カメラを持っているだけで、今まで見ていたものが違って見えるなんて!カメラは感動増幅機なんですね。カメラを持ってるって、なんだか凄いですよね。

 

 

私が最初に買ったカメラは、キヤノンのAE-1プログラムです。歳がバレますね…。開封の議もそこそこに興奮してボディとレンズを取り出したのを覚えています。フィルムを入れてなくても、構えてファインダーを覗いただけで、ワクワクしました。でも一番記憶に残っているのは、ストラップを付ける作業です。どうしてこれで落ちないんだろうとか、左右の長さが一緒にならないとか。最初のカメラの記憶が、カメラのボディの質感や、シャッター音のかっこ良さではなくて、付属ストラップのことなんて、残念ですよね。みなさんのカメラの思い出は、どんなでしたか?

 

 

さてさて、もしも今、あなたが何を撮れば良いのか悩んでいたら、初心に返って写真を撮ってみませんか?

写真を始めた頃みたいに、なんとなくいいなと思ったものにシャッターを切る。本当は明確に言葉にできるとスッキリするし、自信が持てるんだけど、それが結構難しい。

なんとなく気になるけど、まだ言葉にならないもの。それを形に出来るのが写真を良いところですよね。だから、難しいことは抜きにして、気になったものをどんどん撮ってください。ちゃんとあなたが撮りたいものが見えてきますよ。

 

 

林 和美さんの『カメラは感動増幅機』のその他の記事はこちら

第2回 「今日の獲物」

第3回「残したいもの」

第4回「切取りの美学」

第5回「旅写真のコツ?」