カメラを持って出掛けると、なんでもない日常が、光の輪郭をもって浮かび上がる。

さぁ、今日もカメラを持って出掛けよう。

 

第12回「桜の気持ち、自分の気持ち」

 

このコラムが掲載される時は新型コロナ感染症はどうなっているでしょう?

 

今年も季節は巡り春になって、桜やハナミズキが咲きました。でもやはり今年の春は、新型コロナ感染症のせいで、いつもと少し違ったと感じた人も多いと思います。いつもならお花見でにぎやかに人の笑顔に囲まれている桜ですが今年は少し寂しそう見えませんでしたか?

 

桜も寂しいのかな?

 

桜はただ咲くだけですよね。毎年、春が来れば咲く。こう言うと少し寂しく感じますが、桜には感情はありません。そこに何を感じるかは、見る人次第です。あなたはどう感じましたか?それは写真に写っていましたか?今、どんな気持ちで過ごしていますか?

 

 

昔、何かの本で読んだことがあります。もう誰の言葉か忘れてしまいましたが、こう書いてありました。「自然には善意も悪意もない。」当たり前とも思える言葉ですが、被写体と向き合う写真家として、私にはとても腑に落ちる言葉でした。数日しかない撮影日にずっと雨に降られたり、また逆に平凡な風景にドラマチックな雲を作ってくれたり、そこには自然の意思というものはありません。人を困らせたり喜ばせたりしようとしているわけではないですものね。カメラマンも、ただその自然・風景に巡り合うだけです。

 

 

目の前の風景に何を感じるか。あえて、自分が感じた逆のことを考えてみることも出来そうですね。例えば、今年の桜を見て悲しいと思ったら、その逆で楽しいと思って見てみる。いろんな角度・感情で被写体を見てみると、今まで考えもしなかった自分の気持ちも見えてくるかもしれません。

 

 

最後に、もし自分が置かれている状況がとても辛く苦しくても、被写体をいろんな角度から見るように、別の考え方をすることで楽しみを見いだしてみてください。写真を楽しむ人には、それが出来る、そう信じています。どんな状況でも写真を撮ることで乗り切ってください。写真はいつもあなたの理解者です。

 

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第6回「雨の日は、」

第7回「写真を学ぶ」

第8回「写真の意味?」

第9回「ギャラリーってどんなとこ?」

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